山梨の古民家一棟貸し宿「るうふ丘之家」宿泊体験レポート
行楽の秋。すっかり夏の面影は消えて涼しくなり、外に出ると気持ちのいいシーズンとなってきました。こんな時期には、ちょっと自然の多い土地に羽根を伸ばして、ゆっくりしたくなるものですよね。
Go Toトラベルキャンペーンに東京が追加されたことで、全国的に旅行OKのムードも少しずつ高まってはいますが、まだまだ油断は禁物のウィズコロナ期。旅行をするのにも密を避けたりソーシャルディスタンスを保ったりなど、配慮しなければならないと思うとなかなか羽根を伸ばしきれません。
そんなウィズコロナ期にぴったりなのが、9月に山梨県牧丘町にオープンしたばかりの一棟貸しの宿「るうふ 丘之家」。少しコンセプトは変わりますが、同じく山梨県の身延町にオープンした「るうふ 書之家」と、2014年にオープンし、丘之家、書之家のオープンと同じタイミングでリニューアルした「るうふ 澤之家」もあります。
どの宿も一棟貸しなので他の宿泊客とバッティングする心配もなく、身内だけでゆったりと過ごすことができます。
本記事では、実際に「るうふ 丘之家」に宿泊した感想とともに、施設をくまなくご紹介します。
チェックインはタブレットでスムーズに
宿泊当日はあいにくの雨。ですが、車で行けば家のすぐ前に停めることができるため、ほとんど濡れることなく宿に入ることができました。
外から見ても本当に大きな一軒家ですが、まるまるひと組で泊まれる宿泊施設なのだから贅沢です。定員は2~8名ですが、今は夫婦やカップルなど、ごく少人数で宿泊する人が多いそう。
中に入ると、このくらいの奥行き! 入って目の前がこちらのリビングで、左手に2部屋の寝室があります。寝室にはそれぞれベッドが3つ置いてあり、さらに布団も敷けるので、MAXの8名で宿泊してもかなりゆったりと過ごせそうだと感じました。
チェックインとチェックアウトは、なんと館内のiPadにてオンライン上で済ますことができます。困ったことがあれば、iPadでオンライン越しに顔を見ながら話すこともできますし、チャットの利用も可能。滞在中は人に会うことなく、ソーシャルディスタンスなどを気にすることもなく快適に過ごせますよ。
玄関には、大人用の羽織が。ちょっと肌寒いときや、庭を散策する際に羽織るのもいいですね。和服をモチーフにしたおしゃれなデザインで、なんだか気分も上がります。
アメニティーも充実。室内着として上下黒の作務衣風パジャマもあります。こちらのパジャマに羽織りを羽織ったスタイルで過ごすのがラクですよ。子どもには、子ども用の作務衣もあります。1~2歳くらいの小さな子ども用のサイズはないため、赤ちゃん連れの場合は寝間着を別に用意していったほうがいいでしょう。
ちなみにお風呂は、昭和後期に使われていたという檜の一種「椹(さわら)」の湯舟でゆっくりと。大人であれば1人でいっぱいくらいの小さなお風呂です。風情があっていいですよね。
もっと大きなお風呂がいい!という方は、車で5分もかからないほど近くに天然湯の銭湯「はやぶさの湯」もあります。スタッフの方おすすめとのことで実際に行ってきましたが、露天風呂もありお湯の質もよく、気持ちよく足を伸ばすことができました。お風呂上りにゆっくり寝ころべそうな畳のスペースではご飯を注文して食べることもでき、のんびりできそうです。
2階では山梨ならではの「ぶどう染め体験」を
2階には山梨ならではの「ぶどう染め体験」ができる小部屋があります。こちらも、スタッフの方に教えてもらうこともできますが、とても簡単なのでやり方だけiPadで確認したら自分たちだけでやることも可能です。
「ぶどう染め」といっても季節によって染料のもとは変わります。宿泊した時期はくるみを使用していました。くるみの時期が終わると、ぶどうの枝になるそう。他にも柿、ユーカリなど、使うものによってもちろん色も変わります。
アメニティーの入っていた小さな布袋を染めていきます。やり方はとても簡単!
