京都には、伝統と革新が違和感なく共存しています。それは、古いものを大切に守りながら、新しいものを受け入れる懐の深さがあるから。そんな京都のおもしろさ、京都の今が感じられる名店・名皿を3回に渡ってご紹介。
第3回目は、特定のメニューが絶品で誰かに教えたくなるような「通のお店」を食べすぎ系ライター・T、レストランジャーナリスト・I、ミーハー編集者・Eの3人がセレクト。京都旅行の際に案内すれば、友達に「こんなお店知っているの!?」と驚かれ、あなたの株が上がるはず!
■1:賑わいから逃れて味に集中できる「御料理 光安」(二条)
古い町家を改築した個室2室のみの店。昼夜各2組しか受けないのは、店主の光安裕一さんひとりですべての料理をつくっているから。なかでも、京野菜のみを使った八寸が看板料理。例えば秋は、紅葉の山を思わせる色鮮やかな盛り付けです。紅芯大根、聖護院蕪は蒸して、海老芋、金時人参とその葉は揚げて、南瓜、安納芋は炊いて、黒平茸は焼くなど、それぞれの味を引き出す調理法で楽しませてくれます。
問い合わせ先
- 御料理 光安
- 営業時間/12:00~、18:00~、19:00~※いずれもスタート時間。日曜、月曜昼定休
- コース/昼¥5,000~、夜¥15,000~
- TEL:075-366-3138
- 住所/京都府京都市上京区千本通丸太町上ル二筋目東入ル(小山町908-12)
■2:京都の絶品素材・本家本元の熟成牛を味わえる「京都 中勢以 月」(東山)
日本での熟成肉のパイオニア・京都 中勢以。その真価を味わうなら、こちらで。熟成牛肉ステーキ200g 特上は¥12,926! 部位はイチボ(お尻のあたり)。テフロン加工のフライパンに少量の米油をひいて、焦がさないようにていねいに焼いてからオーブンへ投入という手の込みよう。3か月近く熟成させたイチボは、しっとりとやわらかく、うま味もたっぷり。和食の多い京の旅にこのワインとステーキの食事は、お腹にうれしい選択肢です。
問い合わせ先
- 京都 中勢以 月
- 営業時間/12:00~14:00(L.O.)、18:00~21:00(L.O.) 不定休
- ランチ/¥1,980~、夜はアラカルトのみ
- TEL:075-748-1429
- 住所/京都府京都市東山区稲荷町北組573
■3:創作の和スイーツを数奇屋の一軒家で堪能できる「茶菓円山」(東山)
場所は円山公園の中。床の間に掛け軸と花が飾られた空間で提供されるのは、四季の素材を生かしたできたての和スイーツ。メニューは季節によって変わり、冬は「苺汁粉」¥1,000や写真の鳴門金時のチップスを添えた「栗のみたらし団子」¥1,600などが登場。抹茶やコーヒーなど、温かい飲み物には八坂神社のご神水を釜で沸かしたお湯が使われています。飲めば、ご利益があるかもしれませんよ。
問い合わせ先
- 茶菓円山
- 営業時間/11:00~18:30(L.O.)火曜定休、年末年始休
- スイーツ/¥500~
- TEL:075-551-3707
- 住所/京都府京都市東山区円山町620-1-2
■4:スッポン、イノシシ、野菜に雑炊と4回楽しめる贅沢鍋が絶品の「貴船 右源太」(多宝塔)
水と縁結びのパワースポットとしておなじみの貴船神社の門前。食いしん坊の目的は門前に店を構える、貴船 右源太。10月から3月末まで登場する氣生根鍋が絶品。第1の鍋には3日かけて用意する出汁でスッポンを、第2の鍋はコラーゲンが溶けたスープでイノシシを味わいます。第3の鍋は野菜。十分に素材のうま味が溶けたスープで最後は雑炊。前菜、水菓子がついて1名¥22,356(税・サ込み)です。
問い合わせ先
- 貴船 右源太
- 営業時間/11:30~19:00(L.O.) 不定休
- 鍋コース/¥9,936~(冬季限定)
- TEL:075-741-2146
- 住所/京都府京都市左京区鞍馬貴船町76
■5:大迫力で迫る出し巻き卵サンドがたまらない「knot café」(北野白梅町)
西陣織の織元の倉庫・駐車場だったという町家を改装したカフェ。関西ならではの「出し巻きサンド」¥330を出しているのですが、出し巻き卵の厚さ、なんと約3cm! 写真で見るとなんとも大迫力のボリューム。しかし、実物は小ぶりで食べやすいです。京都を代表するベーカリー、ル・プチメックのバンズごと頬張れば、出汁がジュワーッとあふれ出るます。ぜひ、「あんバターサンド」¥330もご一緒にどうぞ。
問い合わせ先
- knot café
- 営業時間/10:00~18:00 火曜定休(不定休あり)
- ドリンク/¥350~
- TEL:075-496-5123
- 住所/京都府京都市上京区東今小路町758-1
■6:カリスマ的人気のコーヒースタンド「WEEKENDERS COFFEE」(河原町)
2005年の開店以来、深煎り主流の京都コーヒー界で自家焙煎の浅煎りコーヒーを提供中。2016年夏の移転に伴い、カフェを閉店。スタンドにしたのは「隣り合うお客さん同士やスタッフとのコミュニケーションが増えるから」とオーナー、金子将浩さんは言います。エチオピア産「ドロミナ」200g¥1,340など、豆のフルーティーさを表現するコーヒーは「本日のドリップコーヒー」¥436でも登場。
問い合わせ先
- WEEKENDERS COFFEE
- 営業時間/7:30~18:00 水曜定休
- コーヒー/¥399~
- TEL:075-746-2206
- 住所/京都府京都市中京区骨屋之町560離れ
以上、一芸に秀でた通のお店を集めてみました。本稿で取り上げたお店について、ミーハー編集者・Eは、「和食やラテン系にこちらで紹介する6店を加えれば、今、京都で行くべきおいしいジャンルがほぼ網羅できるはず!」と太鼓判。
これに対して、食べすぎ系ライター・Tは「京野菜、和牛熟成肉にお抹茶が出てくる甘味処。冬の鍋に出汁巻き卵サンド。今、ブレイク中のコーヒースタンドと盛り込んでいますね~」と同調。さらにレストランジャーナリスト・Iも、「どの店も伝統を踏まえたうえで今を表現しているのが、さすがよね。高級からカジュアルまで、美味しいお店が勢ぞろい!」とべた褒めしています。
ちなみにEは、中東篤志さん監修の朝食喜心が話題になっている「草喰なかひがし」と、連日行列でフルーツサンドやモーニングも狙い目の「市川屋珈琲」も個人的におすすめのお店だそうです。このなかのどれかのお店に行き、SNSでその報告を投稿すれば、フォロワーから羨ましがられること間違いなし。周囲の称賛を集めたいなら、ぜひ実際の味を確かめに、足を運んでみてください。
※紹介した商品の価格は税抜です。
- PHOTO :
- 田中 雅、ハリー中西
- EDIT :
- 寺尾妙子、遠藤智子(Precious)
- RECONSTRUCT :
- 藤岡あかね
- SUPERVISION :
- 犬養裕美子