有名女優からも絶大な信頼を得るスタイリストの犬走 比佐乃さんが、自身の経験値から大人の女性に必要なファッションの選び方を教えていただく連載。第30回目ではこれからのシーズンに役立つレインブーツの選び方にフォーカスしてお届けします。

犬走 比佐乃さん
スタイリスト
(いぬばしり ひさの)本誌をはじめ数々の女性誌や女優のスタイリングを手がけ、「マダム犬走」の愛称で多くのファンをもつ。30年以上を誇るキャリアと卓越した審美眼で、セレクト&スタイリングする自身の着こなしも、注目を集める。

大人でもカジュアルになりすぎない「おしゃれなレインブーツ」があった!? 人気スタイリストが発見した究極の2足をチェック

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犬走さんが愛用するレインブーツはこの2足。左から、ダイイチ ラバー、ハンター(ともに犬走さん私物)

雨のシーズンに困るのが、靴選び。おしゃれはしたいけど、実用も必要…。となるとレインブーツを履くことになるのですが、なかなか大人の日常に馴染むデザインが見つからない…。そんなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?

今回はそんな方に向けて、ファッションのプロである犬走さんが“ようやく見つけた”というご自慢のレインブーツについてお聞きします。ロングとショートの2タイプを使い分けているという犬走さん、それぞれ選んだ理由はどんなところにあったのでしょうか。

ファッションのプロがレインブーツを選ぶ基準は?

犬走さんが選ぶレインシューズの基準は、洋服を選ぶ際の条件と通底しているといいます。

「まずは、形がベーシックでロゴが目立たないこと。そして、パンツにもスカートにも合わせやすいことも重視しています」(犬走さん)

実際に犬走さんが使用されているのがショート丈とロング丈の2タイプ。天候によって使い分けながら、コーディネートを楽しんでいるとか。ここでは、それぞれのレインブーツの魅力をご紹介いただきます。

天候に合わせて「ショート丈」と「ロング丈」のレインブーツを使い分け!プロのテクニックを伝授

■1:「今日、雨が降るかも…!?」そんな日は「ハンターのショート丈のレインブーツ」がヒット

小雨が降っている、出掛け時にはまだ雨が降っていないけれど夕方にパラッときそう。“いかにも”なレインブーツを選びたくない日には、ヒール付きのショート丈のレインブーツを好んで使うと犬走さん。お気に入りは、英国王室御用達のHUNTER(ハンター)のものだとか。その魅力とは…。

【POINT1】カジュアルになりすぎない「5cmヒール」

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スマートな印象のハンターのショート丈のレインブーツ(犬走さん私物)

ハンターのレインブーツは鉄板ですが、犬走さんが愛用するのは約5cmあるヒールのタイプ。チャンキーヒールが安定感もあって、ヒールでも歩きやすいのが特徴です。

「ヒールがあることでレインブーツっぽく見えず、大人でも上品に履けるところが気に入っています」(犬走さん)

【POINT2】デイスタイルに馴染む「控えめなロゴデザイン」

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さりげなく刻印されたハンターのロゴ(犬走さん私物)

もうひとつ、上品に見えるポイントがロゴデザインだと犬走さん。ボディと同様にブラックで統一されているので、大人の日常スタイルにも品よく馴染むといいます。

【POINT3】脚のラインに寄り添い雨から守る「ネオプレン素材のサイドゴア風デザイン」

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簡単に着脱できるプルタブのデザインも高ポイント(犬走さん私物)

また、サイドゴア風のデザインにも特徴が。脚に優しく寄り添う、耐水性、断熱性、柔軟性に優れたネオプレン素材は履き心地も良く、雨が中に入らないところも魅力的だとか。

「ハンターにもいろんなラインナップが揃っているので、機能面だけでなく、いつものコーディネートに合わせやすいデザインを選ぶことをオススメします。小降りの日のスタイルに自然に調和するので、気持ちも穏やかに過ごせますよ」(犬走さん)

■2:「朝から晩まで大ぶり決定!」そんな日は、専門店の知恵が搭載された「ダイイチ ラバーのロングブーツ」がベストマッチ

大雨確定の梅雨のシーズンに重宝するのが、専門店の技術が生きた、シンプルかつ高機能なロングブーツ。渋谷のBEAMS JAPAN(ビームス ジャパン)で見つけたDAIICHI RUBBER(ダイイチ ラバー)のレインブーツは、クラシックで子どもっぽくならないデザインも信頼していると犬走さん。その魅力とは…。

【POINT1】「専門店ならではの機能性」と「デザイン美」の好バランス

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高機能のダイイチ ラバーのラバーブーツ(犬走さん私物)

ダイイチ ラバーは、北海道小樽市にある第一ゴム株式会社をファクトリーとしたラバーブーツブランドで、日常使いだけでなく、園芸やアウトドアシーンでも使える本格派。とはいえ、セレクトショップに並ぶだけあって、シンプルでスマートなデザインも際立っています。

「レインブーツというと筒状で真っ直ぐなデザインが多いように思いますが、デザイン面だけでなく歩くとパカパカするのも気になって…。そんな時に見つけたのが、このダイイチ ラバーのものでした。柔らかなラバーで足当たりも優しく、何よりもミニマルなデザインが気に入りました」(犬走さん)

【POINT2】大雨でも安心できる「グリップ力の高いアウトソール」

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滑らず歩ける「リップルソール」(犬走さん私物)

ファッションアイテムとしてのレインブーツとは異なり、アウトドアにも対応するグリップ力の高いリップルソールが搭載されています。弾力があって歩きやすいだけでなく、傾斜のある坂道でも安心です。

【POINT3】濡れていても着脱しやすい「ヒールキック」デザイン

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着脱に便利な「ヒールキック」(犬走さん私物)

機能面で犬走さんが一番驚いたのが「ヒールキック」だったといいます。これは、逆足の踵を引っ掛けて着脱できるので「密着して脱げない!」なんてことが起こらないので高ポイントだとか。

「荷物が多い日など、しゃがむのが煩わしい時に便利ですよね。新しい発見でした」(犬走さん)

【POINT4】コンパクトに畳める「アジャスターベルト」デザイン

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着脱可能な「アジャスターベルト」(犬走さん私物)

クラシックなムードを醸し出している「アジャスターベルト」は、実は着脱できるパッカブル仕様に。片足ずつベルトでコンパクトに畳むことができるので、収納や持ち運びにも便利です。

「専門店ならではの魅力が詰まっているだけでなく、クラシックなムードも私好みでした。これから訪れる雨のシーズンにぴったりです。さまざまなスタイルに合わせてみようとワクワクしています」(犬走さん)


人気スタイリストの犬走比佐乃さんから、大人の女性に必要なファッションの選び方を教えていただく連載。第31回目は、大人でもカジュアルになりすぎない「おしゃれなレインブーツ」の選び方をお聞きしました。犬走さんが大切にされている“日常に馴染む”ポイントを参考に、ぜひマイ・ベストな長靴を探してみてください。

PHOTO :
黒石あみ(小学館)
WRITING :
津島千佳
EDIT :
石原あや乃