有名女優からも絶大な支持を受けている人気スタイリストの犬走 比佐乃さんに、豊富な経験値から大人の女性に必要なファッションの選び方を教えていただく連載。第32回のテーマは、大人こそこだわりたい「上質なパジャマ」です。
「寝るときは必ずパジャマと決めています」という犬走さんが、長年の愛用歴からたどり着いた素材やディテールをクリアした私物を公開! 合わせてそろえたいバスローブもご紹介します。
リラックスタイムこそ、よいものを身につけるべき!人気スタイリストが熱弁する、上質なパジャマの重要性
「Tシャツやスエットなどで代用する人が増えて、『パジャマ離れ』が起きていると聞きますが、私は絶対にパジャマ派。上質なものをまとえばオフの時間をより豊かな気持ちで過ごすことができますし、リラックスタイムにはきちんと気分を切り替えることが重要だと思うんです。パジャマのほうが寝付きもよくなるような気がするんですよね。睡眠のために生まれたウエアであるパジャマに着替えることで、しっかり気分を切り替えて心身を休めることができます」(犬走さん)
長年パジャマを愛用している犬走さんがたどり着いたこだわりの素材やデザイン、ディテールとは?
「素材は気兼ねなく洗えるコットン。寝るときにしか着ないので、繰り返し洗ってもそんなに傷まないんですよね。結果、長く使うことができて経済的です。デザインはリラックス感のある開襟シャツで、メンズライクなタイプが好み。身体を冷やさないよう、袖は長いものを選びます。夏でも長袖のパジャマを着ています。
理想のウエストは、ゴム&ドローストリングの合わせ技タイプ。ゴムはきつくないものがいいですね。ゴムがなければ、ドローストリングだけでもOK。寝るときは身体を締め付けないことが大事。血行やリンパの流れを妨げないように、就寝時に下着をつけないほうがよいと聞いたことがあって、ショーツをはかずに寝るようにしています」(犬走さん)
今回は犬走さんならではのポイントをクリアした私物のパジャマを披露していただきながら、こだわりについてより詳しく伺います。
カラフルなチェックと柔らかな質感が魅力の「ラルフ ローレン」
今回お持ちいただいたパジャマは、現在愛用中の3着。なかでもこちらのラルフ ローレンは、犬走さんがこよなく愛するコットン素材と開襟タイプに加えて、3着のうち唯一ゴム&ドローストリングのウエストを併せ持った理想のデザイン。
「お洋服もドローストリングが外にあるものより内側にあるタイプのほうが好き。好みの問題ではありますが、内側に紐があったほうがすっきり見えますよね」(犬走さん)
ベーシックな色のウエアを選ぶことが多く、明るい色や柄物はあまり着ないという犬走さん。
「でも、パジャマならポップな色や柄物を取り入れやすいかなと。このパジャマはきちんと柄合わせもしてあって、さすがラルフ ローレンだなと感心」(犬走さん)
生地はガーゼを2枚重ねにしたタイプ。ふんわりと柔らかく、気持ちのよい肌触りが特徴。
「すごく着心地がいいんです。ソフトな生地ですが型崩れすることもなく優秀です」(犬走さん)
気分が上がるカラフルなチェック柄×コットンのなかでも柔らかなガーゼ素材がこちらのパジャマの魅力。犬走さんのように、普段着ない色や柄にパジャマでトライするのも楽しいですね。
パイピングがポイント!リラックス感としっかりしたつくりを併せ持った「ブルックス ブラザーズ」
続いてご紹介するブルックス ブラザーズのパジャマも、犬走さんが普段着ない柄物。落ち着きのあるパープル&ブルー系のペイズリー柄に濃いパープルのパイピングがきいたデザインです。
「ブルックス ブラザーズのパジャマは基本的に開襟シャツタイプ。ウエストもドローストリングと好みの要素がそろっているので、毎年新作をチェックしています。長く愛用していて、こちらのパジャマで3代目になります」(犬走さん)
「紳士服から始まったブランドなので、しなやかなコットン生地やパイピング使いなど、上質なつくりが特徴。実際に歴代のパジャマも長持ちしています。柄物を上品に仕上げている点も特筆。ペイズリーはカジュアルな柄ですが、シックな色やパイピングを施すことで洗練された印象に」(犬走さん)
このようにリラックス感としっかりしたつくり、上品な色味や柄をあわせもったパジャマこそ、大人のためのアイテムといえるかもしれません。
「一度着たら手放せない!」とファッション業界人の間でも評判の「スマイルコットン」
こちらは、今年手に入れたというニューフェイス。スタイリストの河井真奈さんが手がける南青山のギフト専門ショップ「futo」で購入した、ファッション業界人の間で話題の生地「スマイルコットン」製のパジャマです。
「スマイルコットン」とは、三重県で47年の歳月をかけて誕生した特別な綿生地のこと。糸の撚りをほぐして繊維の状態に戻すことで、極上の柔らかさ、軽さ、暖かさ、吸湿性、乾きやすさを備えた生地が誕生しました。何度洗っても生地がかたくならず、毛羽立ちも起きにくいという耐久性の高さもあわせもっており、「一度着たら手放せない!」とTシャツやパジャマが評判を呼んでいる話題の生地です。
「質感や扱いやすさなど、とにかく生地が魅力的。『スマイルコットン』のパジャマのラインナップには夏用と冬用がありますが、これは夏用。ふんわりしているのに薄くて、夏にぴったりの質感なんです。ウエストが好みのドローストリングなのも購入の決め手。ゆとりのあるサイズ感で着たかったので、あえてメンズのMをセレクトしました」(犬走さん)
人生の3分の1を占めるという睡眠時間に、何を着て過ごすかは非常に重要。犬走さんのように、生地に着目してパジャマを選ぶのも一案ですね。
犬走さんがやっと見つけた、理想の機能性を備えたガウン
最後にご紹介するのは、犬走さんが「パジャマに加えて、持っていると何かと便利! 特にこれからの季節は欠かせません」と熱弁するバスローブ。暑くなってくるこれからの季節、お風呂上がりやシャワーの後にすぐパジャマを着ると汗が気になりますよね。犬走さんが理想とするのは、昔、香港のホテルで出合った短めの丈×キモノスリーブ×ベルトが縫い合わされたコットンのバスローブ。
「動きやすく、薄くて洗濯しやすく、ベルトがなくなることもない」と愛用していたバスローブに似たデザインを国内で探すものの、なかなか見つけられずにいたところ、今年に入ってデパートでウチノのガウンを発見したのだとか。
「丈や袖、生地の薄さ、ベルトが縫い合わされている点など、探していた要素を備えたアイテム。ウチノが独自で開発した柔らかなパイル生地『エアリータッチ』を使用していて、とても薄くて軽い! 洗濯もしやすいですし、フロントにスナップボタンが付いているのも嬉しいポイント。パーフェクトな機能性を備えたガウンです」(犬走さん)
夏の間、犬走さんの暮らしに欠かせない存在だというバスローブ。パジャマと合わせてそろえたいアイテムです。
人気スタイリストの犬走 比佐乃さんから、大人の女性に必要なファッションの選び方を教えていただく連載。第32回は、「寝るときこそ、きちんと気分を切り替えることが重要」とこだわっているパジャマをご紹介いただきました。
1日の疲れを癒やす睡眠時間のクオリティを高めるためにも、何を着て寝るかは非常に重要です。犬走さんが長年の愛用歴からたどり着いたこだわりのポイントを参考に、上質なパジャマを暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。
- PHOTO :
- 黒石あみ(小学館)
- WRITING :
- 門前直子
- EDIT :
- 谷 花生