最初は染み込みをよくするために水の入った鍋につけて、それからくるみを煮出した40℃以上のお湯が入った鍋に入れてよく揉み込み、次に灰が入った水につけて最後また水につけます。くるみのお湯と灰の水につけている時間が長いほど、よく染まるそうです。だいたい5分~30分ほどで染まります。
小さな子どもでもできるほど簡単に、この地域に伝わる伝統的な生活文化を体験できるのはうれしいですよね。宿泊の際は、ぜひトライしてみてください。
晴れている日は庭のたき火で団らんのひととき
今回はあいにくの雨だったためほとんど庭には出ませんでしたが、晴れていればたき火が楽しめるのもこの宿のいいところ。火の起こし方もiPadに説明がありますが、難しくてできないという場合はスタッフにやってもらうことも可能です。
火を囲みながら団らんのひとときなんて、自宅ではなかなか体験できないですよね。緑に囲まれた自然豊かな土地で、パチパチを火がはぜる音を聴きながら、身も心も癒されていきそうです。
夕飯は豪華食材を炭火でいただく「囲炉裏山賊料理プラン」
夕食は、室内にある囲炉裏でいただきます。これもなかなか自宅ではできない体験ですね。囲炉裏の火起こしもやり方の説明を見れば簡単にできますが、夕飯の準備も含めスタッフにやってもらうか、自分たちでやるかを選ぶことができます。
今回、いただいたのは「囲炉裏山賊料理プラン」。旬の前菜3種に、地元の素材をたっぷり使った囲炉裏炭火焼の主菜、〆にはお茶漬けが登場する贅沢な食卓です。
写真は大人4人分の量。ニジマスの塩焼き、ホタテバター醤油、厚揚げ、季節の丸ごと野菜焼き4種、山梨県産五味醤油の塩麹漬けリブロースステーキ、甲斐信玄鶏の照り焼きとこれでもかというほどの豪華ラインナップ!
中でもこちらの鯛の塩釜は圧巻! 外でたき火ができるようであれば、たき火でこの塩釜を完成させることもできるそうです。なんとも贅沢ですね。
鯛の塩釜はそのまま食べてももちろんおいしいのですが、身をほぐして釜で炊いた白飯にのせて、用意してあるだし汁をかけて〆のお茶漬けとして食べるのが絶品です!
なんと、追加注文しなくてもこれだけの量が冷蔵庫に元々入っています(大人1名1セット/ビール 1本、酎ハイ 1缶、ハイボール 1本、オレンジジュース 1瓶、コーラ 1瓶、水ペットボトル 1本)。ワインも1本購入(¥3,500)で持ち込み放題! 部屋食なので、お酒に酔ったとしてもそのまま寝室で寝てしまえばいいという気楽さがいいですね。
11時チェックアウトで朝時間もゆったりと
朝食は自分たちでセッティング。冷蔵庫にすでに用意してあるお重を出して、鮭を焼いてごはんをよそい、お重の中にある味噌玉をお湯でといて味噌汁をつくれば完成です。日本人定番の朝食にほっとします。
チェックアウトは11時なので、ゆっくりと朝時間を過ごせます。
寝室のさらに奥にある小部屋に用意してあるのは、封筒と便せん。これは、「1年後の自分に書く手紙」です。
書くのは、朝でも夜でも構いません。ゆっくりと自分のことを振り返りながら、1年先の未来を思い描くことで、忙しい日々の中で忘れてしまいそうな大切なことを思い出すきっかけになるかもしれません。
書き終わったら封筒にしまって、宛名を書いたらそのまま置いておけばOK。1年後に自分からのメッセージが届きます。1年前の自分は何を考えていたのか……日記をつけていても意外と忘れているもの。確認するのが楽しみですね。
台所にあるコーヒーミルで、コーヒー豆からひいてコーヒーを淹れてみるのも贅沢な時間の過ごし方。素早く飲みたい方には、コーヒー粉や紅茶・緑茶のティーバッグもありますよ。
ソファで、囲炉裏の前で、縁側で、庭で……好きな場所でゆっくりと、コーヒーやお茶を飲んでひと息ついてみてください。
観光に、ステイケーションに、リモートワークに…思い思いの過ごし方を
宿の近くにはぶどう畑があり、季節によって1kg¥1,200でぶどう狩り体験ができます。ぶどう以外にも、ももやキウイなど時期によって採れるものは異なります。フルーツ狩りがしたい方は、事前に問い合わせてみてください。
「丘之家」でぶどう染め体験ができるように、「澤之家」でははんこづくり、「書之家」では和紙づくりや書道体験ができるそう。それぞれ違った魅力のある古民家になっているので、お好みにあわせて検討してみてください。
観光スポットも多い山梨ですが、宿でゆったりと過ごすステイケーションが向いている宿だと感じました。もちろんWi-Fi環境もしっかり整っているので、ワ―ケーション利用もおすすめです。
ウィズコロナ期の旅行は、あちこちと人の多い観光地へ行くより、人との接触が少ない宿でのステイケーションに注目が集まっています。まさに、そんな旅の仕方にぴったりな「るうふ 丘之家」。旅でリフレッシュしたい方はぜひ、暮らすように泊まれる「るうふ 丘之家」に足を運んでみてくださいね。
問い合わせ先
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住所/山梨県山梨市牧丘町西保下1746 - 料金/1泊1名¥18,000~(税・サービス料別途、宿泊人数・季節により変動)
定員/2~8名
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 小林麻美