SUVの選択肢が増えて、購入を考えている人にとっては悩ましい限り。車格とスペック、価格で複数のブランドから候補を挙げて比較するのが一番スタンダードに思えるが、本当に自分に合った1台を見つけるなら、ブランドを決めてから車種を絞ったほうが後悔は少ないと思う。世界中に多くのファンをもつメルセデス・ベンツは、世代や運転技量を問わず、誰が乗っても優しく、頼もしくサポートしてくれるのが特徴。そうした個性を知ったうえで、気に入れば次は車種選びだ。おすすめはたくさんあるが、GT的な素養をもつGLCクーペは、旅好きの紳士にちょうどいい。

クロスオーバーというよりもはやGT

少し背の高いGTという印象。
少し背の高いGTという印象。
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クーペの名に恥じぬ美しいルーフライン。
クーペの名に恥じぬ美しいルーフライン。

メルセデスのSUVシリーズにおける「Cクラス」に相当するのが、「GLC」。一応ミドルクラスとされているが、ボディサイズが軒並み大きくなった昨今、それほど大きさは感じない。さらにクーペモデルになると、なだらかに傾斜した低いルーフラインの効果もあり、より小さく見える。世の中には威圧感のある堂々としたSUVを好む人が少なくないが、あえての逆張りをするなら、こういう選択肢もあることを知っておきたい。

前席中心の使い方をしている限りはまったく不便さは感じないし、リアゲート付きの広い荷室は、旅道具の大小を問わず余裕で対応してくれる。いわば「GLCクーペ」は、SUVというよりも(クロスオーバーという呼び方もあるが)、GTと考えたほうがいい。

機能は最新型にアップデート!

視認性、操作性ともに向上。どんなときもリラックスして運転できるのが、メルセデスの特徴だ。
視認性、操作性ともに向上。どんなときもリラックスして運転できるのが、メルセデスの特徴だ。
日中に撮影した写真のためわからないが、夜間のインテリアを演出するアンビエントライトは64色に増加。好みのトーンに合わせてドライブするのが楽しい。
日中に撮影した写真のためわからないが、夜間のインテリアを演出するアンビエントライトは64色に増加。好みのトーンに合わせてドライブするのが楽しい。
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このGLC、昨年改良が施され、内外装の意匠が刷新されているのもニュースだ。外観は前後バンパーやフロントグリル、前後ライトなどのデザインがリニューアルされた。マニアでないとその違いは判別しにくいが、一応見分けかたを書いておくと、ブロックデザインになったライト部が最新型だ(ライブラリの画像を参照)。

今回の改良は機能面の進化が中心で、ダッシュボード上に設置されたモニターが8.4インチから10.25インチに拡大。ステアリングが「Sクラス」と同じ、指先の操作で各種設定のコントロールができる対応に変わり、さらに自然対話式音声認識機能を備えた、対話式インフォテインメントシステム「MBUX」も搭載された。

パワーユニットは2.2リッターの4気筒ディーゼルと、2リッターのガソリンが選べ、今回テストしたのはディーゼルのほう。低速から力強いディーゼルの特性は、重量のあるSUVで効果を発揮する。もちろん燃料費の安さも魅力だ。圧倒的なパワーを求めるなら、AMGモデルという選択肢がある。こちらはV6からV8まで揃い、フロントグリルも専用デザインに。本格的なグランドツーリングを好まれる方におすすめだ。

【メルセデス・ベンツGLC 220 d 4MATIC Coupe】
ボディサイズ:全長4,730×全幅1,930×全高1,600㎜
駆動方式:4WD
トランスミッション:9速AT
エンジン:1,940cc 直列4気筒DOHCターボ
最高出力:143kW(194PS)/3,800rpm
最大トルク:400Nm/1,600~2,800rpm
価格:¥6,554,546(税抜)

問い合わせ先

メルセデス・ベンツ

TEL:0120-190-610

この記事の執筆者
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。
PHOTO :
篠原晃一