『Precious』2月号では、『これからの「美しい暮らし」』と題し、自分らしい美学と個性(=ラグジュアリー)をもっと極めたライフスタイルを提案しています。

特集の中では、「美学のあるインテリアづくり」をテーマに、アート・グリーン・チェア・カラー・ライト・コージー コーナーという6つのキーワードから、美しい空間づくりの秘訣をわかりやすくプロが詳解。

今回はその中から、スタイリストのchizuさんやギャラリストの山下有佳子さんに伺った「アート」のある暮らしについてご紹介します。美学のあるインテリアを実践する手掛かりを、ぜひ見つけてください!

chizuさん
スタイリスト
九州生まれ。スタイリストとして40年以上のキャリアをもち、パイオニアとして食、インテリア、ジュエリー、コスメと幅広い分野の雑誌、コマーシャルで活躍。店舗開発、商品開発にも携わる。著書に『私をぐっと素敵に見せる大人のおしゃれのひとさじ』(PHP研究所)。

アートのある暮らしで家は一気に美しさ極まる!

今回の特集では、ファッションを楽しむようにモダンであること、美しさを極めることを追求しました。それこそが凛としてスタイルのある、ラグジュアリーな女性像にふさわしい暮らしと考えたからです。その実現のための鍵となるのが、「コンテンポラリーアート」でした。

本特集のインテリアのスタイリングを手掛けたchizuさんは「アートには、部屋の空気を一瞬にして変えるパワーがあり、自分らしさや美意識を表現できます。若いアーティストの作品に共感できる、しなやかな感性をもちたいですね」とアドバイス。

ギャラリストの山下有佳子さんも「内装は変えられなくても、アートで印象が変わります。心から欲しいと思える作品なら、癒やされ、前向きな気分をもたらして、美しく、居心地のいい場所をつくってくれるのです」と語ります。

シンプルな空間にエナジーを与えるポップなコンテンポラリーアート

塚本暁宣のペインティング『Stimpy Walking To Home』
塚本暁宣のペインティング『Stimpy Walking To Home』[縦65×横53cm、油彩、キャンバス]/価格は要問い合わせ(アートアンドリーズン)

キュビズム的な技法で、絵画とキャラクターをミックスしたカラフルな作品。

旅先で求めた、ストーリーのある作品に囲まれる最愛の空間

ギャラリスト・山下有佳子さんのリビング
ギャラリスト・山下有佳子さんのリビング

ギャラリスト、山下有佳子さんのリビングには、父から譲り受けたキース・ヴァン・ドンゲンの作品や、メキシコで求めた思い出深い絵画、そして加藤 泉の立体作品などが並ぶ。

作品は季節ごとに掛け替え、来客の好みに合わせて飾る楽しみも。

「THE CLUB」ギャラリスト、山下有佳子さんに聞きました!アートを買って美しく暮らすこと

ギャラリスト、山下有佳子さん
海外オークションの経験と東洋の美意識をもつ若きギャラリスト、山下有佳子さん
山下有佳子さん
ギャラリスト
1988年生まれ。茶道具を中心に古美術商を営む家で、日本美術に囲まれて育つ。慶應義塾大学卒業後、サザビーズの大学院に留学。サザビーズロンドンでのインターンを経て、サザビーズジャパンへ。ヨーロッパでの戦後日本美術の取り扱い拡大に携わる。’17年より現職。’20年、京都芸術大学客員教授に就任。写真はピエール=エリィ・ド・ピブラックによる写真作品『カタルシス』が展示された際、「THE CLUB」にて。

読者になじみ深いトップブランドが軒を連ねる「ギンザシックス」内のギャラリー「THE CLUB」。ギャラリストの山下有佳子さんに、アートを買うこと、そして暮らしに取り入れる魅力についてうかがいました。

「若いコレクターが多いのですが、開廊から5年、銀座という土地柄、老舗の画廊に通われるような50〜60代の方も評判を聞いて足を運んでくださるようになりました。

ギャラリーは敷居が高いと言われますが、海外ではディナーの前に、アペリティフ感覚でオープニングレセプションに立ち寄ります。非日常の舞台として、心地よい緊張感を楽しめるといいですね。開かれた場所なので、気になったら遠慮なくお声がけください。価格も受付にリストがあります。特にオープニングレセプションには作家が来ることが多く、直接話を聞いて人柄に触れ、作品に理解が深まるのも楽しみのひとつ。

まずは多くのギャラリーを巡り、自分の感性に合うギャラリーを見つけること。『買う』気持ちでたくさんの作品を観るうち、好きなものがわかるようになります。

そして空間に合わせるより、『好き』なもの、心が動くものを選ぶことが大切。自分らしい感性を磨くことが、アートのある暮らしを心豊かに彩ります。さらに作品を手に入れることで、世界中の作家やコレクターとのつながりが生まれるのもアートの醍醐味なのです」(山下さん)

11人の国内外アーティストによるチャリティープロジェクトを開催中

開廊5周年を機に、この間に出会った11名のアーティストと共に、子供たちへのチャリティー展覧会も開催されています。

絵画『Croissant Umbrella – Skyline』
画家ニコラス・ハットフルの心に度々現れるクロワッサン柄の傘と摩天楼を描いた作品『Croissant Umbrella – Skyline』[アクリル、スプレー、キャンバス]
猪瀬直哉『Where is my home』
猪瀬直哉自身であるペンギンのほか、モノリスやプール、ブルーという自身の代表的なモチーフが散りばめられた絵画『Where is my home』[油彩、アクリル、キャンバス]
オリバー・ビアの作品『Songs My Mother Taught Me』
音楽を描き続けるオリバー・ビアの作品『Songs My Mother Taught Me』[サイアノタイプ、チョーク]

【展覧会詳細】

「THE CLUB Collective Echoes 子どもたちへ」
会期/1月20日(木)まで
休廊日/日・月曜 

【「THE CLUB」アートギャラリー詳細】

  • 「THE CLUB」
  • GINZA SIXを拠点に国内外のコンテンポラリーアーティストの作品を展示するアートギャラリー。名前の由来はN.Y.の伝説的サロン「8th Street Club」から。
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  • 開廊時間/12:00~19:00
    休廊/日・月曜
    Instagram/@theclub.tokyo
  • TEL:03-3575-5605
    住所/東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 6F 銀座 蔦屋書店内

問い合わせ先

アートアンドリーズン

PHOTO :
川田有二(インテリア)、望月みちか(山下有佳子さん分)
STYLIST :
chizu(インテリア)
EDIT&WRITING :
藤田由美、喜多容子(Precious)