メールの結びの一文や、別れ際に「ご連絡差し上げます」というフレーズを使うことがありますね。ビジネスマナーとしての文章術や敬語について学んでいくほど、今まで使っていた敬語や言い回しが不安になるものですが、今回の「ご連絡差し上げます」にも、不安や違和感を感じる人が少なくないかもしれません。そんな「?」を解消すべく、正しい使用方法を解説します。
【目次】
- 「ご連絡差し上げます」の正しい使い方…基礎知識
- ビジネスシーンでそのまま使える「正しい例文」7選
- 「ご連絡差し上げます」と同じ意味で使える「類語」「言い換え」
- 「ご連絡差し上げます」を適切に使うための「注意点」
【「ご連絡差し上げます」の正しい使い方…基礎知識】
■「ご連絡差し上げます」はこんなフレーズ
「ご連絡」は、「連絡」に接頭語(続く単語を高めたり美化する)「ご」を用いた謙譲表現。
「差し上げます」は、「~してあげる」「~を与える」の謙譲語です。
■二重敬語ではありません!
「ご連絡差し上げます」は「連絡します」を丁寧な敬語表現にしたものということになりますが、「ご」も「差し上げます」も謙譲語なので「二重敬語でNGでは?」と思った人もいるかもしれませんね。この場合は「ご+差し上げる」でひとつの謙譲表現ととらえてOKです。
■こんなシーンで使われます
「ご連絡差し上げます」は、「検討結果」や「経過報告」「確認事項」など、その連絡が相手のプラスになるケースで使用します。
例:見積書をご送付いただき、ありがとうございました。検討いたしまして改めてご連絡差し上げます。
■こんなシーンでは不適切!
「時間がないのでのちほど…」など、自分の都合で連絡する場合に「ご連絡差し上げます」を使うのは不適切。また、上から目線な表現と感じる場合もあるので、目上の人には使わないほうが無難です。
また、「連絡して差し上げます」という表現はありえません!
【ビジネスシーンでそのまま使える「正しい例文」7選】
「ご連絡差し上げます」をさまざまなケースで使用する際の例文をご紹介します。
■1:「本日はご来社いただきありがとうございました。後日こちらよりご連絡差し上げます」
■2:「ご提案いただきました企画の件、部内ではかりまして、改めてご連絡差し上げます」
■3:「先日ご連絡差し上げましたお打ち合わせの日程ですが、ご都合はいかがでしょうか?」
■4:「こちらからご連絡差し上げるべきところ、お電話を頂戴しまして恐縮です」
■5:「ご連絡差し上げるのが遅くなり、申し訳ござません」
前章で「自分都合は不適切」や「目上の人には使わないほうが無難」と説明しましたが、そのようなケースでの例文も確認しておきましょう。
■6:「先ほどお送りいただいた最終見積ですが、本日は上司が不在で確認がとれません。明日改めてご連絡申し上げますこと、ご了承くださいませ」
■7:「部長が懸念されていた件も先方にご理解いただけました。これから本日の議事録をまとめますので、明日改めてご連絡いたします」
【「ご連絡差し上げます」と同じ意味で使える「類語」「言い換え」】
「ご連絡差し上げます」一辺倒ではなく、下記の言葉を状況に応じて組み合わせて“語彙力の高い人”へとステップアップしましょう。
■「ご連絡」の類語、言い換え
・ご案内 ・ご報告 ・ご説明 ・お知らせ ・お返事
■「(ご連絡)差し上げます」の類語、言い換え
・申し上げます ・いたします ・します
【「ご連絡差し上げます」を適切に使うための「注意点」】
1.「期待していること」や「要望を叶える」など、相手の利益やプラスになるケースで使用
2.目上の相手には用いない
***
「ご連絡差し上げます」は相手に期待をもたせるフレーズです。それだけに、その後の連絡を怠るのは社会人として最もしてはいけないこと! 信頼のおけるビジネスの基本は、報告、連絡、相談の「ほう・れん・そう」です。心して、ご連絡差し上げましょう!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『決定版 すぐに使える! 教養の「語彙力」3240』(西東社)/『とっさに使える 敬語手帖』(新星出版社)/『人は話し方が9割』(すばる舎) :