人気スタイリスト、大草直子さんの新しいファッションブック『大草直子のNEW BASIC STYLE』が2019年12月に発売され、「大人の着こなしの参考になる」「自分のベーシック服って?を考え直すきっかけになった」と評判を呼んでいます。

大草直子さんが愛するベーシックスタイルとは? ベーシックスタイルをブラッシュアップして、いつも素敵に見せる方法とは? この永遠の疑問への答えを、書き下ろしのエッセイと、オール撮り下ろし144コーデとともに解き明かす、読み応えたっぷりな一冊となっています。

人気スタイリスト・大草直子の考える「大人の女性のベーシックスタイル」とは? 

ベーシックについて大草さんは、

「私のおしゃれの土台はベーシック。奇をてらわず、着る人が、選ぶ服よりも際立つべきだと考えます。

だからこそ、時代によって、そしてその時の自分のコンディションや状況によって。丈やシルエット、色合わせ、素材を違えて、新しさやスピード感を表現するようにしています。ベーシックこそ、毎年生まれ変わるべき。そう、名付けてニューベーシックです」

「毎年毎年『違う自分』になる必要はなく、だからといって、ベーシックに安心してあぐらをかかない―――。そのための、アイテムの選び方、組み合わせ。長い時間をかけて手にした『マイ ベーシック』を、効率よくアップデートするアイデアをご紹介したい!」

というメッセージを、読者に向けて発信しています。

そこで、Precious.jpではこの最新書籍の中から、大草さんが提案するアイテム、テーラードジャケット、トレンチコート、ライダースジャケット、ワンピース、デニムといった5アイテムをピックアップし、私服スタイリングとともにご紹介していきます。

ベーシックスタイルの本質がわかる着こなしとともに、大草さん流おしゃれルールを学びましょう。

大草直子さん
スタイリスト
(おおくさ なおこ)東京都出身。大学卒業後、婦人画報社(現・ハースト婦人画報社)へ入社。ファッション誌の編集に携わった後、独立。現在、WEBメディア「AMARC」を主宰。プライベートではベネズエラ人の夫と3人の子どもをもつ。
AMARC

大草直子の「NEW BASIC STYLE」をつくるコーデ5選

■1:テーラードジャケットは…「美しい一枚だから、思いきり着くずしたい」

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カオスのジャケット、カルヴェンのブラウス、スタニングルアーのデニム、マルニのバッグ、ネブローニの靴、ジャガー・ルクルトの時計

「『古くならない』ジャケットの条件は、まず、素材が上質であること。ウールやリネン、シルクなどの素材感がぐっと立っていると、リッチです。少し、長めの丈が使いやすく、かつ、デザインはオーセンティックなものがおすすめ」

結局長く着続けられるのは、上質素材が使われた、品格が感じられる正統の1枚だという大草さん。

着るだけなく、肩にはおって絵になるような、ラフにもスタイリングできるからこそ登場回数は増え、愛用歴は延びるといいます。

写真の着こなしは、少しのぞく肌を計算して、インナーをあえてノースリーブにするそう。こんなちょっとした着くずしたアレンジに、女っぽさが宿っていますね。

■2:トレンチコートは…「あらゆる着こなしに合うからこそ、どんなスタイリングにしたいかをよくよく考えて」

コート_1
ドゥロワーのコート、コスのニット、ジョン スメドレーのスカート、J&M デヴィッドソンのバッグ、セルジオ ロッシのバッグ、マノロ ブラニクの靴

トレンチコートは着方や、合わせるアイテムで印象を進化させていくべき、という大草さん。

ベルトを締めるか締めないか、どんなアイテムに重ねるか。そのスタイリングで古くも新しくもなるアイテムといいます。シーズンごとの「気分」をすくいとって、取り入れることがマストだそうです。

「ここ数年大好きなのが、マキシスカートとトレンチコートの組み合わせ」と大草さん。コートの裾からスカートが少しのぞく、写真のようなロング&ロングのバランスが、実は今っぽさを伝えてくれるといいます。

■3:ライダースは…「上質なレザー&基本に忠実なディテールを踏襲していることが、選択基準に」

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チンクワンタのジャケット、レッドキャップのTシャツ、ファビアナフィリッピのスカート、シャネルのバッグ、ミッシェル ヴィヴィアンの靴

「新品のライダースほど、無意味なものはなく、1か月経つと少しレザーがやわらかくなり、1年経過すると身体のラインに少しずつなじんできます。そして5年後はまるで素肌の一部のように、優しい表情に変化します。ニットやシャツとは違い、長く使えば使うほど、その1着はバリューを高めていく、稀有なアイテムなのです」

こう大草さんが語るように、上質なレザーは使い込むほどに体型や好みに合わせて、美しく変化していくライダースジャケット。

写真のチュールスカートやワンピースのような甘いアイテムや、ニットにデニム、のようなシンプルな組み合わせにだってフィット。少しづつ形を変える私たちのおしゃれの方向性や、目指す女性像を、いつまでも受け止めてくれるといいます。

■4:ワンピースは…「重ねて着るアウター&インナーによって、スタイリングの方向性が自在にチェンジできる」

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カオスのワンピース、コスのニット、エルメスのバッグ、ナイキの靴、タプレイのイヤリング

コーディネートが即完成するワンピースは、裏を返せば、『合わせ』や着方で大きく印象を変えづらいアイテムですが、はおりものなど重ねるアイテムや靴との合わせで新鮮になる、という大草さん。

写真のカフタンワンピースも、ニットをアンダーに着て秋冬仕様に、軽やかなスニーカーで今っぽさをプラス。
また1枚で着るときには、Vに開いた素肌をチャームポイントに女性らしい雰囲気を香らせて、足元はヌーディーなサンダルでよそいき風の着こなしに。

といった感じに、印象変えができて、いつでも違ったテイストに着こなせるので、ぜひトライしてみましょう。

■5:デニムは…「理想は1年に1度更新。圧倒的に全身が新しく見える!」

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アッパーハイツのデニム、セリーヌのジャケット、ベルベット バイ グラハム アンド スペンサーのカットソー、マルニのバッグ、マノロ ブラニクの靴、ブランのサングラス、ジャガー・ルクルトの時計

「その人のおしゃれの更新速度を表すのは、何をおいてもデニムです。堅牢な素材ゆえ、何年、いや何十年ともってしまうけれど『長年着続ける』ことと『おしゃれであり続ける』ことは、デニムに関してはイコールではありません」と大草さん。

5年前のデニムをはいていると、確実に5年前の人に見えるから、要注意。デニムの流行はめまぐるしく変わるから、数年おきに情報の更新がマストだそうです。

写真のスタイリングは、「デニムなのに女っぽい」を表現しています。いつもはセットで持たないピンクのサンダルとバッグを採用し、思う存分艶っぽさをアピールしても、デニムのカジュアルさによって今っぽいこなれたムードに仕上がります。

この1冊があれば、おしゃれにもう悩まない!

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『大草直子のNEW BASIC STYLE』¥1,500(三笠書房)

ご紹介したように、大草さんが愛用しているさまざまなアイテムの着こなしルールにはじまり、着回しバリエーションまで、すべて撮り下ろしでお見せしています。

無造作ヘアのつくり方や、愛用の美容アイテム、通っているビューティアドレスなど、大草さんが思い入れのあるものや場所も公開しているので、必見です。

※掲載された商品は税抜です。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
PHOTO :
川﨑一貴(MOUSTACHE/人物)、坂根綾子(静物)
EDIT&WRITING :
佐野有紀