時計史に残る偉業が「パテック フィリップ」が放つオーラの源

1839年、スイスで創業したパテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)は、1862年にロンドンで開かれた世界初の万国博覧会に出品。英国ヴィクトリア女王のお眼鏡に適いました。この名誉がきっかけとなり、ヨーロッパの社交界、貴族階級の間で瞬く間に、その名は知れ渡ったのです。

今回、ジュエリー&時計ジャーナリストの本間恵子さんが取り上げたパテック フィリップの新作3本は、人生のパートナーに成り得る品格とエレガンスをもっています。身にまとうと背筋がピンとするような、心地よい緊張感も。この独特のオーラは、ブランドが歩んできた道程にあるのかもしれません。

未来へと受け継がれる革新的なマスターピース

ヴィクトリア女王が愛用した時計は直径33.2ミリの小さなロイヤルブルーの七宝と彫金が施されたペンダントウォッチ。また、ハンガリーのコスコヴィッチ伯爵夫人が購入したと伝えられる時計はエナメル装飾とダイヤモンド、彫金が施されたスイスの時計史初の腕時計です。

時計本体の横幅は32.3ミリ。ともに小さなサイズですが、精確なムーブメントがこのスペースに納められています。当時、どこも真似できない画期的な技術力をもつマニュファクチュールだから成し得たことでした。

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左/ヴィクトリア女王が愛用したロイヤルブルーのペンダントウォッチ。右/コスコヴィッチ伯爵夫人が購入したといわれるスイス時計史上初の腕時計。

そもそも、当時の女性にとっての時計は、時間を「知る」ための道具だけでなく、自身を彩る美しい装飾のひとつ。しかし、その美しさには、時計の機構に対する真摯な姿勢という裏付けが必要です。この両方がパテック フィリップには具わっていたのです。

「パテック フィリップの長い歴史を振り返ってみると、このメゾンにはさまざまな側面があって、多くの女性たちのために質の高い時計を生み出してきたという、とてもフェミニンな面があったことがわかります。複雑な機械式時計を小さなサイズにするのは技術的に難しかったので、洗練された女性たちは誰もがパテック フィリップの時計に憧れを抱いていました」(本間さん)

時代が移り変わっても、一貫して、女性の手元を美しいフォルムに最高級の機構という姿勢は変わりませんでした。いつしか、パテック フィリップの時計は、自分自身の手元を美しく彩るためだけでなく、このブランドの時計をもつことそのものが究極のステイタスへ。

ついにはこんなことさえ囁かれました。「パテック フィリップを実際に所有することはできない。次の世代のために預かるだけ」。これはメゾンの時計を一時の流行として持つのではなく、未来に受け継がれるにふさわしい資産として考えられていたことを表しています。

羨望のクラス感が全開!パテック フィリップの新作時計3選

■1:アクティブな女性に向けた「アクアノート・ルーチェ」のトラベルタイム

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「アクアノート・ルーチェ・トラベルタイム Ref.5269/200」¥4,620,000 ●ケース:ローズゴールド×ダイヤモンド ●ケースサイズ:直径38.8mm(10時から4時方向) ●ダイヤル:マット・ホワイト、アクアノートエンボスモチーフ ●ストラップ:コンポジット素材 ●ムーブメント:クォーツ 

「ノーチラス」コレクションにインスパイアを受けたシリーズということもあり、ややスクエアでハンサムな文字盤は、パテック フィリップのものだとひと目でわかる特徴的な表情です。

マット・ホワイトを使ったその文字盤を囲むベゼルには煌めく48個のダイヤモンドがセットされ、メリハリが利いたタイムピースへ。雪が舞い落ちる中でも溌剌とスポーティな装いを楽しむ女性の腕にぴったり。冬の白をまとうスタイルへ配したい極上の時計です。

注目は、この時計のクォーツ・ムーブメント! デュアル・タイムゾーンのトラベルタイムを搭載し、控えめながら実用的なリュウズが調整の役目を担います。来年こそは、新たな旅を始めたい! と計画する女性は、手元のパートナーの選択に、このウォッチを選んではいかがでしょう。

「時・分・秒針の他にもう1本、時針がありますよね。これは他の国の現地時間を指す針です。海外旅行をするときにとても便利な機能ですし、クォーツなので機械式時計に慣れていない人でも扱いやすいはず。この表示が必要ないときは、短針に重ねて隠してしまうこともできます。こうした操作をリュウズだけで行えるのは、技術的にとてもハイレベルなことなのです」(本間さん)

