40代、50代と年齢を重ねた女性の「大人婚」や、2度目の結婚などの場合、ウェディングドレスを着たいけれど、純真無垢なスタイルは気分的にもそぐわず、どんなものを選んだら良いのか、正直悩みどころかもしれません。
華やか過ぎるものは、はしゃいでいるようで気が引けるけれど、せっかくの人生最良の日、お気に入りのドレスで晴れやかに迎えたいーー。
そんな大人の女性の気持ちに寄り添い、願いを叶えてくれるドレスショップ「NUMBER 5(ナンバー ファイブ)」が、2020年1月12日(日)に東京・広尾にオープンしたと聞き、アートディレクター兼ウェディングドレスバイヤーの山城葉子さんに、ほかのドレスショップとは何が違うのか? をお伺いしてきました。
世界中の素敵なドレスを適正な価格で!山城葉子さんが立ち上げた東京・広尾のドレスショップ「NUMBER 5(ナンバー ファイブ)」とは?
ダブルスクールをしながら専門学校で学び、「Plan・Do・See」が運営する「羽澤ガーデン」で憧れのウェディングプランナーに。南青山にあるドレスショップ「ザ・トリートドレッシング」を立ち上げる際は、福岡・博多で一年間、衣装について学んだという山城葉子さん。
N.Y.をはじめ、世界中を訪れるドレスの買い付けでは、「最後は人と人だから、情熱で伝えました!」と、現在に続く道を切り拓いてきたのだそう。ウェディング全般を熟知している上に、並々ならぬパッションの持ち主。さらに3人のお子さんを持つ母でもある山城さんに、新しく立ち上げたドレスショップ「NUMBER 5」について伺いました。
Precious.jp編集部(以下同)ーー2007年に自身で立ち上げた、大人気の海外ブランドのセレクトドレスショップ「THE TREAT DRESSING(ザ・トリート・ドレッシング)」のプロデューサーを経て、このたびまた別のドレスショップ「NUMBER 5」をオープンされたきっかけは?
「THE TREAT DRESSING」には13~4年間勤務しましたが、若い世代にバトンタッチし育てる、という会社の文化もあり、次のステップを考え始めました。自分だけができることは何か、と考えると、やはりウェディングが好きなんです。
それまでは、一流の会場で、(レンタルで)一着70万、80万といった価格のドレスを着るような、贅を尽くしたウェディングを中心に手がけていました。でも、ウェディングって、パーティ自体は2時間半、その前後に写真を撮ったとしても、5時間くらいです。人によってはカラードレスに着替えることもありーー。その短時間にそれだけのお金を支払うって、なかなかすごいことですよね。
私が「THE TREAT DRESSING」を立ち上げた頃から時代も変わって、今はもっと自由に、という風潮だと思います。結婚式自体をしない人が増え、お金をかけたウェディングは今っぽくない、という人も。そんな「結婚式離れ」が進むなか、もっとカジュアルに身近な感じで、お財布に優しいけれど、かわいいドレスを世界中から集めたい、と思うようになりました。
例えば、ドレスのレンタル金額を上げる要素である、会場との提携は、お客様には関係ないことで、それも気になることでした。しがらみをなくし、提携契約をしなければ、通常より10〜15万円ほど価格を下げることができます。
私は良いものを適正な価格で提供したい、そして、もっと時代のニーズにあったことをしたい。そう考えたときに、こじんまりとでも良いので、ラグジュアリー分野だけでなく、いろいろなお客様に来ていただけるドレスショップをやろう!と思い立ちました。
サスティナブルの波がブライダルシーンにも!「NUMBER 5」が発信する独自のスタイル
ーーショップのコンセプトや特徴を教えてください。
ひとつのハンガーラックに、世界中から集めてきた5着、自分がいいと思った5着を飾ろうと思い、中東、ニューヨーク、ルーマニア、オーストラリア、イスラエルなど、世界中からバイイングしました。それがショップ名の「NUMBER 5」となりました。
5着のセレクトは買い付けのたびに変わりますが、ニューヨークブランド「キャロリーナ・ヘレラ」などは、王道のデザインがあります。削ぎ落とされていて、クラシックな中に、着るとモダンな要素もあり、変わらない美しさがあります。シンプルなものこそ素材とパターンが命ですが、レベルの高さを感じる上質なドレスです。
私以外のバイヤーも、経験が豊富で、センスの感度も高い人たちばかりです。モードな人や、お客様目線を持つ人、私は自分のロジックや感覚で選びますし、異なる個性ですが、バランスよくそろっていると自負しています。
ショップのコンセプトを5つ(1.5 DRESS、2.COUTURE、3.REUSE、4.OPEN DOOR、5."5 HOOD")掲げていますが、そのひとつに仲間(Hood)があります。
