目に映る佇まい、使う時の手触りや音、放つ香り… ラグジュアリーなアプローチでこその「用の美」の奥深さを、変わりゆく時代こそ見つめ直したい。そんな想いから『Precious』8月号では「五感で慈しむ『暮らしの名品』」と題して、日々を彩る名品を特集しています。

家で過ごす時間を慈しむようになり、2度目の夏を迎えました。暮らしを彩る名品と、その向き合い方までアップデートする…そんな絶好の機会ととらえてみませんか? ナビゲーターは松浦弥太郎さん名品との対話を尊ぶことで生まれる、真の豊かな暮らしへ―。

今回のテーマは「くつろぐ」。松浦さんは考え事をするときに、ポール・ケアホルムのチェアとスツールを愛用しているそうです。

松浦 弥太郎さん
エッセイスト
(まつうら やたろう)2006年から『暮しの手帖』編集長を務める。2015年よりウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げ、現在「おいしい健康」共同CEO。10月29日より、初監督ドキュメンタリー映画『場所はいつも旅先だった』が公開予定。

ポール・ケアホルムがデザインしたチェア『PK31』、スツール『PK33』

名品_1,家具_1,小物_1
■1:チェア[幅76×奥行き76×高さ76×シート高38cm]¥2,103,200~、ブランケット¥12,160(リビング・モティーフ〈ファイバーアートステューディオ〉)・■2:スツール[直径53×高さ34㎝]¥422,400~・■3:トレイテーブル¥77,440~(FRITZ HANSEN TOKYO)、テーブルの上に置いたフラワーベース¥19,800(ザ・コンランショップ〈チクラ〉)

レザーやウッド、籐などの天然素材に、硬質なスティールを組み合わせ、独自のミニマリズムを築いたポール・ケアホルム。松浦さんは、15年ほど前にブラックレザータイプを購入。

「外出しても『早くあのチェアに座りたい』と思う」( 松浦弥太郎さん)

「もの思いに耽ったり、考えごとをまとめたり…そんなくつろぎの場所はありますか?

僕の場合、ミニマルなデザインを最上の素材で仕上げたポール・ケアホルムのチェアとスツールがそう。静謐(せいひつ)な存在感、重心を受け止める座り心地、しなやかなレザーの質感…。外出しても『早くあのチェアに座りたい』、そう思える名品中の名品です。

ここまで惚れ込む理由は、僕が人生でいちばん充実感を得るのが『考える時間』だから。ネットで調べればすぐに答えが出る時代ですが、僕は考えるという行為を決して手放したくない。答えがないとしても、ああだこうだと考え続ける。それが真の贅沢だと思うのです。そんな至福をもたらすこのチェアは、何物にも代えがたい財産なのです」(松浦さん)

※掲載した商品は、すべて税込みです。

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PHOTO :
本多康司
STYLIST :
来住昌美
WRITING :
本庄真穂
EDIT&WRITING :
兼信実加子、喜多容子(Precious)