豊富なキャリアをもつ人気スタイリストの犬走比佐乃さんに、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。第37回のテーマは、夏のパールネックレス。パールをこよなく愛し、季節を問わず活躍させているという犬走さんならではの「選び方」や「スタイリング術」を伺いました。
パール好きのスタイリストが伝授する「使いやすい大きさ」と「スタイリング術」
パールは汗や皮脂に弱いことから、夏の着用を避けたほうがいいといわれますが、パールをこよなく愛する犬走さんは季節を問わず活躍させているそう。ポイントは上質なものを選ぶこと、きちんとお手入れをすること。
今回は、犬走さんが太鼓判を押す「使いやすい大きさ」や重ねづけ術など、夏にパールネックレスを楽しむためのヒントを伺いました。
「使えるサイズ」は、カジュアルに装える5〜6mm珠の短めタイプ
20代の頃からパールが好きという犬走さん。きっかけは、とある雑誌で見かけたスタイリスト原 由美子さんの着こなし。Tシャツにパールネックレスを合わせて、カジュアルにスタイリングしている姿に憧れたそう。
「パール=冠婚葬祭用というイメージがありますが、雑誌を見たときに『カジュアルに着こなしていいんだ!』とハッとして。原さんに憧れて真似し始めたのがきっかけですね。それ以来、カジュアルなシーンでも夏でも活用しています。夏は避けたほうがいいと言いますが、私はあまり気にしないかな。上質なものを選んで、しっかりお手入れをするようにしています」(犬走さん)
サイズも長さもさまざま、たくさんパールネックレスを持っているという犬走さん。なかでも「いちばん使いやすい大きさ!」と絶賛するのが、直径5〜6mmの小ぶりなサイズ。写真は共にミキモトのアコヤ真珠のネックレス。10年ほど前、クラスプが金のタイプ(写真右)を購入したのち、あまりも気に入りすぎたため追って2本目(銀のクラスプ)を購入したそう。
「5〜6mmは仰々しさがなく、軽やかでカジュアルにもマッチするサイズ。パールネックレスは短いか長いかが好み。こういうチョーカー風の長さだと、きりっと見えますね。ミキモトはアフターサービスも万全。何回も糸替えとクリーニングをしていただいています。クラスプもシンプルなタイプからデコラティブなものに付け替えしてもらいました。高価なものだからこそ、ぜひ信頼できるブランドやショップから購入を」(犬走さん)
パール×ゴールドのレイヤードは犬走さん鉄板の組み合わせ!
それでは、パールネックレスのスタイリング例を披露していただきます。まずは、犬走さんが「私のなかで永遠の定番!」と語るパールネックレス×ゴールドのネックレスの重ねづけ。ネックレスのチャームはハリー・ウィンストン。着こなしに合わせてチェーンを付け替えて楽しんでいるそうです。
「夏のみならずオールシーズンで出番が多い、自分らしいレイヤード。大きいサイズのほうがフォーマル感が増すので、今回は6mmのパールを合わせましたが、白シャツ以外のトップスにも合わせます。気品と華やかさが演出できる組み合わせですね。ポイントはゴールドのネックレスを少し長くすること。手持ちのトップスや首の長さに合わせてベストなバランスを探してみてください」(犬走さん)
今すぐ真似したい!ターコイズを上品に仕上げる重ねづけテクニック
続いてご紹介するのも、犬走さんのお気に入りテクニック。夏の開放的なコーディネートやバカンスシーンの着こなしに取り入れたい、ターコイズネックレスとの重ねづけです。
「ターコイズは好きなのですが、スタイリングによっては重たい印象になったり、エキゾチックなテイストが強すぎたりすることも。そんな時におすすめなのが、意外にターコイズと好相性なパールとの重ねづけ。1本でも存在感があるターコイズにあえてパールを合わせると、不思議に上品さや軽やかさが生まれるんです。『足し算』のはずなのに、けしてトゥーマッチにならないんですよね。ここではより軽やかな印象の5mmサイズを合わせました」(犬走さん)
洋服はターコイズの色に合わせてエレガントなブルーのワンピースをセレクト。ドレスアップやお出かけの際はもちろん、Tシャツにデニムなどカジュアルなコーディネートに合わせても素敵です。シンプルな着こなしが一気に華やかに仕上がります。
シンプルなTシャツをパール×ゴールドでアップデート!
最後は、冒頭でご紹介したパール×ゴールドの応用編。夏らしく、かつカジュアルに、シンプルな黒Tシャツを合わせた着こなしです。ゴールドのネックレスはネット状のチェーンにチェンジ。こちらはなんとテレビショッピングで見つけたものだそう。ジルコニア付きできらきら華やかなうえ、軽くて持ち運びしやすく旅などにも重宝しているのだとか。ハイエンドなブランドからお手頃アイテムまで、犬走さんのセレクトの幅広さと審美眼に脱帽です!
「小ぶりのパールって、きちんと感のある白シャツからカジュアルなTシャツまで、想像以上に『守備範囲』が広いんです。ぜひ手持ちのトップスにあれこれ合わせていただきたいですね。今回のようにシーリングスタンプをモチーフにしたアイキャッチーなネックレスと重ねづけすれば、よりフォーマル感が中和されます」
「この着こなしはネックレスの重ねづけが主役。ネックレスの色や素材が引き立つよう、黒いTシャツをセレクトしました。クルーネックの場合は、チャームが襟ぐりにかかってもたついた印象になるのを避けるため、重ねづけするネックレスを少し長めにするのがおすすめです」(犬走さん)
人気スタイリストの犬走比佐乃さんから、大人の女性に必要なファッションについて指南いただく連載。第37回は、夏のパールネックレスにフォーカス。パールといえばフォーマルな印象と「夏は避けるべき」というイメージが強いですが、選び方と合わせ方、そしてきちんとお手入れすることによって活用する機会とシーンが驚くほど増えることを教えていただきました。
「パールをデイリーに活用できていない」「カジュアル派だからパールは敷居が高くて」という方も、ぜひ犬走さんの教えを参考にパールを着こなしに取り入れてはいかがでしょう。コーディネートの幅が広がるだけでなく、「おしゃれ力」に磨きがかかること請け合いです。
- PHOTO :
- 黒石あみ(小学館)
- WRITING :
- 門前直子
- EDIT :
- 谷 花生