いろんな仲間たちとコラボレーションしたい、という想いがあり、例えば、流している音楽は長年一緒にやってきた仲間が毎月セレクトしてくれています。置いてある植栽も、撮影を共にしてきた仲間が管理してくれていたり。仲間に応援してもらったり、一緒にコラボしてイベントを開催したりとか、この業界で長い経験を積んで出会った人たちと、一緒に輝いて、いろんなことを発信していきたいと思っています。
また、コンセプトの中に、「リユース」があります。エシカルなことをしよう、地球に優しいことを、という風潮ですが、レンタルドレスは、完璧な状態でお貸しするのが常識です。これまでは、限度回数を超えたドレスは、破棄していたんですね。
しかし、お客様によっては傷に気がつかない人もたくさんいますし、一方、ひとつの傷も嫌な人もいます。それはお客様の価値観なので、どちらでも良いのですが、最近ではハワイで式を挙げる人が年間4万人ほどいます。また、沖縄、軽井沢などに招いて、ゲストに「体験」をしてもらう、というスタイルも人気です。
しかし、ドレスはリゾートや屋外ですと、汚れてしまったり、踏まれて破れる可能性もあるので、貸せないんです。
そこで、あえてダメージを気にせずお召しいただけるように、ユーズドのドレスを集めて、2階で販売をしています。完璧なドレスをお求めの方は1階で、2階のドレスなら、屋外で思いっきりダンスすることもできます。お値段も、10万から20万円台とお手頃です。また、ドレスは撮影だけ、といった方にも使っていただければと思います。
まるで美しいドレスが詰まった宝物箱!「NUMBER 5」のときめき空間
ーー最寄り駅から少し離れた、閑静な住宅地の一軒家を選んだ理由は?
私は、もともともウェディングプランナーになるのが夢でした。実はショップの側に以前あったレストラン「羽澤ガーデン」で、初めてウェディングプランナーになりました。それなので、このあたりは自分の夢が叶った場所で、自分にとってのターニングポイントというか、思い出の地なんです。
今回、自分の店をやろう、となった時に、私は駅から離れていても全然良いと思ったんです。アトリエ的な、わざわざ行く、というのもひとつのストーリーだし、駅近でビルの中、というよりは、離れていてひっそりとある隠れ家、のようなテーマで物件を探していました。
何か月にもわたり、何十軒と物件を周りましたが、ここが旧「羽澤ガーデン」の側ということで、運命を感じました。元コンゴ大使館ですが、フィッティングルームが必要なので、住宅としては珍しく、7LDKあるのも魅力的でした。
もともと茶色だった壁は、白に塗り直しました。当初はもっと暗い感じで、他の人はピンときていませんでしたが、私は「これは生き返る!」と。どうしてもここにしたいと思い、即決でした。
一見、普通の一軒家ですが、ニューヨークも雑居ビルの中にめちゃくちゃ素敵な空間があったりするので、そういう意外性もいいな、と思っています。
ーー大人のドレス選びについて、プロセスやオススメのディテールを教えてください。
ショップのスタイリストは、お客様をパッと見れば、どんなドレスが似合うか判断できる、プロフェッショナルです。ロジカルに、会場やパーティの時間、陽の差し方やホテルの照明などの条件から、相応しいディテールを提案します。
ただ、最近の花嫁様はドレスにとても詳しく、このブランドが着たい、とインスタグラムなどで勉強されていらっしゃる方も。前はスタイルなどで選びましたが、今は「キャロリーナを着たい」など意思がはっきりされているな、と思います。
私も40代ですが、お肌のハリ感はやはり若い方とは違いますよね。以前はベアトップが主流でしたが、全部デコルテを出すのは、結構ケアが必要だったりします。今のトレンドとして、袖がついていたりとか、カバーしているものが多いです。こういうものを、大人の方が着ると綺麗だと思います。キャロリーナのものなど、クラシックなデザインはかわいらしくなりすぎず、ちゃんと品をまとえます。
着こなしとしては、シンプルなドレスに、アクセサリーで遊ぶのも素敵です。ブレスレットだけつけてみたり、
華美な飾りをせず、良いものをさりげなくつけてみたり。以前は、パールが主流で、色もシルバーでしたが、最近はゴールドも良いです。
ウェディング自体がカトリックからきているので、白いサテンのグローブをつけて肩は出さない、など決まりに従わなくてはいけなかったり、白無垢もそうですけど、完璧なスタイルがあるじゃないですか。カッチリとやりたい、というのは割と20代らしい感じですけど、それ以降はどんどん崩していっていいと思います。無垢な花嫁、というのではなく、自分らしい花嫁、というのを作っていいと思います。
歳を重ねてきた、その人らしさや、個性をうまくだせるスタイリングをして良いと思うので、ゴールドや、普段のパーティでつけるようなものを合わせたり、色のものや、ハードなものを混ぜたり、その人の「らしさ」を出すのが素敵です。
「NUMBER 5」バイヤーが選ぶ、大人婚におすすめのレンタルドレス6選
