雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回はLITA.coパートナー、ベルギー代表 セリーヌ・ブートンさんの活動をご紹介します。

セリーヌ・ブートンさん
LITA.coパートナー、ベルギー代表
ブリュッセル自由大学卒業後、カナダで低所得者層に金融知識を教える。フランス・リヨンで国際開発と金融監査を学び、社会起業家への資金提供を自身の仕事の軸とする。関わったスタートアップのアドバイザーも続ける。

3か国参加のプラットフォーム。インパクト投資で社会に貢献を

ヨーロッパ初のインパクト投資プラットフォーム「LITA」がフランスで誕生したのが’14年のこと。2年後、この事業に天啓のような手応えを感じたベルギー人のセリーヌさんが合流。そこにイタリア人も加わって、3つの国に根ざした、しかし結局は世界共通の課題であるSDGsを叶えるための投資を後押ししている。

「投資によって財務的なリターンだけでなく、社会的、環境的にポジティブなインパクト=影響を実現する」ことが要求されるインパクト投資。セリーヌさんたちの事前調査は非常に厳格で、投資を希望する候補のうち、調査を経て投資家への紹介にまでいたるのは、全体の5%ほどだという。

「私は、自分をいつもブリッジビルダー(橋をかける人)だと思っています。支援先と投資者をつなぐ通訳。ブリュッセルという自分の所属するコミュニティに何か貢献したい、ということをモチベーションに、仕事をしています」

資金調達で社会を変革していく。セリーヌさんにその道を示したのは、政治行政学を学んでいた学生時代に知った、バングラデシュのグラミン銀行だった。貧困層に無担保で少額の資金を融資し、自立を促すという仕組みは衝撃的で、実際、マイクロファイナンス(※)の成功事例も数多く目にした。

「ファイナンスは生活やビジネス、すべての基礎なのに、ちゃんと理解している人は少ない。私たちが生きているのは資本主義の世界です。そのシステムは巨大すぎて、個人では立ち向かえないという無力感も理解できます。

だからこそつながり、連帯し、模倣し、関わり合って、変えるべきところは変えていく。私たちが目指すのは、持続可能な『開発』なのです」

【SDGsの現場から】

●ベルギー国王が主宰する会合で意見交換会に参加

インタビュー_1
社会課題をビジネススキルで解決する意見交換会に起業家が集結。王宮内の会議室にて。

●「TEDxBrussels」のスピーカーに選出、世界から注目される

インタビュー_2
’15年に登壇。グローバルに活躍するために地域環境とつながることの重要性を語った。

※マイクロファイナンスとは…貧困層や低所得層に対して、小口の融資を無担保で行い、貧困緩和や自立支援につなげる金融サービス。グラミン銀行は先駆者的存在。

PHOTO :
Johannes Vande Voorde
WRITING :
剣持亜弥
EDIT :
大庭典子、喜多容子(Precious)
取材 :
Mariko Matsue