2021年に発売されたラグジュアリーウォッチから珠玉の逸品を選出する『Precious WATCH AWARD』が、『Precious』1月号にて発表されました。4回目となる今回は、「MEN'S Precious WATCH AWARD」も『Precious』1月号での合同開催となります。
独自の審美眼をもつ審査員の方々が、機構、精度、美観、実用性、物語性など、あらゆる観点で熟考&吟味を重ね、“変化の時代に大人の男性が選ぶべき時計” を全8部門で決定しました。
今回はその中から、栄えある「名品ウォッチ賞」に輝いた、ヴァシュロン・コンスタンタン『ヒストリーク・アメリカン1921』をご紹介します。
「MEN'S Precious WATCH AWARD」2021 審査員
【名品ウォッチ賞】斜めに傾いた個性的なダイヤルは、確かな背景をもつマスターピースの証|ヴァシュロン・コンスタンタン『ヒストリーク・アメリカン1921』
米国市場に向けて1919年と1921年に『ヴァシュロン・コンスタンタン』が製作した、ダイヤルが斜め45度に傾いた手巻き時計の意匠を現代に復活。本作誕生100周年を迎え、自社製の新型手巻きムーブメント、Cal.4400ASを搭載。
アイコニックなクッションケースに収まる3時位置のサブダイヤルは、メインダイヤルとは異なり、45度傾いていないというツイスト感もニクい。
「時計ファンたちが、ひとつのストーリーを共有して楽しんだ記号的な個性派」並木浩一さん
ブレゲ針がブレゲ数字を示すダイヤルと、3時位置のサブダイヤルの対照的な仕上げ分けも、名作の美観に拍車をかけている。
このために開発された、美しい新ムーブメントが、開口部が広く設けられたトランスパレントバックからのぞく。
「シンプルにおもしろくて、意匠としても優れています」と、関口氏が評するのは、本来12時位置にあるべき12時の表示が、クッション型のケースに対して45度ほど傾いたダイヤルの本作。これが「名品」と呼ばれるに値するのは、1919年と1921年に誕生した往年の時計の意匠を現代に受け継いでおり、何度も復活を遂げている人気作だからだ。
「オリジナルデザインを巧妙に再現し、36.5mm径のモデルと合わせて、現在入手可能な最もエレガントな時計」と、チョー氏も賞賛。
「モータリゼーションが発展を見せた狂騒の1920年代を象徴するデザインはこれまで、クルマのステアリングを握ったときにまっすぐに見えるためとされていました。が、最近それを都市伝説だとする言説も登場しています。ただ、真偽の程はこの際関係なく、僕らを含む時計ファンがそのストーリーをこれまで共有して楽しんだ事実こそ重要です」
一方で並木氏が指摘するのは、物としての絶対的な価値以外の背景もまた、時計の価値を高めるという点だ。色濃い背景をもつ時計が多いのも、創業地で続く世界最古のウォッチメーカーならではともいえる。
※掲載した商品は、税込み価格です。
※文中の表記は、WG=ホワイトゴールドを表します。
問い合わせ先
- PHOTO :
- 戸田嘉昭・池田 敦(パイルドライバー)
- STYLIST :
- 関口真実
- EDIT&WRITING :
- 安部 毅、安村 徹(MEN'S Precious)