『Precious』本誌をはじめ、テレビや広告など幅広く活躍する人気スタイリストの犬走 比佐乃さんに、豊富な経験値から大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。第33回は、春夏のトレンドシューズ筆頭格ともいえるグルカサンダルにフォーカス。
昨年からグルカサンダルを愛用している犬走さんは、「大人にこそおすすめしたいアイテム」と絶賛。ここでは、グルカサンダルの魅力を犬走さんの私服コーディネートとともにご紹介します。
犬走さんが「大人にこそおすすめしたい」と絶賛!きちんと感と履き心地のよさを備えた「グルカサンダル」
この春夏、ぜひ取り入れたいシューズのひとつがグルカサンダル。昨年からじわじわと注目を浴びていましたが、今季大ブレイクした印象です。特徴は、つま先から甲にかけてレザーで編み込まれたアッパーと、足首やかかとをホールドしたデザイン。19世紀に英国領のインドで傭兵だったグルカ族の兵士たちが履いていたシューズが由来といわれています。
主にメンズから支持されていたサンダルですが、ここ最近は女性の間でも人気が急上昇。レザーのきちんと感に加えて蒸れにくさや履きやすさを備えた、大人のための機能派サンダルなのです。
「ここ数年で、大人でも合わせやすい上質なスニーカーが増えて、足元がスニーカーばかりになってしまって(笑)。昨年春、スニーカーに代わる履きやすいシューズを探していたときに見つけたのが、グルカサンダルです。最初にチャーチの茶色レザーを買ったのですが、合わせやすいうえに快適で、続けてチャーチの黒レザー、別ブランドの白レザーを購入。夏はグルカサンダルとスニーカーがあれば充分、というくらい気に入っています」(犬走さん)
■犬走さんが最初に手に入れたグルカサンダルはこれ!オールマイティな、チャーチの茶色タイプ
昨年、犬走さんがさまざまなブランドのグルカサンダルをチェックするなか、ひときわ美しい形に惹かれて購入したというのがチャーチの茶色いレザーを使用したタイプ。
「グルカサンダルはもともとメンズの間で人気が高かったこともあり、マニッシュな着こなしやパンツスタイルが多い自分の私服のテイストにぴったり。とはいえ、スカートとも相性がよいのでさまざまなテイストの方におすすめできます。カジュアルになりがちなサンダルですが、つま先が覆われており、足首がホールドされているので大人っぽく品がよく見えるところが魅力。まさに『大人のためのコンフォートサンダル』ですね」(犬走さん)
なかでもこちらは、クラフツマンシップがなせる形の美しさ、上品で深みのある茶色のレザー、ソールの端に施された遊び心を感じるスタッズなど、チャーチならではのこだわりが凝縮された一足。程よい中ヒールも歩きやすくてお気に入りだそう。自分の足の形にも合っていて、長く履き続けたいサンダルだと語ります。
黒と白、どちらをベースにした着こなしにも合う、茶色のグルカサンダル
「茶色のグルカサンダルは、重くなりすぎないのでさまざまな色の服に合わせやすいんです。例えば、ライダースジャケットを主役にした黒ベースのコーディネート(上の写真左)。茶色で、かつ程よく肌が見えるグルカサンダルを合わせることで、着こなしに上品な抜け感が生まれます」(犬走さん)
一方、同じサンダルなのにガラリと雰囲気が変わるのが、オフホワイトをベースにしたストライプのスーツスタイルとの組み合わせ。幅広いコーディネートに対応するグルカサンダルの実力が感じられます。
「ストライプの色やハット、ベストがサンダルと同系色なので、全身に統一感が出て洗練された印象に。夏に革靴だと重たくなってしまいますが、グルカサンダルなら軽やかに仕上がります」(犬走さん)
■引き締めカラーも重宝!犬走さんが色違いで購入したチャーチの黒いグルカサンダル
先に紹介した茶色レザーのタイプがあまりに気に入ったため、犬走さんが続けて購入したというのが色違いの黒レザータイプ。
