夏号の特集「男だからこそ美しい 洗練ゴールドの名品時計」では、日常のシーンを鮮やかに彩る名品時計の着こなしスタイルを披露した。ここでは、掲載された7本のゴールド時計の詳細を徹底レポート。第6回は、A.ランゲ&ゾーネの『ランゲ1』だ。

雑誌メンズプレシャス夏号で紹介した名品時計の詳細をレポート!

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書斎で、旅先で、じっくりと名酒に酔いしれるように、時を刻むその姿に心を奪われる。A.ランゲ&ゾーネの腕時計『ランゲ1』は、大人の男にとってかけがえのない時間を演出してくれる無二の相棒である。メンズプレシャス夏号P44より

自らのフラッグシップコレクションを、「アイコンウォッチ」と語るブランドはとても多い。しかし、実はメンズウォッチに関しては、「アイコンウォッチ」というものはとても限られている。

そもそも「アイコンウォッチ」の定義自体が曖昧ではあるが、ひと目見ただけで、どのブランドのどの時計か識別できるものと定義すると、ケースフォルムのバリエーションがレディースほど多くないメンズウォッチで、瞬時に「それ」と判別できるアイコニックな顔つきの時計をデザインすることは容易ではないからだろう。

そのようななか、紛うことなき「アイコンウォッチ」と、誰もが認めざるを得ないのが、A.ランゲ&ゾーネの『ランゲ1』だ。

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 A.ランゲ&ゾーネ『ランゲ1』 ●手巻き ●ピンクゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケース径/38.5mm ¥3,800,000 ※税抜価格

1845年に創業し、ドイツが誇る高級時計メーカーとして名を轟かせたものの、第二次世界大戦の影響で長い間休眠せざるを得なかった悲劇のブランドが、東西ドイツの統合により、50年あまりの長い眠りから覚醒。見事に蘇ったのは1990年のことだった。その際、ブランド再興のファーストコレクションとして誕生したのが、『ランゲ1』である。

質実剛健なジャーマンデザインの美学が、その隅々に行きわたる

オフセンターのダイヤル、そしてアウトサイズデイトーー 『ランゲ1』を『ランゲ1』たらしめる特徴的なこのデザインの「異形の美」は、瞬く間に世界中の時計愛好家たちの心を捉えた。以来、26年の歳月が経ったが、この大胆で突出した個性をもつダイヤルデザインは基本的に変わることなく現在まで至り、A.ランゲ&ゾーネの時計製造のフィロソフィーを体現する「アイコンウォッチ」として輝き続けている。

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一般的な時計の日付表示と比べて3倍の大きさと言われる、アウトサイズデイト。『ランゲ1』を象徴するデザインのひとつ。その原型となったのは、ドイツ・ドレスデンのゼンパー歌劇場にある有名な五分時計。

現在では、ムーンフェイズやタイムゾーン、トゥールビヨン・パーペチュアル カレンダーといった複雑機構搭載のモデルを含め、全部で9モデルの展開となっているが、この時計の非凡なデザインをストレートに堪能できるのは、やはりすべてのモデルのベースとなっているこの『ランゲ1』だろう。ケース素材は、ホワイトゴールド、イエローゴールド、ピンクゴールドの3種類。

ケース素材や搭載する機構が変わっても、揺るぎない存在感を放つ『ランゲ1』

A.ランゲ&ゾーネの、ウォッチメイキングに対する真摯な姿勢から、ある意味ストイックなイメージのあるブランドだけに、色のついたゴールドよりもホワイトゴールドやプラチナの印象が強いという人も多いかもしれない。とびきりシャープに、そしてモダンに映る、その表情も確かに魅力的だ。しかし一方で、ピンクゴールドやイエローゴールドの「華」や「艶」によって見せる柔和な表情も、この稀有な時計にはとてもマッチするのだ。

創業者、フェルディナント・アドルフ・ランゲが、ドイツのザクセンに時計産業を興して、175年。その間、どんな困難も乗り越えてきたA.ランゲ&ゾーネというブランドを象徴する『ランゲ1』は、これからどんな物語を紡いでいくだろうか。

問い合わせ先

A.ランゲ&ゾーネ

TEL:03-4461-8080


<出典>
MEN'S Precious2020年夏号「新しい時代に!男の人生を決める『名品ウォッチ』」
【内容紹介】男の人生を決める「名品ウォッチ」/真夏のラグジュアリー名品/ラグジュアリー・ボートへようこそ/名車と名品小物の美しき相関関係/大人の美容塾スタート!
2020年8月6日発売 ¥1,230(税込)

メンズプレシャス夏号8月6日発売!「新しい時代のスタイル」を身につけよう!

この記事の執筆者
東京都出身。本格時計のムックの編集、執筆を手掛けたことをきっかけに機械式時計の魅力に開眼。日本の女性誌において、機械式時計の魅力を啓蒙した第一人者として知られる一方で、男性誌や専門誌にも数多く寄稿。メンズウォッチを語れる稀有な女性ジャーナリストとして多方面で活躍中。スイスの時計フェアの取材歴は20年と、業界屈指のキャリアを誇る。一方、持ち前の好奇心で、趣味である旅や食に関する執筆もしばしば展開している。
PHOTO :
水田 学(NOSTY)
STYLIST :
菊池陽之介
MODEL :
Dylan VT