山城さんが絶大な信頼を置くバイヤーの平川樹里亜さんに、大人の女性におすすめのウェディングドレスと、その着こなしについてアドバイスをいただきました。
実際の接客では、雰囲気はもちろんのこと、会話をしていく中でその人のテイストや価値観なども加味し、ドレスを提案するのだそう。平川さんのスタイリングセンスが光る6着のドレス、早速ご紹介いたします。
■1:N.Y.ブランド「CAROLINA HERRERA(キャロリーナ・ヘレラ)」のLola
「とろみのあるシルククレープがボディラインに優しく沿い、女性らしいシルエットを叶えます。たくさん良いものを見てきた大人の女性だからこそ、素材とシルエットに拘った究極にシンプルな1着を」
「首の長い方は、このピアスにネックレスを合わせても良いですが、逆に、ネックレスと一粒ダイヤのピアスを
合わせるスタイリングなら、人を選びません」
■2:シンプルなデザインは清楚にまとめて。「CAROLINA HERRERA(キャロリーナ・ヘレラ)」のLaurel
「美しいミカドシルクの光沢で、ワンランク上の上品さを叶えます。フロントはシンプルなボートネック、バックスタイルは腰元までざっくりと空いたバックシャンな1着です」
「切り替えの位置も低すぎないので、日本女性の体型にフィット。ウェストのタックが幅広いのでスッキリ、綺麗に見えます」
「このドレスは清楚に、ビジュー系のアクセサリーというよりは、パールを合わせるのが素敵です。」
■3:全身で身にまとうジュエリー!ロンドンブランド「JENNY PACKHAM(ジェニー・パッカム)」のDahlia
「繊細なシャンテリーレースに乳白色のビーディングが施された優雅なドレス。スタイリッシュさとクラシカルさを兼ね備えた、気品溢れる1着は、身に纏うだけで自信と誇りを与えてくれます」
「ビーディングが乳白色なので、シルバー系より、ゴールドを合わせて柔らかな雰囲気でまとめると素敵です。深いVが特徴の胸元のデザインですが、着るとレースがピタッと肌に寄り添うので、あまり気になりません。レトロな雰囲気があるので、邸宅のような会場に合うドレスです」
■4:レッドカーペットで不動の人気!N.Y.ブランド「REEM ACRA(リーム・アクラ)」のDIVINE DREAM
「チューリップが描かれた総レースに、細かなパールが散りばめられた1着は、DIVINE DREAM、まさに女神の夢のようなロマンティックさ。ハイネックにロングスリーブと、クラシカルなディティールが盛り込まれつつも、モダンに感じる、Reem Acraならではの技が光ります」
「ホテルウェディングに相応しいドレスです。レバノン出身のデザイナーで、オリエンタルなビジュー使いが得意なブランドです。女性が憧れる、ロマンティックでフェミニンな雰囲気があります。モダンというより古典的なので、将来アルバムを振り返った時にも、普遍的な美しさをいつでも感じられるでしょう」
「ヴェールは買取りの無地と、レンタルできるレースのご用意があります」
■5:セクシー過ぎないソフトマーメイドライン。イスラエルブランド「EISEN STEIN(アイゼン・スタイン)」のHearts
「イスラエルブランドらしいセクシーさ光る1着。ヌーディーなベースの生地に光沢感のあるエンブロイダリーレースが浮かびます。Aラインともソフトマーメイドとも言えない絶妙なラインは、女性らしい美しいボディラインに優しく沿います」
■6:3Dフラワーがゴージャス!イスラエルブランド「MIRA ZWILLINGER(ミラ・ズウィリンガー)」のSTEPHANIA
「シャンパンゴールドの糸でステッチされた大輪の花々が描かれた1着は、お色直しにおすすめ。ヘアスタイルはきゅっとタイトに、リップもテラコッタやボルドーなど、深みのある色でアクセントをプラスして」
「存在感があるので、顔立ちのハッキリした方にオススメです。こちらは親子でデザインを手掛けている今注目のブランドです」
以上、「NUMBER 5」バイヤー兼スタイリストの平川樹里亜さんセレクトの、大人婚におすすめのレンタルドレスを6着、ご紹介しました。
「私はセンスがないんですよ」と謙遜する山城さんが、「だけど、女性が好きなものがわかるんです」と語っていたのが印象的でした。
アートのようなモードではなく、世の中の多くの女性が、背伸びしたら届くかな、くらいの「ちょい憧れ」を表現するのが得意、という山城さんを具現化したようなレンタルドレスショップ「NUMBER 5」。
良い香りが漂う空間には、大人の女性の夢も叶えてくれる、感性を刺激する素敵なドレスがあふれていました。もし、大人婚を決めたなら、まずは気軽に、その世界観に触れに、足を運んでみてはいかがでしょうか?
※掲載された商品はすべて税抜きです。
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 神田朝子