私の大切なもの──気持ちが伝わるのは、やっぱり手書きの「手紙」です

私がふだんから大切にしているのは「手紙」。よく書くのは、何かをいただいたときのお礼状ですね。“鳩居堂”の季節のハガキがお気に入りで、愛用の“モンブラン”の万年筆で書いています。手書きにこだわっているのは、それがいちばん気持ちが伝わると思っているから。「◯◯をいただいてありがとうございました」の「◯◯」の部分だけ後から入れるような、印刷されたハガキを見かけることもありますが、そんな簡単に済ませるくらいなら、送らなければいいのにと思ってしまいます(笑)。

林真理子さん

有名な方でもファンの方でも、何かをいただいたら自分でお礼状を書くので、驚かれることもあります。なるべくいただいたらすぐに書くようにしているのですが、毎回は難しいものですね。お礼状から始まって文通になることもあるので、レターセットもいろいろもっています。”G.C.PRESS”でオーダーしたオリジナルのレターセットを使ったり、かわいいシールを貼ったり。

G.C.PRESSでオーダしたレターセットとモンブランの万年筆

万年筆は中学生のころから使っていて、お祝いでいただいたのがきっかけでした。でも原稿を書くときは、万年筆は使いません。いつも使っているサインペンがあって、筆圧をかけずに流れるように書いています。原稿も手書き、スケジュールの管理も手帳に手書きなので、メールやLINEなどはしないのかというと…プライベートではどちらも使っています。主にママ友とのやりとりですが、LINEのスタンプも使っているんですよ(笑)。

パンダのシール

手紙は自分が書くだけでなく、いただいたものも大切に保管しています。今日は、東日本大震災後に支援してきた女の子から「大学に入った」というお手紙をもらって、すごくうれしかったですね。

やはり、気持ちが伝わるので手紙が好きなんだと思います。

私の大切な「こと」──東日本大震災をきっかけに、ボランティアに力を

東日本大震災後に、作曲家の三枝成彰さんに声をかけていただいたのがきっかけで、震災孤児や遺児の文化・スポーツ活動を支援する「3.11塾」に参加し、今は会長代行を務めています。

林真理子さん

「3.11塾」では、子供たちのサポートや、そのためのミーティング、サントリーホールで行われているチャリティコンサートのようなイベントも行っています。毎年、子供たちと旅行に行くなど、直接関わる時間を多くもっていると、前回、大切な「もの」のときにもお話したのですが、支援している子から「大学に受かった」という手紙をもらったりして、とてもうれしいものですね。

林真理子さんと3.11塾のメンバー

「エンジン01文化戦略会議」というボランティア集団では、各分野で活躍する人たちが集まり、相互に学びあい、新しい文化を築くための土壌づくりや、次世代へ伝えていくための活動を行っています。各業界のプロフェッショナルによるセミナーやオープンカレッジを開いたり、地方自治体から依頼があった場合には、イベントへ講師の派遣もしています。この活動が年に3、4回はありますね。

イベント講師の模様

「長く仕事を続けるうちに、収入の3割ぶんは社会活動に使うようになる」という話を聞いたことがあるのですが、今の状態は3割どころではないですね(笑)。ふだんの仕事に加えてボランティア活動の忙しい時期が重なると、家を空ける日が多くなります。すると夫の機嫌が悪くなるのですが、見ないふりをしちゃいます(笑)。

イベントで話す林さん

震災前は、ボランティア活動に特別熱心だったわけではありません。震災を経て自分に何ができるんだろう、と考えていたときにお声がけいただいて始めたのですが、たとえば知人にお願いして子供たちにテレビ局の見学をさせてもらったり、著名な方やママ友に協力してもらい給食をつくりに行ったり、今の自分の立場だからできることもあるのかな、と感じています。

私の大切な「時間」──インプットのためにも欠かせない、毎日の「朝時間」

毎日の中でいちばん大切にしているのは「朝の時間」かもしれません。何時に寝ても、毎朝6時に起きて娘のお弁当をつくり家事を済ませ、7時半に娘を送り出してからが自分の時間です。主に新聞やワイドショーを見て過ごします。

林真理子さん

新聞は『朝日新聞』『日本経済新聞』『毎日新聞』をわりとすみずみまで読んでいます。あと『スポニチ』は芸能ページですね。ほかは競馬の記事とかになってしまうので(笑)。スポーツ新聞を読んだりワイドショーをチェックするのは、対談の仕事もあることから、芸能界の動向を見るためです。これが話題なのか、とか、こういう方が出てきたのか、など頭の片隅にインプットしておきます。

時間を無駄に使ってしまうので、インターネットの記事は基本的に読みません。必要な情報は新聞とテレビで得ていますね。好きなおやつをいただくのも、この時間です。最近いただいて美味しかったのは、小山ロールで有名な「パティシエ エス コヤマ」の特製スイーツ。定番でお気に入りなのは、農家の方から送っていただいている、お芋を丸ごと一本干した干し芋です。大福も好きですね。

林さんが愛読している新聞

空いた時間に読めるよう、本もいつも持ち歩いています。今は西郷隆盛の伝記『西郷どん!』を連載しているので、幕末物ばかり読んでいます。ひとつの作品を書き上げるのには、1年から3年くらいかかります。複数のものを同時進行で書いているから、頭の切り替えが大変!

持ち歩いている本の一部

美容にも時間をかけるようにしています。今は美容鍼によく通っていますが、エステやストレッチトレーニングにも定期的に。ヘアとネイルのサロンは家の近所にしています。予約して遠くに出かける時間がないので、家から普段着でも行かれるくらいの距離で完結。髪を切るなど大きなことは、青山のヘアサロンへ行きますが、ふだんのお手入れは時短を重視しています。髪をきれいにしておくことは、年齢を重ねるにつれて大切にするようになりました。歯の美容院では、ホワイトニングもしています。25、6年診ていただいているところなので、状態を知り尽くしてくださっていて安心です。

あとはお茶のお稽古も月に3回ほど。執筆活動はもちろんですが、会食もほぼ毎日あって、本当に時間がありません。どうやってやりくりしているのかとよく聞かれますが、自分なりのルールを決めています。会食に行っても、二次会にはほとんど行きません。子供がいるということもありますが、楽しく食事をして、パッと切り上げて帰るのが自分の生活リズムに合っているのでしょうね。とはいえ、いつでも時間を無駄なく使えているかというと、ダラダラしてしまうこともあって、そうとは言いきれないのですが。でも、自分の中で物事の優先順位をつけるなど、いつも時間の使い方を意識するようにしています。

 

この記事の執筆者
TEXT :
林 真理子さん 作家
2019.2.16 更新
1954年生まれ。山梨県出身。日本大学藝術学部文芸学科を卒業後、コピーライターを経て、1982年にエッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を出版。1986年『最終便に間に合えば』『京都まで』により直木賞を受賞。現在は数々の文学賞の選考委員を務める。『我らがパラダイス』(毎日新聞)、『夜ふけのなわとび』(週刊文春)、『美女入門』(an・an)、『マリコのゲストコレクション』(週刊朝日)ほか、多数連載中。 好きなもの:初夏、お寿司、クラシック、オペラのアリア「私のお父さん」、ティファニー ブルー、誠実、咲きかけの淡いピンクのバラ、高知県
公式サイト:林 真理子ブログ あれもこれも日記
クレジット :
撮影/三浦憲治 ヘア&メイクアップ/市川摩衣子 構成/安念美和子