2020年に発売されたラグジュアリーウォッチから、40~50代にふさわしい逸品をカテゴリーごとに選出する『Precious WATCH AWARD』。
3年目の今回も高い審美眼をもつ8人のプロフェッショナルが、華やかに出そろったニューモデルのすべてを吟味し最高の一本を決定しました。
『Precious WATCH AWARD』の発表号である、最新『Precious』1月号で、編集部と時計のプロフェッショナルが2020年ラグジュアリーウォッチ【5つの潮流】を分析していています。
2020年ラグジュアリーウォッチ「5つの潮流」
例年のようなスイスでの大規模な発表会はなかったものの、各ブランドがそれぞれクリエイションへの矜持と情熱を込めた最新ウォッチを発表した2020年。
なかでも、これからのレディスウォッチの方向性を感じさせる際立った5つの傾向を、ジャーナリストの並木浩一さんと本間恵子さんのお2人のコメントを踏まえがら、ご紹介します。
■1:高度な機械式モデルを魅せるデザインに昇華!メカの美しい表現の充実
女性の間にも、本格的な機械式こそ、ラグジュアリーウォッチであるという考えが広がり、優れたメカの機構を生かした時計が増加。なかでも今年は、精緻な機構をデザインの主役に据えたものがいくつも登場し、審査員の称賛を集めました。「時計の内部の機械を見せるトレンドは、高度な機械式であることを明らかにするという意図に起因」(並木)。
メンズの世界から始まった流れですが、目の肥えた女性からのリクエストが相次ぎ、レディスにも波及。今は男女ともに魅せるフェイズになってきたよう。伝統的な細工をスケルトンで見せる手法は以前もありましたが、直線的な美しさを見せるのが最近の傾向。時計が本来もつ、機械的な構造の美しさに、価値をおくことが、男女を問わず共有されてきたのです。
懐中時計がヒントの由緒正しきムーブメントをデザインとして配し、外側から見て楽しめるようにしたモデル。
●ケース:RG×ダイヤモンド
●ケース径:37㎜
●ストラップ:カーフスキン
●自動巻き
複雑機構のレトログラードを優雅に意匠化した人気コレクション。今年モノトーンカラーが加わり、洗練を高めた。
●ケース:WG×ダイヤモンド
●ケース径:36㎜
●ストラップ:ラバー
●自動巻き
■2:毎日違う顔!手軽に自分でストラップを替えられる「インターチェンジャブル」が続々
よそおいに合わせて、ストラップを自分で手軽に替えられる「インターチェンジャブル」のデザイン。
女性にうれしいこの機能を備えた時計が、本格機械式からエレガント系までタイプもさまざまに、今年は一気に数を増やし、ブームともいえる活況に!
レザーやサテンなどのストラップ同士の付け替えに加え、メタルブレスレットとレザーストラップの付け替えも多数出現。簡単に替えられそうではなかったモデルでも、鮮やかなスイッチング技術を開発し、手軽な付け替えを現実化。ストラップとブレスレットで迷わず、もうどちらも楽しめる時代がきたのです!
