A・ロイド=ウェバーの日本初上演作品に、俳優・三浦春馬さんが挑戦
『キャッツ』や『エビータ』、『オペラ座の怪人』といったヒット・ミュージカルを次々と生み出してきたイギリス人作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバー。
最近では『キャッツ』が映画化されて大きな話題を呼んだばかりですが、その彼が1996年に発表した『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~』が、日本で初めて上演されることになりました。
1950年代のアメリカ南部ルイジアナを舞台に、主人公の脱獄囚“男(ザ・マン)”と、彼をイエス・キリストの生まれ変わりと信じ込んでしまう純真な少女・スワローを芯に描く物語で、劇中歌のひとつである『No Matter What』は、かつてアイルランドのボーイズグループ、ボーイゾーンによって吹き込まれ、世界的なヒットとなっています。
脱獄して納屋に身を潜めるうち、少女にキリストの生まれ変わりだと勘違いされ、彼女に本性を打ち明けられぬまま過ごすこととなってしまう主人公“男(ザ・マン)”を演じるのは、三浦春馬。初主演作であるブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』では、美脚も露わに、あでやかなコスチュームに身を包んでドラァグクイーンの役どころを熱演。
この1月には、今年アカデミー賞ノミネートを受けた歌姫シンシア・エリヴォのミュージカル・コンサートにスペシャルゲストとして出演、英語の原詞でミュージカル・ナンバーを歌いこなし、ブロードウェイのスターともデュエットするなど、堂々とした舞台姿を見せました。それぞれの楽曲に非常に素直に向き合い、今の自身の感情を乗せて歌っていたところが、非常に印象的。
『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~』で歌う楽曲『Unsettled Scores』も披露したのですが、役柄として、舞台作品の中で歌唱したとき、どのような感情表現を堪能できることとなるのか、期待を抱かせました。
ミュージカル作品といえば、圧倒的な音楽、歌の力によって、パフォーマーの心が客席へと伝わり、観客が大いに心揺さぶられるところがあるのがやはりその魅力。ロイド=ウェバーの楽曲を彼がどのように体現していくのか、注目したいところです。
ヒロインであるスワローを演じる生田絵梨花も、『ロミオ&ジュリエット』、『レ・ミゼラブル』、『モーツァルト!』、『キレイ~神様と待ち合わせした女~』といった話題のミュージカルで次々と主要な役どころを務め、躍進中。初顔合わせとなるふたりが見せる化学反応にも、期待が高まります。
Information
『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~』
ミュージカル界の巨匠、アンドリュー・ロイド=ウェバーの傑作を手がけるのは緻密な舞台演出で知られる白井 晃。三浦春馬&生田絵梨花という若き才能、そして美しい音楽と感動的なストーリーに酔いしれたい。
- 2020年3月7日(土)〜3月29日(日)
- 日生劇場、ほか TEL:03-3213-7221(帝国劇場内日生公演係)
※多数の方が集まるイベントについて中止または延期、規模を縮小などの対応を要請するという政府発表に従い、2020年3月7日(土)から3月10日(火)の公演が公演中止となっております。詳しくは公式ホームページをご確認ください。
- TEXT :
- Precious編集部
- BY :
- 『Precious4月号』小学館、2020年
- WRITING :
- 藤本真由(舞台評論家)
- EDIT :
- 宮田典子(HATSU)、喜多容子(Precious)