■2:デイタイムからフォーマルまで!「TWENTY~4 オートマチック」の新色

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「TWENTY~4 Ref.7300/1200」¥5,577,000 ●ケース:ローズゴールド×ダイヤモンド ●ケースサイズ:直径36mm ●ダイヤル:ローズゴールド×ソレイユ ●ブレスレット:ローズゴールド ●ムーブメント:自動巻き

発表から20年以上、“24時間、活動する女性たち”を手元から支えてきたコレクション「TWENTY~4 オートマチック」から新色が届きました。そのローズゴールドの美しさ、温かみのある発色はまさに格別!

スタイリッシュなセットアップには上品になじみ、ドレスアップのときには“ダンテール”(レース・スタイル)と呼ばれる文字盤を取り巻くダイヤモンドのジェムセッティングが煌めきを与えます。コレクションの名前通りの活躍を約束するラグジュアリーなタイムピースです。

ブレスレットは特許取得の折り畳みバックルを採用。クラスプ位置にブランドロゴが配され、パテック フィリップ・オーナーであることの女心をくすぐります。

「“ダンテール”スタイルとは、ダイヤモンドを互い違いにびっしりと留めるセッティングのこと。このモデルには計160石が使われているので、輝きの艶やかさが目を引きます。光が放射状に広がるソレイユ文字盤も美しく、スーツにもドレスにも幅広く似合う華やかさがありますから、一度愛用し始めたらきっと手放せなくなりますよ」(本間さん)

■3:女性の腕にワンランク上のメカニカルウォッチ「年次カレンダー」を!

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「コンプリケーション 年次カレンダー Ref.4947/1A」¥5,511,000 ●ケース:ステンレススティール ●ケースサイズ:直径38mm ●ダイヤル:サテン仕上げ ●ブレスレット:ステンレススティール ●ムーブメント:自動巻き

世界最高峰の時計製作技術から生み出されたコンプリケーションウォッチ(複雑式時計)の新作です。2時位置には月、10時位置には曜日、6時位置には日付とムーンフェイズと、なかなかのメカニカルな仕様ながら、愛おしさを感じる仕上がり。それほど愛着を覚える理由は、ミッドナイトブルーの文字盤にあるのかもしれません。縦横に細かなサテン仕上げが施され、心地のよいニュアンスを醸し出しているのですから。

ブレスレットも実に秀逸! 新たに採用されたポリッシュ仕上げが施され、輝きを増幅しています。オンタイムから休日まで、いつでも身につけていたい美しい時計です。

「実用的でしかもエレガントなコンプリケーテッドウォッチとしてとても人気の高いシリーズ。シルクシャンタン(山東絹)のテクスチャーをあしらったミッドナイトブルーの文字盤は、今年から加わった新色です。

このモデルは月の大小をあらかじめ組み込んであるので、4・6・9・11月の月末は30日から1日へと日付が自動的に変わります。手動での調整が必要なのは3月の頭だけ。時計愛好家たちは、1年に1度の調整の日を、ちょっとしたイベントとして楽しみにしている人もいるんですよ」(本間さん)


以上、パテック フィリップの新作3本を紹介しました。

「このメゾンはずっと“あなた自身の伝統を創ろう”と呼びかけています。自分らしく選び、自分らしく愛用することで、時計はいつか身につける人と一体の存在になっていきます。そして時計とともに、あなた自身の生き方も伝統となって次世代に受け継がれてゆくのです。こんな壮大な考え方を背景にして時計をクリエイトしているパテック フィリップは、やはり格が違いますね」(本間さん)

※掲載した商品の価格は、すべて税込みです。

本間恵子さん
ジュエリー&時計ジャーナリスト
(ほんま けいこ)東京都出身。武蔵野美術大学を卒業後、某宝飾メーカーでデザイナーとして勤務し、その知識を生かしてジュエリー専門誌のエディターに転身。その後フリーランスとなり、国内外の見本市や展示会を取材して、モード誌やアートマガジン、新聞などに寄稿。トークショーやテレビコメンテーターなどをこなしながら、アンティークジュエリーの研究も行っている。夫は建築家。好きなもの:バンドデシネ、マンガ、美術史、トールキンの著作。

問い合わせ先

パテック フィリップ ジャパン・
インフォメーションセンター

TEL:03-3255-8109

この記事の執筆者
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WRITING :
菅野悦子
EDIT :
谷 花生