対面での会話やメールでも、頻繁に使われる「先日」という言葉について、あなたはどれくらいご存じでしょうか。「昨日」は「先日」と言っていいのでしょうか? 素朴な疑問にお答えします!
【目次】
【「先日」って、つまり「いつ」のこと?】
■「先日」の意味は?
「先日」とは【さほど遠くない過去のある日。このあいだ。過ぎし日。過日】という意味です(『日本国語大辞典』より)。ここからわかるように、「先日」という言葉は「過去のある時点」を曖昧に表現するときに用いられる言葉です。「○月△日と明確な日付は特定せずに、さほど遠くない過去のある日」を指す、ある意味感覚的な言葉といえます。
■「先日」って、いつからいつまでを指すの?
「先日」がいつからいつまでを指すのか、明確な定義はありません。時間の感覚には個人差もありますから、一概に定義するのは難しいですね。ただし、一般的には3日以上前(つまり一昨日より前)から1か月以内の間を指して「先日」ということが多いようです。
■「先日」の期間はどのくらい?何日前から使える?
3日以上前(つまり一昨日より前)なら「先日」と表現して問題ありません。そして1か月以内をだいたいの目安として、1週間前も3週間前も「先日」という言葉で表します。3日前など、ごく近い過去であれば『つい先日』という表現も使えます。
■「昨日」「前日」は「先日」と言える?
「先日」は「遠くない過去」を示しますが、一般的に「昨日」や「一昨日」を「先日」とは言いません。なぜなら、名称がついているのなら、それを使ったほうが相手に伝わりやすいからです。誤解を生まないためにも「昨日」「一昨日」と言いましょう。 同様の理由で、「1週間前」は「先週」、「1か月前」は「先月」と表現したほうが、わかりやすいですね。年をまたいでいるなら、「昨年」とも言い換えられます。
また、「前日」とは「その日の前の日」のこと。「会議の前日」のように、ある特定の日の1日前を指します。何かのイベントや行事の日程を相手と共有している際、その前の日を指して「前日」と言います。「前日」は未来の予定に関しても、過去の事実に関しても使うことができます。ある特定の日を「当日」、その前の日が「前日」、特定の日の次の日は「翌日」と呼ばれます。
■「2か月前」は先日と言える?
明確な定義がないため断言はできませんが、一般的には「2か月前」を「先日」とは言いません。「2か月前」と表現することが多いようです。
【ビジネスで使える「先日」の「言い換え」「類語」表現は?】
■先頃(さきごろ)
「先頃」は「先日」同様、「今日から少し前の頃」を指す言葉です。こちらも厳密な定義はありませんが、数年前など、遠い過去のことには使いません。
■先般(せんぱん)
「先般」は「先頃、この間、過日」という意味の言葉です。改まった言葉なので、目上の人へのメールやセレモニーでの挨拶などで用いられます。言い換えれば、同僚や後輩、友人に対して使用するには、少々大げさな印象の言葉といえます。
■この間
「先日」と比べ、くだけた印象の言葉です。ビジネスシーンで使用する際は、状況にふさわしい言葉であるか、相手に対して失礼にあたらないか、判断が必要です。
【「先日より前」のことはなんと表現する?】
「先日より前」を表す言葉としては、「過日(かじつ)」があります。主にメールや手紙で使われる書き言葉ですが、文字通り「過ぎ去ったある日」を示します。一般的に数日前の出来事を「過日」とは言わず、数か月から数年前の「広い期間の過去」を指します。
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「先日」は「さほど遠くない過去のある日」を指す言葉です。一般的には3日以上前から1か月前の間が目安の期間ですが、大きなポイントとなるのは、「『先日』に厳密な定義はなく、個人的な感覚に委ねられた言葉である」という点です。ですから「一昨日」のことを「先日」と表現する人がいたとしても、それは「間違い」ではないのです。「はっきりいつだったか思い出せない日」のことや「あえて特定する必要のない日」を「先日」ということもあります。曖昧な言葉は曖昧なニュアンスのよさを生かして、上手に使いたいものです。
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- Precious.jp編集部
- 参考:『日本国語大辞典』/『デジタル大辞泉』 :