創刊以来、Preciousには数々のジュエリー名品が登場してきました。雑誌『Precious』6月号で展開中の特集「プレイバック! 至高のジュエリー名品9」では本誌連載でもおなじみのジュエリージャーナリスト、福田詞子さんセレクトの「究極名品」をご紹介。魂に訴える煌きの魅力に、あなたは抗うことができるでしょうか?

今回は、ヴァン クリーフ&アーペルの『フェアリークリップ』をご紹介します。

流麗な輝きをまとって遊ぶ妖精のブローチ|ヴァン クリーフ&アーペルの『フェアリークリップ』

『フェアリークリップ』は1941年、第二次世界大戦下のアメリカで誕生しました。当時、アメリカで流行していた漫画に着想を得た妖精のモチーフは、瞬く間に「ヴァン クリーフ&アーペル」の代表作に。

そして時を経て、妖精たちの帰還は2003年。シェイクスピアの戯曲『真夏の夜の夢』をテーマにしたハイジュエリーコレクションで、花や風の精となって姿を現したのです。

ダイヤモンド_1
『フェアリー フォリデ プレ クリップ』[WG×DIA計8.93ct](ヴァン クリーフ&アーペル)、『Precious』2017年4月号掲載

妖精の顔を表現するダイヤモンドのローズカットは、ファセット(カット面)が少ないため、透明度の高いダイヤモンドにしか用いることができない。流麗なポーズのモデルはバレリーナなど。立体的なボディの側面や裏側など、正面からは見えない部分にセッティングされた宝石に、メゾンの矜持が。

今や、『フェアリークリップ』には、おとぎ話や神話、植物をモチーフにした多彩なデザインが登場。メゾンの代表作であると同時に、夢と希望のシンボルとして愛されています。

「ひとりひとりの妖精に物語があり、まとった衣装の色や動きにも意味があります。その個性豊かな美しさは唯一無二。細部にわたる妥協なきこだわりも、このメゾンならではのものといえるでしょう」(福田)

福田 詞子さん
ジュエリージャーナリスト、エディター
(ふくだ のりこ)英国宝石学協会FGA(特別会員)。出版社で女性誌の編集部に20年以上在籍したのち独立。2015年、英国宝石学協会のディプロマを取得。小誌にて『ハイジュエリー真価論』を連載中。

※登場した「名品」は、過去のPreciousで掲載した記事からの転載のため、 現在では購入できないものも含まれています。ブランドへのお問い合わせはご遠慮ください。

※文中の表記はWG=ホワイトゴールド、DIA=ダイヤモンドを表します。

PHOTO :
戸田嘉昭(パイルドライバー)、唐澤光也(RED POINT)
WRITING :
河西真紀
EDIT&WRITING :
喜多容子(Precious)