モードとアートの邂逅|進化する「シャネル オートクチュール」
「シャネル」が初めて、現代アーティストにショーの演出を依頼したことでも注目が集まった、2022年 春夏 オートクチュール コレクション。一夜限りの最高峰の世界を振り返ります。
Back Stage 美のプロフェッショナルが結集するショーの舞台裏
これからランウェイへと向かうモデルたち。コレクションのラストを飾るのは、ローブ・ド・マリエ(写真左端)。
1920年代ムードのクラシカルなルックに合わせたのは、スリークヘアとアヴァンギャルドな目元が印象的なメイク。リップはコーラルで色艶を足して、明るく軽やかに。
Show Decor 幾何学的なオブジェや巨大な楽器が空間を圧倒
現代アーティストのグザヴィエ・ヴェイヤンが手掛けた会場は、まるでインスタレーション・アートのような趣。ショーの幕開けには、ブランドアンバサダーであり、馬術家でもあるモナコのシャルロット王女が馬に跨(またが)ってランウェイを疾走した姿も話題に。
グラフィカルな舞台演出とクリスタルオルガンの幻想的な生演奏、流麗な装飾のルックが共鳴し合う濃密な空間に。
リアルとファンタジーの狭間で紡ぎ出されるモードの夢
最もラグジュアリーで、先進的なクリエイションが披露されるオートクチュール コレクション。「シャネル」は、その中で最古の伝統を誇り、頂点に君臨し続けるクチュールメゾンです。
ヴィルジニー・ヴィアールの果てなき創造力と、メゾンが守り続けるサヴォアフェールがいかんなく発揮された今回のコレクションでは、浮遊するような軽快さを軸に、女性らしい繊細なタッチを携えたルックが次々と登場。
あえてジュエリーをつけずに潔く纏う装いは「レス イズ モア」の精神に溢れ、メゾンの伝統的なスタイルが、また改めて刷新されました。
ショーピースの製作には、「シャネルの宝」と称されるアトリエと、メゾンのパートナーとして装飾を手掛けるすべての専門工房が携わります。
幻想と現実の狭間を織りなすような魅惑的なドレスはいずれも、凝った手刺繍やイリディセント ツイード、レース、ジュエルボタンといった高貴な装飾が施され、唯一無二の、息を呑むほどの美しさをたたえています。
尊い手仕事から生まれる夢のように美しい装飾
ケープに施されたビジューとシークインの刺繍、そして、緻密な細工の宝石のようなボタンは、どちらも「シャネル」のオートクチュールアトリエの熟練した職人の手によるもの。
ケープ部分の刺繍の製作だけでも、270時間を要する。
Savoir - faire 「シャネル」がつなぐサヴォアフェールの未来
「ルサージュ」や「モンテックス」(共に刺繍)、「ゴッサンス」(金細工)、「ルマリエ」(羽根細工)、「マサロ」(靴)など、「シャネル」は数多くの専門アトリエを傘下に収める。
伝統を継承する文化遺産であるサヴォアフェール(職人の技)が、メゾンのエスプリであるオートクチュールの創作を支えている。
問い合わせ先
- PHOTO :
- 岡本充男
- STYLIST :
- 押田比呂美
- HAIR MAKE :
- ヘア/JUN GOTO(ota office)、メイク/AKIKO SAKAMOTO(SIGNO)
- MODEL :
- 新井貴子
- EDIT&WRITING :
- 下村葉月、小林桐子(Precious)