創刊以来、Preciousには数々のジュエリー名品が登場してきました。雑誌『Precious』6月号で展開中の特集「プレイバック! 至高のジュエリー名品9」では本誌連載でもおなじみのジュエリージャーナリスト、福田詞子さんセレクトの「究極名品」をご紹介。魂に訴える煌きの魅力に、あなたは抗うことができるでしょうか?

今回はその特集のなかから、カルティエの『パンテール ドゥ カルティエ』リングをご紹介します。

さらに気高くしなやかに!時代を超えて進化する名品|カルティエの『パンテール ドゥ カルティエ』リング

カルティエの歴史に「パンテール」のジュエリーが初めて登場したのは、1948年。戦後、女性の社会進出が進んだ時代でした。購入者は元英国王ウィンザー公爵。贈られた夫人は、その独創的なモチーフを気に入り、翌年、カボションサファイアの上に「パンテール」が凛と佇む、あの有名なブローチを注文します。ヨーロッパ社交界で絶大な注目を集める夫人が身につけたことで、「パンテール」は瞬く間にメゾンのシンボルとなったのです。

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リング『パンテール ドゥ カルティエ』 [PT×サファイア 37.30ct×DIA×エメラルド×オニキス](カルティエ)、『Precious』2019年4月号掲載

魅惑的なサファイアは、深く鮮やかなロイヤルブルーが特徴のミャンマー産。CADの最新技術により、サファイアを抱く「パンテール」の体のラインが自然に表現されて。実は単なる装飾ではなく、希少な宝石を保護する重責も担う。

「世に動物モチーフのジュエリーは数あれど、『パンテール』は別格。野生動物の動きを描写した官能的な体のライン、気高く凛とした美しさは、時代を超え、女性を魅了します。しなやかな肢体をつくり出すモデリング、モチーフ全面を覆うダイヤモンドのセッティング技術も秀逸! 細部に職人のこだわりが感じられる名品です」(福田)

福田 詞子さん
ジュエリージャーナリスト、エディター
(ふくだ のりこ)英国宝石学協会FGA(特別会員)。出版社で女性誌の編集部に20年以上在籍したのち独立。2015年、英国宝石学協会のディプロマを取得。小誌にて『ハイジュエリー真価論』を連載中。

※登場した「名品」は、過去のPreciousで掲載した記事からの転載のため、 現在では購入できないものも含まれています。ブランドへのお問い合わせはご遠慮ください。

※文中の表記はPT=プラチナ、DIA=ダイヤモンドを表します。

PHOTO :
戸田嘉昭(パイルドライバー)、唐澤光也(RED POINT)
WRITING :
河西真紀
EDIT&WRITING :
喜多容子(Precious)