DIOR(ディオール)の2020春夏オートクチュールコレクションのテーマは、「What if Women Ruled the World?(もし女性が世界を支配したならば?)」。アメリカのフェミニスト美術家、ジュディ・シカゴとコラボレーションして、コレクションを発表しました。
クリエイティブディレクターのマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)の依頼を受けて、ジュディ・シカゴは女神をイメージした、巨大なテントのようなインスタレーションを制作(※)。
テーマである「もし女性が世界を支配したならば?」に言葉を繋げるように、「男性と女性は平等になるか?」「年を取った女性は尊ばれるか?」「暴力はあるだろうか?」など、社会性のある問いを掲げた幕が飾られました。
古代ギリシアのペプロスにインスパイアされた、2020 SS ディオール の幻想的なコレクション
今回のコレクションのインスピレーション源は、女神アテナを表現した古典的な芸術作品。古代ギリシアの女性が着用していた長衣ペプロスを、現代のイブニングドレスにアレンジしたスタイルが多数登場。
ハウンドトゥースやヘリンボーンのようなメンズライクの素材にゴールドを織り込み、タキシードとしても活躍できるスカートとパンツ。襟のゆったりとしたウェストシェイプジャケット……それらにシャープなラインのドレープがぴったりと寄り添い、美しく幻想的な世界観を演出します。
140メートルものレースを使用!1,500時間かけて生み出された、豪華なドレスとは?
今回は、そのなかで1,500時間もの制作時間をかけて完成したドレスの舞台裏をエクスクルーシブにご紹介します。
ランウェイでも一際目を引いていたのが、こちらのレースのドレス。3色の異なるカラーに染色された7種類のレースを組み合わせた一着です。レースの総使用量は、なんと140メートル! そして、7人の職人が1,500時間もの時間をかけて完成させたそうです。
こちらのドレスの最大の魅力は、レースに施された繊細なフラワーのアップリケ。ひとつひとつ熟練した職人が手仕事で仕上げていきます。どこにどのようなバランスでアップリケを重ね、デザイナー画に忠実なドレスを生み出すのか。そして、モデルがドレスを纏ったときに最高に優雅に見えるようにするのか……。何度も試行錯誤を重ね、ミリ単位で調整したといいます。
このようにデリケートで緻密な物づくりは、商業的な制約が一切ないオートクチュールだからこそ。効率化やデジタル化が進む現代では、よりその贅沢さが際立つのではないでしょうか。
「一切の縫い目を感じさせず、まるで一枚のレースがモデルの体にふわりとまとわりついているように見せたい」という職人の思いが、見事ドレスに! ランウェイでは、ボディーのうえでレースがエレガントに揺れ、まるで女神のような異次元の美しさを醸してました。
この世のものとは思えないほど美しいドレスの制作秘話を、動画で独占公開!
こちらのドレスの制作裏はyoutubeでも視聴可能です。職人たちのコメントとともに、お楽しみください。
2020春夏オートクチュールコレクションのドレスの舞台裏はいかがでしたでしょうか。オートクチュールはプレタポルテとは違って現実感のないファッションのように感じる人もいるかもしれません。
しかし、最高のクラフツマンシップによって完成された精緻さが際立つルックたちを見ていると、芸術品に触れたときのような豊かな気持ちになるのでは?
また、ディオールが「What if Women Ruled the World?(もし女性が世界を支配したならば?)」をテーマにしたように、モードの社会への問いかけを知るきっかけにもなるのではないでしょうか。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 高橋京子
- EDIT :
- 石原あや乃