公明正大な「ヴェジャ」のスニーカーは、ものづくりの責務とファッションの楽しさを実感させる

“サステナビリティ”は、ファッションに関わらず今やものづくりにおいて避けては通れないテーマだ。その一方で “セール落ち”したアイテムが市場に流通し、ブランドイメージが傷つくことを恐れて大量に廃棄処分されたニュースなどを耳にすると、どれだけの人が本気で持続可能な社会を目指しているのかと、自戒も含めて訝しむことも多い。しかし、本稿で紹介するフランス発のフットウェアブランド「ヴェジャ」は、素材や生産背景など、全てにおいてフェアであることに妥協を許さない筋金入りのサブティナブルなブランドである。

「ヴェジャ」は、もともと友人同士だったフランソワ・ギラン・モリィヨンとセバスチャン・コップがスタートしたフットウエアブランド。農薬や殺虫剤を使用しないオーガニックコットンやアマゾンの森林から採取された天然ゴムなど、環境に配慮した素材にこだわっている。さらに、ブラジル南部の工場とパートナーシップを結び労働者の権限を尊重する雇用形態を遵守し、フランスにある社会的に就労が困難な人々を受け入れるリハビリテーション施設で出荷管理を行うなど、微に入り細に入り公明正大かつ透明性を約束。今では、リック・オウエンスの眼に止まり、継続したコラボレーションを行うなど、そのクリーンで真摯なものづくりは世界中の注目を集めている。

環境への配慮だけに終始しないミニマルで洗練されたデザイン

写真左から／スニーカー￥20,000・スニーカー￥24,200（シードコーポレーション〈ヴェジャ〉）

写真左のスニーカーは、「コットンワークドレザー」という最新のバイオ素材から作られたヴィーガンレザーを採用。表面をトウモロコシとヒマシ油の樹脂でコーティングすることで、程よい光沢感が表れている。その他、アウトソールやインソール、さらにシューレースに至るまで、徹底的に環境に優しい素材が取り入れられているのもポイント。サイドに配した“V”ロゴを含めて、静謐なオールブラックでまとめているが、ヒールカウンターに配したゴールドのブランドネームが、洒脱な後ろ姿を演出してくれる。

アッパーを覆うベルクロパーツが、どこかクラシカルなムードを醸すホワイトのスニーカーは、素材にクロムや、重金属、危険な酸を使わない鞣し加工を施したクロムフリーレザーを採用。表面に施された撥水オイルコーティングが、品の良さをプラス。100%リサイクルペットボトルから作られたライニングは、摩擦に対する抵抗力を高めると共にメッシュ構造により、快適でしなやかな履き心地を約束する。

どちらも主張しすぎないアノニマスな佇まいは、様々なスタイルに無理なく取り入れられるのが嬉しい。デザインが気に入って選んだスニーカーが、実は環境にもこだわっているとなれば、環境への意識も自然と変わることだろう。