結果を出せるキャリアウーマンを目指すなら、仕事のスキルを磨くことに加え、人間関係を円滑にするためのコミュニケーション能力も身につけたいですよね。他人への配慮を欠く人は、どんな共同体でも敬遠されがちです。

けれども、無意識に「上から目線」だと思われる行動や言動を取って、他人に不快感を与えてしまっているとしたら……? それはどんな行動や言動なのでしょう。

1000社以上の企業を訪問し、8000人を超えるビジネスパーソンと共に仕事をしてきたコンサルタントの安達裕哉さんにお聞きしました。

■1:人をすぐに自分の基準で評価する

 

安達さんは「特定の目的で上から目線を使っている人は、少なからず存在します」と指摘します。たとえば、権威を必要とする職業の人や専門家、管理職たちが「上から目線」になるのは自然なことである、とも。不幸なのは、本人が自覚していない状態で、知らず知らず上から目線になっている人なのだそうです。

理由は、ほとんどの人にとって、その人は単なるコミュニケーションのとりづらい人になってしまうから。無意識のうちに上から目線になっている人は、友だちや家族に疎まれるだけでなく、仕事でもかなりの損をしてしまう、とのこと。よく「悪くないよ、でも……」などと評価してしまう人は、注意したほうがいいそうです。

では、こういった発言をやめるには一体どうすればいいのでしょうか?

「人を評価することは難しいことです。評価基準によっては、相手を不快にさせてしまうケースも多々あります。賞賛も上から目線になる場合があるので難しいのですが、どちらかというと、評価したり賞賛したりするよりも、相手の話を聞くほうがいいのです。こちらからはなるべく評価をせずに、逆に、相手の評価を聞いたほうが、実は人間関係はうまくいきやすいです」

つい、「いいと思うけど、ここがちょっと……」などと言いたくなることもありますが、気をつけたいですね。

■2:物事の勝ち負け、序列、格差にこだわる

続けて、「勝ち負け、序列、格差というキーワードに敏感な方は、上から目線を生み出しやすいです」と安達さんは言います。

「つい先日、ある女性がパートナーからプレゼントしてもらったジュエリーを周りの人に見せたところ、ジュエリーブランドの序列について語りはじめた人がいました。当然、女性はいい気持ちはしなかっただろうと思います。

どうしても、勝ち負けや、序列や、格差が気になってしまう話題は、自分が関心をもつ話題だと思います。知らず知らずのうちにやってしまっている場合、解決はなかなか難しいのですが、そういった話題を持ち出さないようにすることがよいのではないでしょうか。

昔から『政治とスポーツと宗教の話はするな』といわれていますが、たとえば、年収の話、夫が勤めている会社の規模の話などは、相手からされない限りは、自分からはしないほうがよいでしょう。お金がちらつくような話はみんなが過敏に反応しますので、そういう話は自分からはしないと決めておくとよいと思います」

日常のちょっとしたおしゃべりも、見直す必要があるかもしれません。

■3:相手を理解する前に自分の主張をする

 

それから、「主張が強すぎると、上から目線を生みだしやすい」そう。

「ある”意識高い系”と言われる学生の話です。その学生は、よく勉強し、就職活動もうまくいっていたので、後輩から就職活動のアドバイスを求められました。しかし次第に後輩の相談に乗るという役割を忘れ、ひたすら自分の主張を後輩に押しつけていました」

たとえば、「この時期にエントリーシートを○社に出していないなんて、ありえないわ」「○○の説明会に行っていないの? それはやばい」「この時期には○社くらいの内定を持っていないと、失敗だよ」など。その結果、「あの人は、上から目線でムカつく」という噂が立ってしまったのだとか。

「主張したいけど相手の理解はしたくないというのは、どうしてもやってしまいがちなのですが、自分と相手の話している時間の割合を振り返るとよいのでは、と思います。相手が話している時間が8割で、自分が話している時間が2割くらいが、ちょうど相手が気持ちよく話せるバランスらしいのです。私も、ときどき、どれくらいの割合で話しているのかと時間を振り返るようにしています」

主張してしまっていないかと気をつけると共に、「8対2」の割合を憶えておくと、人間関係がより円滑になりそうですね。

■4:誰かに何かを教えたい気持ちが強すぎる

さらに、「教えることは、上から目線と紙一重であり、勘違いされやすいです」とも。

「学びは『自分が無知である』と仮定しなければ得られないものです。従って、教えたい人は、相手に自分が無知であると考えることを強制することになるため、上から目線ととらえられやすいです。

『私の言うとおりにやれば大丈夫ですよ』などという発言は親切心からであることも多いのですが、上から目線と見られることもあります。教えたがる人には私はよく『人間は基本的に教わりたくないのです』と申し上げています。よほど困っているときは別ですが、『教えてください』と言われない限りは、教える必要はないと考えることも、円滑な人間関係を築くうえでは役にたつのではないかと思います」

ちなみに安達さんは「指示はしますが、『教えてください』と言われない限り、自分から積極的に教えることはありません。教えることは余計なお世話だと思っていますので」と教えてくれました。

心当たりがある人は一度、普段の言動を振り返ってみてはいかがでしょう。

■5:人を試すことが大好き

 

キャリアを積んだ女性が特に気をつけたいのは、「人を試すこと」。

「質問に質問で返すことや、『○○って知っていますか?』といった人を試すような質問が多いと、上から目線という評価を受けますが、『試している』という自覚がない人がけっこういます。上司から部下への質問は試すことになりがちですが、言い方を間違えると、『あの上司、上から目線だよね』と嫌われることになります」

これはよく口にしがちな質問なので注意したいですね。どうすれば改善していけるのでしょうか?

「たとえば、部下への質問なら『知っていると思うけど』などのクッション的なひと言を挟み、あなたは知っていると思うけど、という前提で質問をするとうまくいくことが多いです。当然、上司になれば部下を試さなければならないケースは発生しますが、言い方しだいで部下のモチベーションはかなり変わってくるものです」

この「クッション言葉」ひとつで、部下からの印象は大きく変わりそうですね。

 

以上、無意識のうちに上から目線をしていて嫌われる人の5つの特徴と、その解決策をご紹介しました。

人間関係での悩みは尽きないものですが、自分のちょっとした心がけしだいで、「あの人、すてきだよね」と好感を持ってもらえるようになれば、仕事もプライベートもますます充実していくことでしょう。コミュニケーション能力というものが話題にされやすい現代だからこそ、自分の普段の言動や行動を見つめ直したいですね。

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PROFILE
安達 裕哉(あだち ゆうや)さん
1975年東京都生まれ。筑波大学環境科学研究科修了。世界4大会計事務所の1つである、Deloitteに入社し、12年間コンサルティングに従事。在職中、社内ベンチャーであるトーマツイノベーション株式会社の立ち上げに参画し、東京支社長、大阪支社長を歴任。その後、起業して、仕事、マネジメントに関するメディア「Books&Apps」を運営する一方で、企業の現場でコンサルティング活動を行う。
『仕事で必要な「本当のコミュニケーション能力」はどう身につければいいのか?』安達裕哉・著 日本実業出版社刊
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
竹内みちまろ