雑誌『Precious』では、『ハイジュエリー真価論』と題し、名ブランドが誇るハイジュエリーの圧倒的な美しさの秘密を徹底解説した特集を連載中です。
6月号では「ヴァン クリーフ&アーペル」のハイジュエリーにフォーカス。今年1月に誕生した「ス レ ゼトワール 星空の下、天空の夢」と名付けられた最新コレクションより、宝石とモチーフで詩情豊かな夢の宇宙を表現したハイジュエリーたちを紹介しています。
本記事では、鮮やかな瑠璃色のラピスラズリを用いたリングとブローチについてお届けします。
夢と空想の世界に誘う、ドラマティックな宇宙への旅
2000年代初頭、「ヴァン クリーフ&アーペル」は自然のモチーフとファンタジーを融合させた『真夏の夜の夢』をはじめとするハイジュエリーコレクションで、詩情豊かな独自の世界観を確立。
夢のようなクリエイションは、自然界の動植物、文学、神話、伝説などをテーマに、創造の翼を広げていきました。
そして今、創作のインスピレーション源は、ついに天空の彼方、はるか宇宙へ。メゾンの歴史には古くから月や星に着想を得たデザインが登場していましたが、宇宙という壮大なテーマに初めて取り組んだのは、今から11年前のことでした。
2010年に発表された、フランスの小説家ジュール・ヴェルヌの『月世界旅行』などの文学作品に着想を得たハイジュエリーコレクション『レ ヴォワヤージュ エクストラオーディネール』─それこそが、〝ヴァン クリーフ&アーペル〟の宇宙を巡る創造の旅の始まりだったのです。
今年1月に誕生した「ス レ ゼトワール 星空の下、天空の夢」と名付けられた最新コレクションは、まさにそうした旅の続編といえるでしょう。無限の可能性を秘めた宇宙には、無限の解釈が存在します。
宇宙の神秘を大胆でドラマティックな意匠に
まさに宇宙を想起させる、鮮やかな瑠璃色のラピスラズリ。ラテン語で「青い石」を意味するラピスラズリは、不透明ながらも鮮やかな瑠璃色が特徴で、太古より装身具に用いられてきました。
宝飾界ではオーナ メンタルストーン(装飾用石)と呼ばれてきましたが、近年はハイジュエリーにも使われ、その評価が高まっています。通常は白いカルサイトと金色のパイライトの粒子を含んでいますが、今回はそれらが目立たない石を選択しています。
■1:建築家ジャン・ジャック・ルクーの未来的建築に着想を得た構築的なリング
フランス革命期の建築家ジャン・ジャック・ルクーの未来的建築に着想を得てデザインされました。
センターストーンを取り巻く放射状のダイヤモンドとルビーは、有害な太陽放射から地球を守る磁場を様式化したものです。
■2:海王星をイメージした女神がモチーフのブローチ
海王星をイメージ化した女神がモチーフのクリップ(ブローチ)。ダイナミックなポーズが、太陽系を回る惑星の動きを表現しています。
文学、科学、芸術、そして空想の世界…。メゾンはあらゆる想像の力を借りて、ひとつひとつの物語や事象をひもとき、150もの個性豊かなハイジュエリーを生み出しました。
太陽の周りを回る惑星は天空の女神に姿を変え、彗星はダイナミックな造形が際立つ鮮烈な色彩に。最高の宝石と魅力的なモチーフが、私たちを新たな夢の世界へと誘います。
※掲載した商品の価格は、すべて税込みです。
問い合わせ先
- PHOTO :
- 戸田嘉昭
- EDIT&WRITING :
- 福田詞子(英国宝石学協会 FGA)