愛らしい表情やおちゃめな行動で癒やしてくれるだけでなく喜びや悲しみにも寄り添ってくれる唯一無二の存在。ペットは家族の一員であり、相棒であり、よき理解者でもあります。

雑誌『Precious』2月号では、「温かな時間流れる、『ペットと暮らす家』」企画を展開中です。互いの深い愛情が感じられる素敵な家を取材するほか、愛するペットのためのプレシャスなアイテムもご紹介します。

本記事では、デザイナー 中村三加子さんの吹き抜けのある昭和モダン建築な家をご紹介します。

中村 三加子さん
デザイナー
(なかむら みかこ)オートクチュール、セミオーダー中心の「MIKAKO NAKAMURA」、カジュアルライン「M・fil」のデザイナーとして活躍。「オールウェイズ」代表も務める。

「『一期一会なもの』が集まった家で、犬は最高の相棒。いつも元気をもらっています」

「これから大切に着ていきたい服」と大人の女性たちの支持を集める、「ミカコ ナカムラ」デザイナーの中村三加子さんのご自宅。モダンさの香る和風建築の家を訪れると、1階のリビングで穏やかにのんびりとくつろぐエアデール・テリアのレイちゃん(4歳)が迎えてくれました。

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リビングでくつろぐレイちゃん。

12年前に中村家が代々暮らしてきた土地に建てた家は、敬愛する山岳画家だったお祖父様の洋館のアトリエをイメージしたという、吹き抜けのある3階建て。大谷石や漆喰の壁、チーク材の床が織りなすシンプルで落ち着いた空間を、李朝家具や白い花が活けられた七宝焼きの花瓶、プリミティブアートが彩る美しい部屋。

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昭和初期に活躍した建築家、吉村順三氏の著書『建築は詩―建築家 吉村順三のことば100』は中村さんを支え、勇気づけてくれる本。その言葉は洋服のデザインにも通じるものと、何度も読み返してきたという。
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リビングの机には、パリで購入した石のブルドッグが。
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子供のころから犬が大好きで、リビングにも旅先で出合った犬の数々が。パリのボン・マルシェで購入したワイヤーアート、ベルギーののみの市、ロサンゼルスなどから持ち帰ったオブジェ。

中村家にはケージが置かれておらず、レイちゃんの定位置はリビングのふかふかのペルシャ絨毯の上です。「1階はすべてレイの居場所です」

「レイはいたずらもしないし、花を食べたりもしない。のんびりやさんでリビングでくつろいでいます」

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この家を建てたときからずっと変わらず、リビングの主役は、ボーエ・モーエンセンの名作のレザーソファ『2209』。ソファが置かれたコーナーには、吹き抜けの高窓から光が降り注ぎ、心地いい時間が流れている。レイちゃんと暮らして約1年半、最高の相棒に。

ガラス、七宝焼き、プリミティブアート…大好きで美しいものばかりの愛しい暮らし

今では想像もできませんが、レイちゃんが1年半ほど前、中村家に来た当初はビクビクした様子だったそう。実は、レイちゃんは保護犬。中村さんが動物保護団体を通じて出合う前は、3年間繁殖犬として過ごし、声帯もとられていました。

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動物保護団体「はーと in はーとZR」で出合ったレイちゃんは、今ではすっかりのんびりやさんに。

「人間のエゴで悲しい景色を見てきた犬だからこそ、絶対に幸せにするという責任をもちたい。日ごろ頑張っている保護団体の方々にも感謝しつつ、たくさんの人の想いがあった上で、私がレイを預かっていると思っています」

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庭には、レイちゃんお気に入りの小さなドッグランも!
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レイちゃん同伴の出勤は、25年来の愛車、ベンツで。

レイちゃん、よかったね…。思わずそんな言葉をかけたくなりますが、「もらってばかりなのは私のほう」と、中村さんは言います。子供のころから犬が好きで、以前飼っていたエアデール・テリアを亡くして8年。

「なにより元気になっちゃう。朝5時には起床して、明るくなるころお散歩へ。平日は車で一緒に出勤し、休日はゴルフへ…。もう相棒です」

2021年には、ゴルフ仲間と過ごせ、レイちゃんも楽しめるセカンドハウスが完成予定。その住まいも、今と同じシックな空間になりそう、と。

「昔から好きなものが変わらないですね。そして長く使われて味わいを増していくもの、人の手の温もりを感じるものが好きです」

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玄関先に置かれた石臼は、中村さんが幼いころから自宅にあったもの。本来は蕎麦粉を挽ひくための道具だが、今は雨の日に傘の滴を落とすために使っている。右側の像は香港のアンティークマーケットで購入。
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リビングに飾られたアンティークのバカラからは、気品が漂って。
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「みんなで美味しいものを食べるのが好き」という中村家では、数えきれないほどの古伊万里の器が大活躍。
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明治・大正時代に輸出用につくられた麗しい七宝焼きの花瓶も、大事にしているもののひとつ。
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たくさんの白い花が飾られて。

李朝家具、骨董、手仕事…中村さんが世界中で魅了され、長く大切にしたいと願ったものだけに囲まれた、シンプルでいてエレガントな住空間は、美しいだけではありません。相棒のレイちゃんと大事なものたちばかりが集う家は暖かく優しい時間が流れていて、居心地がいいのです。

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アンティークのガラスの器も日常の食卓やおもてなしに活躍。
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玄関のコーナーでは、山岳画家のお祖父様、中村清太郎氏の「蘭花譜」のリトグラフ、韓国で購入したお嫁入り道具だったという古い李朝家具、パリのクリニャンクールで出合ったアフリカのプリミティブアート、白いカサブランカが美しく調和して。
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強い絆で結ばれた、レイちゃんと中村さん。
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計画中のセカンドハウス。
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レイの水用ボウル。
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お散歩用の首輪には、レイちゃんのようなデザインが!

中村さんのHouse DATA

●間取り…3LDK
●住んで何年?…12年。写真の模型のセカンドハウスを計画中。
●愛犬アイテム…レイの水用ボウル。8年前まで飼っていたエアデール・テリアのお下がり。

PHOTO :
篠原宏明
EDIT&WRITING :
川村有布子、古里典子(Precious)