冬の味覚の王様といえば「蟹」。プリプリの蟹の身や濃厚な蟹味噌に舌鼓を打ち、そのあとは温泉でゆるりと心身を癒す…。そんな極上の旅時間を過ごすには、と言っても宿選びが肝となります。

そこで、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんから、蟹尽くし料理が絶品の湯宿をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、鳥取県岩美郡にある「岩井温泉 岩井屋」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の2500スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

山陰最古の温泉街で松葉蟹尽くしプランに舌鼓

岩井屋の松葉蟹尽くしプラン
岩井屋の松葉蟹尽くしプラン

鳥取県にある岩井温泉は、開湯1300年という山陰最古の温泉。頭に手ぬぐいをのせ、数え唄を歌いながら柄杓で湯をかむる“湯かむり”という風習が江戸時代から伝えられるなど、長い歴史を紡いできた温泉街では風情ある木造の旅館が立ち並びますが、ひときわ格調の高さを感じさせるのが今回ご紹介する「岩井温泉 岩井屋」です。

新鮮だからこそ生でも全く臭みがなく美味!
新鮮だからこそ生でも全く臭みがなく美味!

「創業130年を誇るこちらの宿では、松葉蟹尽くしプランが極上。絶妙な火加減の焼き蟹、プリプリの蟹刺しや茹で蟹、そして特製出汁のかにすき鍋など、どのメニューも一口ごとに天に召される気分です。なかでも特に印象に残っているのは、食べる直前に仲居さんが目の前の七輪で焼いてくださる蟹の甲羅焼き」(植竹さん)

ご飯との相性も抜群の蟹味噌
ご飯との相性も抜群の蟹味噌

「岩井屋にとって蟹は冬の風物詩なので、仲居さんはどなたも蟹焼きのスペシャリスト。蟹味噌に日本酒を少したらして焼くことにより、もともと濃厚な蟹味噌が、さらにねっとりと旨みを引き出されてえも言われぬおいしさになります。これをふっくら炊きたてのご飯にのせて食べるのが岩井屋スタイル。毎年、蟹の季節が訪れるたびに『あー、あの蟹味噌が食べたい…』と思い出してしまうくらい衝撃的な味わいです」(植竹さん)

足元からプクプク…貴重な自然湧出温泉で肌にうるおいとハリをチャージ

足元から源泉が湧いてくる「源泉長寿の湯」
足元から源泉が湧いてくる「源泉長寿の湯」

岩井温泉は、「日本百名湯」に選出されたこともあるほど湯が秀逸。その自家源泉を有する岩井屋では、名湯をかけ流しで満喫できます。

「岩井屋には4つの湯処がありますが、いちばんのおすすめは大浴場『源泉長寿の湯』。浴槽の中心部は立ったまま胸まで浸かるほど深く掘り下げています。ここが素晴らしいのは、湯舟の底に敷いた松板の簀子の間からプクプクと新鮮な湯が湧いてくること。温泉は湧いてから時間が経つとどうしても酸化により本来の効用が損なわれてしまいますが、ここでは湧きたてのフレッシュな湯の恩恵をダイレクトに受けることができます」(植竹さん)

露天風呂「背戸の湯」
露天風呂「背戸の湯」

「泉質は、カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉。保湿力と肌を蘇生する作用があるとされる美人の湯です。浸かっている最中から全身にぐんぐん湯がしみわたるような感覚があり、うるおいとハリをしっかりチャージできました。お疲れ気味の肌にエネルギーを注入したい人にイチ推しです」(植竹さん)

大浴場「祝いの湯」
大浴場「祝いの湯」
貸切風呂「よいまち草」
貸切風呂「よいまち草」

「その『源泉長寿の湯』の敷地内にある露天風呂が『背戸の湯』。竹垣に囲まれた東屋風の造りで、こちらも雰囲気抜群です。そして、もうひとつの大浴場『祝いの湯』、貸切風呂の『よいまち草』もそれぞれ趣が異なり、湯巡りするうちに日頃の疲れが癒されるのを実感できました」(植竹さん)


以上、「岩井温泉 岩井屋」をご紹介しました。山陰でトップクラスの人気を誇る名宿で蟹と温泉をセットで楽しみたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?

※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。

問い合わせ先

  • 岩井温泉 岩井屋
  • 住所/鳥取県岩美郡岩美町岩井544
  • 客室数/全14室
  • 料金(税込)/特選松葉蟹尽くしプラン 1名 ¥66,500~、松葉蟹ゆで蟹一杯付・冬の蟹付会席 1名 ¥45,650~
  • TEL:0857-72-1525

WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生