今年リニューアルされた『パシャ ドゥ カルティエ』。ストラップを簡単に着脱できる「クイックスイッチシステム」を開発したことも、大きな進化ポイントとして話題に。
●ケース:PG×ダイヤモンド
●ケース径:35㎜
●ストラップ:アリゲーター(パープルストラップも付属)
●自動巻き
ステンレススチールのブレスレットと白、黒、ブルー3色のストラップが自身で交換可能な新モデル。
●ケース:SS×ダイヤモンド
●ケース径:36㎜
●ブレスレット:SS(他に上記の3本のサテンストラップが付属)
●自動巻き
■3:男女差をこえたユニセックスなモデルが豊富に!「ジェンダーレス」の浸透
ファッションと同様に、腕時計の世界もジェンダーレス化はますます進行。女性が身につける時計に大ぶりケースが増え、小ぶりなケースを好む男性も登場。パートナーとのシェアに向く、ユニセックスなデザインも目立ちます。「時計業界はもともと男女を分けないブランドは多いのですが、今はいっそう加速。企業の社会的責任という意味でも、男女を分けない傾向もあるようです」(並木)。
「マニッシュなものを女性がつけたり、ちょっと優しいデザインを男性がつけたり、選択肢が多様化。いろいろな楽しみ方をできることは歓迎したい」(本間)。
ジェンダーレスな位置づけのコレクションに、5つの新色が登場。大きめケースでも、グレーはひときわシックで大人の女性の手元に映える。
●ケース:PG×WG
●ケース径:41㎜
●ストラップ:アリゲーター
●自動巻き
レディスモデルの男性人気の高さを受けて、メンズも誕生したコレクション。橋上の恋人たちが歩み寄りキスする瞬間が、ボタンを押すと見られるように進化。
●ケース:WG×ダイヤモンド
●ケース径:38㎜
●ストラップ:アリゲーター
●自動巻き
●ケース:WG
●ケース径:42㎜
●ストラップ:アリゲーター
●自動巻き
■4:美しく深みのある色が手元をノーブルに演出する!端正「エレガントブルー」の人気
澄んだ星空や大海原を思わせる、エレガントなブルーが文字盤に多いことも、目立った傾向のひとつです。もともと知的で清新な色合いとして、メンズウォッチ界では流行が先行。加えて、ときに豊かな自然を象徴し、ときに日本の伝統色、欧米のデニムカラーにたとえられるイメージのよさと相まって、流れが拡大しているよう。
特に深みのある美しさが際立つのはアベンチュリンガラスやラピスラズリのブルー。「星空のようなロマンティックな表現ができるアベンチュリンガラスは、加工がしやすくなり充実。ジュエリー感覚で狙い目です」(並木)。
日本的な美を象徴する紺色を、ブランドの60周年モデルの文字盤に取り入れて。
●ケース:SS×ダイヤモンド
●ケース径:27.8㎜
●ブレスレット:SS
●自動巻き
ラピスラズリのダイヤルがグラマラス。
●ケース: PG×ダイヤモンド
●ケース径:30㎜
●ストラップ:アリゲーター
●クオーツ
■5:スポーティスタイルの気運とともに、ますます贅沢に!美麗なる「ラグジュアリースポーツウォッチ」の定番化
スポーティなディテールと都会的な洗練デザインの融合が魅力のラグジュアリースポーツウォッチ。その世界は、女性が大ぶりの時計をつける流れと連動し、より贅沢で多様に広がっています。
新作で目立つのはアイコニックなスポーツウォッチの、エレガント&リッチな進化。ダイヤモンドの装飾や、ケースやダイヤルのレベルアップにより、大人の女性のスタイルに映えるものが各ブランドで一様に増えています。
ファッションがカジュアル寄りに変化し、生活にスポーツを取り入れることが浸透した今、着こなしに絶妙にマッチすることも、この傾向を後押し。
潮流を牽引する名モデル。昨年の38㎜ケースに次いで、ダイヤモンドセットが加わり、より女心に響く。
●ケース: PG×ダイヤモンド
●ケース径:38㎜
●ブレスレット:PG
●自動巻き
温かみのあるゴールドケースにトープブラウンのストラップを合わせた新作。
●ケース:セドナゴールド×ダイヤモンド
●ケース径:38㎜
●ストラップ:アリゲーター
●自動巻き
※掲載した商品は、すべて税抜です。
※文中の表記は、WG=ホワイトゴールド、RG=ローズゴールド、PG=ピンクゴールド、SS=ステンレススチールを表します。
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- PHOTO :
- 戸田嘉昭・池田 敦(パイルドライバー)
- STYLIST :
- 関口真実
- WRITING :
- 並木浩一、本間恵子
- EDIT&WRITING :
- 岡村佳代、長瀬裕起子、中村絵里子(Precious)