雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。
今回はフォトグラファー ジェニー・ルイスさんの活動をご紹介します。
ひとりひとりの強さを見せるポートレートで多様性を表現
ルイスさんが今年発表した写真集『100 Years』は、ロンドンに暮らす1歳から100歳までのすべての年齢の100人が登場するポートレート集。ジェンダー、人種、LGBTQ…ロンドンならではの多様性溢れる人々に寄り添うように撮影された作品は、公共施設やストリートを飾るパブリックアートとしても起用され、話題を呼んでいる。
「撮影と共に、彼らのライフヒストリーもインタビューしました。世代を超えたつながりや、個人のアイデンティティを考える作品だとして、海外からもインスタレーションの依頼があります」
ルイスさんにはもうひとつ、一般の人たちを撮った代表作がある。『One Day Young』と題した、出産したばかりの女性の姿を撮影した写真集だ。自身の経験をきっかけに、出産のポジティブな面を伝えたいと強く思い、「出産後24時間以内に、その母子自身の家(イギリスでは通常の出産の場合、陣痛が始まってから入院、出産後3時間で退院、帰宅となる)で撮影」するプロジェクトをスタート。’05年から5年がかりで150人を撮影した。
「出産後の女性はエネルギーに満ちている。多くの女性が、自信や誇りが感じられる強い眼差しで、カメラをしっかり見つめ返してきました。それは、100%の誇りをもった人間の姿でした」
その後NGO「ウォーターエイド」(※)の依頼で、アフリカ・マラウイのバースセンターでも同様の撮影を実施。清潔な水がない環境下で出産しながらも、誇り高く毅然とした表情を見せる女性たちの写真で、問題提起に尽力した。
人を支え、鼓舞する。ルイスさんは写真の力で、想いを伝える。
【SDGsの現場から】
●途上国での撮影、ワンデイヤング マラウイ プロジェクト
●『100 Years』からピックアップしたインスタレーション
※ウォーターエイドとは…水と衛生の問題を専門とする国際NGO。ルイスさんはキャンペーンの一環でマラウイでの撮影に参加。その後バースセンターは水道完備に。
- WRITING :
- 剣持亜弥(HATSU)
- EDIT&WRITING :
- 大庭典子、喜多容子(Precious)
- 取材・文 :
- Sayaka Hirakawa