「エフォートレスなところに惹かれて、一時期スニーカーばかり履いていたのですが、ホテルやレストランなどに行く際は、カジュアルすぎない足元を心がけたいもの。つま先を覆い、かつ、かかとや足首をホールドしているグルカサンダルなら、大人な印象をキープできます。引き締めカラーの黒はきちんと感のある着こなしや辛口のコーディネートとも好相性。同系色なら、ソックスを合わせても子供っぽくなりません」(犬走さん)
実はミュールがあまり好きではないという犬走さん。それもまた、グルカサンダルを愛用している理由のひとつに。
「年を重ねるとともに現れるくるぶしのシワを隠したほうがエレガントだと思いますし、歩くときにかかととミュールが離れてペタペタと音がするのも気になります。そういった点もクリアできるのがグルカサンダルのいいところですね」(犬走さん)
ローファー感覚で合わせたい!黒のグルカサンダルはエッジのきいた着こなしにもマッチ
「黒のグルカサンダルはローファー感覚でコーディネートすることができて便利! シャツドレスとパンツの着こなし(上の写真左)は、まさに黒のローファー代わりにサンダルを合わせました。秋冬ならローファーもいいですが、夏なら軽やかにグルカサンダルを選びたいですね。黒は定番色なので、デザイン性のあるシャツワンピースにもなじみます」(犬走さん)
普段、私服でサンダルにソックスを合わせることはないという犬走さんですが、今回は両者の色を黒に統一してトライ。
「サンダルとソックスを黒で統一すると自然な印象に(上の写真右)。大人っぽい足元が演出できます。このワンピースはパフスリーブと動きのある裾の部分が特徴。ベーシックな色とデザインのサンダルなので、合わせやすく、こういった遊び心のあるワンピースとも好相性。個性的になりすぎず、シックで洗練された着こなしに仕上がります」(犬走さん)
■夏に向けて犬走さんが買い足した、軽やかな白いグルカサンダル
グルカサンダルの履きやすさ、合わせやすさに魅了された犬走さんは、今年に入って白レザーを使ったタイプも購入。
「夏に向けて明るい色のグルカサンダルが欲しくなって購入しました。先にご紹介したチャーチのサンダルには白の展開がなかったので、イタリアの老舗ブランド、パスクッチからセレクト。白いスニーカー代わりに履ける、軽やかで清潔感のある一足です」(犬走さん)
白いグルカサンダルなら、大人の春夏コーディネートに程よい抜け感が生まれる!
ネイビーとグリーンの組み合わせが好きだという犬走さん。このシャツスタイル(上の写真左)は、自身が好きな色合わせで程よくカジュアルな、普段の私服コーディネートそのままだそう。カジュアルななかに、スカーフでエレガンスや華やかさをプラスしているのが犬走さん流。
「パンツスタイルでアクティブに動きたい日のコーディネートなので、これまでであれば足元はスニーカー。今年は白いスニーカーの代わりに白いグルカサンダルを合わせて、より軽やかに仕上げたいです」(犬走さん)
ジャケットスタイル(上の写真右)は、白をキーカラーにしたコーディネート。アウターとインに着たTシャツ、足元を白でそろえて軽やかさ、爽やかさを演出して。
「グレーのパンツは、足元が軽やかでも違和感なく決まるので重宝しているアイテムのひとつ。茶色のグルカサンダルも合いますが、白を選ぶことで抜け感が出て、よりこなれた印象に」(犬走さん)
人気スタイリストの犬走 比佐乃さんから、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。第33回は、犬走さんが昨年から注目しているグルカサンダルにフォーカスしました。
上品でエフォートレス、これぞ大人にぴったりなアイテム。春夏のトレンドシューズではありますが、プレーンなデザインなので、つくりのしっかりした上質なタイプを選べば長く愛せること間違いなし。ぜひ実際に試着をして、自分にフィットする一足を見つけてください。
- PHOTO :
- 黒石あみ(小学館)
- WRITING :
- 門前直子
- EDIT :
- 谷 花生