手がかかることを恐れないで。そう言いたくなる鍋と出合いました。それがこの、小さな銅鍋モヴィエルというフランスのお鍋です。

銅という金属は、繊細に熱を伝えます。たとえば砂糖もバターも、弱い火力でスーーーーッと溶ける。さっと引き上げれば、ぱっと加熱は止まる。保温性のいい鍋と違い、熱の強弱を瞬時に反映してくれる。そんなところが製菓職人たちから愛されてきたのです。

モヴィエル『M’minis』ソースパン コパー 9cm 10,000円(税抜)

そのなかでも「ファースト・モヴィエル」としては、直径14センチの片手鍋がおすすめです。両手鍋や四角いロースターなど料理人仕様のお鍋はいろいろ出ているのですが、やはり最初は「小さくて扱いやすい」サイズがお手ごろかも。

ハンドルは、握るとくぼみにすっと親指が収まります。ミルクを沸かすとジュジュッと縁がこげるように、あっという間に沸いてしまうので、使っているとドキドキします。それくらい繊細で、気難しい…。

でもひとつくらい、小さい気難しい鍋をもっていていいのだと思います。便利で簡単で手入れもいらないものばかりでは、鍋の中の熱がどうかなと感じたり、その中で踊る食材の様子をじっと見つめたり…といったこともなく、五感が磨かれないような気がします。ほっておけばいい簡単料理もいいですが、それだけではなんだか心が渇いてしまうかも。使った後も、鍋を手洗いする時間に、なんだか意味があるような気がするのです。塩と小麦粉を混ぜたペーストで、優しく磨くと余韻がありますよ。お肌みたいですね。

さて、私は…と言いますと、そんな偉そうなことを書きながら、まだまだ全く使いこなせず、なんですが。このお鍋のいいところは、出しっ放しでも様になるところ。うちのオープンキッチンにとりあえず置いてあると、なんだか絵になるんですね。銅はインテリアの世界でも、最近、トレンドの素材です。

もちろんたまには、これでじーっくり、じーっくり熱を通す料理をしてみたいと思います。

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この記事の執筆者
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本間美紀さん キッチン&インテリアジャーナリスト
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『Domani7月号』小学館、2016年 / 2017.7.5 更新
早稲田大学文学部卒業後、インテリア専門誌『室内』に入社。独立後は住まい、暮らし、インテリア、デザインの分野で編集執筆、セミナー活動を行う。取材で訪ねた住宅とキッチンは300件以上。海外のキッチンとインテリアの取材も多数。大人の女性が本当に欲しいキッチンとインテリアを考える、専門ムック&ウエブマガジン『REAL KITCHEN&INTERIOR』(小学館)で活躍中。 好きなもの:フィギュアスケート観戦、泡の出るお酒、おいしい食べ物、焼き鳥、キッチンとインテリアに関わるもの&こと、シンプルだけど形のいい服、ノーメイク、三毛猫、アストラッド・ジルベルト、ドイツ、イタリア、北欧、ひとりで過ごす時間、颯爽と歩くこと
公式サイト:REAL KITCHEN&INTERIOR
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文/本間美紀