ブームと言われて久しい日本酒。スパークリングや、ワインのような甘酸っぱさを持つ新タイプなど、味わいのバリエーションも広がっています。蔵元の個性が光るお酒が次々誕生する中、「好きな日本酒をどのように探したらいいの?」そんな疑問に答えるべく、今の季節ならではの味わいを楽しめる夏酒を、千葉県・船橋市にある人気地酒店「矢島酒店」の三代目店主・矢島幹也さんにセレクトしてもらいました!

千葉県・船橋市にある人気地酒店「矢島酒店」
千葉県・船橋市にある人気地酒店「矢島酒店」

■1:アフス brewer cask ♯A16 純米生原酒/木戸泉酒造(千葉県)

日本酒に苦手意識があった人やワイン好きの心をも掴む、フレッシュな味わいが人気の銘柄。アルコール度数が低めなことも、飲みやすさに大きく影響しているそう。「市場に出回っている日本酒は、アルコール度数18%程の原酒を水で割り調整(加水)することで、16%前後まで下げたものが主流です。こちらは、13%の原酒。軽快な飲み口で品がいいんです。軽くても飲みごたえは、しっかり。ワイングラスに入れて昼から一杯。そんな楽しみ方もしやすいお酒です」。

1,800ml 3,500円
1,800ml 3,500円

■2:山形正宗 まろら 純米吟醸/水戸部酒造(山形県)

世界で初めて、「マロラクティック発酵技術」を活用した水戸部酒造の「実験酒」。聞き慣れない言葉ですが、これはもともとワイン醸造で用いられる製法だそう。「乳酸菌の働きによって、お酒に含まれるリンゴ酸を乳酸に変化をさせる発酵方法なんです。この機能によって酸味が和らぎ、まろやかな甘みを感じる仕上がりになっています」。

サイズは、四号瓶(720ml)のみ。一般的なワインボトル(750ml)とほぼ同サイズ、そしてモダンなラベルは洋食の並ぶテーブルにもしっくりと馴染みそう。「冷やしはもちろん、温めてもおいしいんです。ロックで飲んでも味わいが崩れません」。

720ml 1,800円
720ml 1,800円

■3:荷札酒 純米大吟醸生詰原酒/加茂錦酒造(新潟県)

わずか24歳の杜氏が率いる、躍進めざましい業界の注目株がこちら。加茂錦といえば明治26年創業の新潟の老舗の酒造。「伝統は守りつつ、現代の多様化した食事スタイルの中でおいしく飲めるお酒づくりに邁進している酒蔵です。微炭酸で、フルーティーな味わいは、女性にもきっと飲みやすいはず。味はもちろん、これからの日本酒界を担っていくであろう若手の情熱やセンスにも惚れました!」荷札を模した、“魅せる”ラベルも目を引く一品です。

1,800ml 2,980円
1,800ml 2,980円

■4:宝剣 涼香吟醸/宝剣酒造(広島県)

辛口の王道、とも言える吟醸酒の夏季限定品は、矢島酒店でも毎年早々に完売をするほどの人気者。
「広島県でも希少と言われる「宝剣名水」を、原料の洗米から仕込みの水まで全てに使用するこだわりようです。“とりあえずビール!”ではなく、“とりあえず涼香吟醸!”が目標という蔵元の言葉通り、一杯目からゴクゴク飲みたくなるのど越しと旨味を感じます。暑い夏にこそ実感する、爽やかさが魅力です。毎日飲んでも、飽きないんですよね」。

1,800ml 2,700円  6〜9月ごろまでの限定発売品
1,800ml 2,700円  6〜9月ごろまでの限定発売品

■5:みむろ杉 ろまんシリーズ 純米吟醸 山田錦 火入れ/今西酒造(奈良県)

350年もの歴史を持つ酒造が手がける一品。「東京でサラリーマンをしていた現14代目蔵元が故郷に戻り、4年前にスタートした新ブランドなんです。これまでの伝統を大切にしながらも、最新の設備を取り入れストイックに”おいしい酒”を追求しています。ジューシーな旨みがあるのにキレも抜群。バーベキューや揚げ物との相性もピッタリです」。

1,800ml 2,700円
1,800ml 2,700円

今は「日本酒新時代」。これまでにない酒が次々に登場している

日本酒ブームの背景には、個性豊かな味わいが増えたことにあるといいます。
「日本酒は、これまで酒蔵が季節限定で杜氏を雇い、杜氏の経験に頼った造り方をしていたんですね。そのレシピは、蔵元のトップでさえ把握できないほど門外不出のものでした。それがこの10年ほどで蔵元=杜氏というスタイルが増えてきたんです。そうすると、蔵元が造りたいお酒をダイレクトに造れるわけです。以前なら、地域や造り方の差で味の特徴が掴めたところが、今はそれぞれの“酒蔵による違い”というふうに変わってきています。若い造り手も増え、蔵元同士の交流も盛んです。おいしい日本酒を作って地元を盛り上げていこうとする動きも、ますます活気づいていくと思います」。

伝統を守りながらも、新たなアプローチで作られる日本酒が続々と登場する今。型にはまらない、自由な飲み方が楽しめそうです。

「難しく感じるかもしれない日本酒も、馴染みのあるお米が原料ですから。色々と飲み比べして、お気に入りを見つけてみてください!」

まさに「古くて新しい」日本酒の魅力。まずは一本気軽に選んでみたら、きっと家飲みが楽しくなること請け合いです!

日本酒約400種のほか、本格焼酎100種、ワイン100種が陳列された店内
日本酒約400種のほか、本格焼酎100種、ワイン100種が陳列された店内

※価格はすべて税抜です。

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この記事の執筆者
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PHOTO :
品田健人
EDIT&WRITING :
八木由希乃