共通の趣味をもった見ず知らずの人と、ネット上で「友達」になり関わっていくことは、今や珍しいことではありません。それと同様に、企業も共通の理念やビジネスを広げていくために仲間をつくることがありますが、それが「アライアンス」です。互いに協力することで得られる、さまざまな「相乗効果」が主たる目的。「アライアンス」に関するぼんやりとした認識を、正確で役に立つ知識にアップデートしましょう!
【目次】
【「アライアンス」を深く理解するための「基礎知識」】
■「アライアンス」は「提携」「連合」を意味する言葉
「アライアンス」の語源は英語の[alliance]。直訳すると「同盟、協定、縁組」などを意味し、いわゆる「提携」や「連合」を指す言葉です。
■ビジネスで「アライアンス」が示すのは、「企業同士の協力関係」!
企業同士が「同盟」を結び、共同で事業を立ち上げたり、共通のサービスを提供したりする関係、それが「アライアンス」です。簡単にいえば、「企業同士の協力関係」と表現することができますが、そこには関係の形式や程度までは含まれていません。他社と手を組みイベントを開催する程度のスポット的な関係から、合併のように重大な結びつきに至るまで、さまざまなかたちの協力関係をひっくるめて「アライアンス」という言葉で表現します。
■アライアンス契約って?
「アライアンス」は「業務提携」「戦略的同盟」といった意味で使われます。複数の異なる企業が技術や人材、資本などの経営資源を出し合い、事業のさらなる成長や競争力拡充を目的に契約を交わすことを「アライアンス契約」と呼びます。
M&A(企業の合併・買収)とは異なり、コストをかけずに提携することができ、企業同士が自立的な立場を維持しつつ、対等な協力関係を築くことも可能です。主な目的は、新規事業への進出や販売力・技術力の強化など。事業拡大におけるリスクの分散というメリットもあります。
■「ミスアライアンス」は「不釣り合いな結婚」!
人間関係同様、企業間の「アライアンス」も、うまくいくこともあれば、けんか別れすることもあります。共同事業に失敗したり、利害関係が対立したりして、アライアンス解消というケースも少なくありません。「アライアンス」に失敗することを「ミスアライアンス」といいますが、この言葉は本来、「不釣り合いな結婚」という意味なのだとか。
【別の言葉にするなら?「アライアンス」の「言い換え」表現】
ここで「アライアンス」の言い換え表現を整理しておきましょう。
■同盟 ■協定 ■縁組 ■提携 ■連合
■企業同士の協力関係 ■業務提携 ■戦略的同盟
【「アライアンス」の理解を深める「例文」4選】
■1:「業界2位のB社と3位のC社がアライアンスを組むことで、1位のA社に揺さぶりをかける戦略に出た」
■2:「業界全体の技術レベルを底上げするためには、アライアンスが欠かせない」
■3:「企業文化の相互理解が足りなかったために、A社とのアライアンスはうまくいかなかった」
■4:「○○グループと△△グループは、業界全体での情報共有を目指し、アライアンスを締結し、標準化された業務システムを構築することを決定した」
【知っておきたい「アライアンス」の「関連用語」
■アライアンスパートナー
アライアンス契約を結んだ企業のことです。
■アライアンス営業
アライアンス先の選定や調査、提携における条件交渉や契約締結、アクティブ化までを一貫して行う営業のことです。
■グローバルアライアンス
世界的規模で行う企業連携のこと。英語では[global alliance]。
■「アライアンス戦略」
複数の企業がメリットを得るために事業を提携していく戦略を指します。
複数の企業が自社内の不足部分を補い、経済的な相乗効果を得るために事業を提携させる戦略のこと。企業間で技術や知識を共有することで、資源の有効活用が可能となります。
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「アライアンス」は、リスクを抑えながら効率的に事業拡大を狙える経営手法のひとつです。万が一、うまくいかなかったときはその原因を分析し、次のアライアンスに生かすことが大切なのは、人間関係と同じですね。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『現代用語の基礎知識』(自由国民社)/『これ1冊であとはいらない! 大人の語彙力大全』(中経の文庫)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP)/『カタカナ語 すぐ役に立つ辞典』(河出書房新社) :