今回は、「ご厚意に甘えて頂戴いたします」「ご厚意に甘えさせていただきます」などで使われる、「ご厚意に甘えて(る)」というフレーズについて。「どの程度のことに使う?」「誰に使える?」などの疑問を、しっかり払拭してください。
【目次】
- 「ご厚意に甘えて」の「意味」とビジネスでの「使い方」 基礎編
- 使用シーンもよくわかる!そのまま使える「例文」7選
- 「ご厚意に甘えて」だけじゃない!「言い換え」「類語」表現
- 「ご厚意に甘えて」使用上の注意点
【「ご厚意に甘えて」の「意味」とビジネスでの「使い方」 基礎編】
■読み方
「厚意」は「こうい」とよみ、「ごこういにあまえて」となります。
■意味
「ご厚意に甘えて」とは、相手の思いやりをありがたく受け取る、という意味です。
「厚意」は「思いやりのある心」のことを指す言葉で、他人が自分に示してくれた“気持ち”について述べる際に使います。気遣いや心配など精神的な支えにも、手土産のような物理的なものにも使用します。ビジネスシーンなら、こちらの都合での変更に快く対応してくれたり、ピンチに手を差し伸べてくれたりなど、「通常よりレベルアップした思いやり」と心得ていればよさそうです。同じ発音の「好意」も似た意味ですが、「好ましく思う気持ち」や「愛情のやや遠まわしな表現」にも用いられるため、ビジネスメールなどでは間違えないように気をつけて!
■「使い方」
相手の親切をそのまま受け取り、感謝を示す際に使うフレーズなので、「ご厚意に甘えさせていただきます」というふうにも使えますが、「ご厚意に甘えて~します」と「+~します」の形で使うとより丁寧で感じのいい言い方になります。また、使う相手は目上に限定されます。同僚や部下、後輩、友人、家族などの身内にも丁寧に述べるなら、「遠慮なく~」が正解です。次の例文で、使い方をシミュレーションしてみてください。
【使用シーンもよくわかる!そのまま使える「例文」7選】
■1:「ご厚意に甘えて、期日まで1週間を頂戴いたします」
■2:「ご厚意に甘えてご相伴にあずかります」
■3:「ご厚意に甘えて、忘年会にお邪魔させていただききます」
■4:「おいしそうなお菓子を頂き、ありがとうございます。ご厚意に甘えて、皆でご馳走になります」
■5:「お誘いいただきありがとうございます。ご厚意に甘えて参加させていただきます」
■6:「体調をお気遣いいただき、ありがとうございます。ご厚意に甘えて本日は帰らせていただきます」
■7:「このたびはシステムに不具合があり、申し訳ございませんでした。ご厚意に甘えて修正版を納品させていただきます」
7のように、謝罪を伴うシーンでも使うことができます。また、「ご厚意」を使用したこんなフレーズもよく使われます。
・「ご厚意に感謝申し上げます」 ・「ご厚意、恐縮でございます」 ・「数々のご厚意に御礼申し上げます」
【「ご厚意に甘えて」だけじゃない!「言い換え」「類語」表現】
「ご厚意に甘えて」というフレーズは、相手に感謝を伝えるためのもの。気持ちよくコミュニケーションを図るために、このように感謝をしっかり伝えることは特に大切です。「ご厚意に甘えて~」というシーンで「ご厚意」を言い換えるなら、次の言葉が適しています。
・お心遣い ・お気遣い ・お言葉 ・お気持ち ・ご親切 ・ご配慮 ・ご容赦
また、「厚意」の類語には「厚志」や「厚情」も。「ご厚意に甘えて」だけでなく、自分なりにしっくりくる“マフイレーズ”を用いるのもいいでしょう。
【「ご厚意に甘えて」使用上の注意点】
ビジネスシーンでも、プライベートなやり取りのなかでも使えるフレーズですが、最後に注意点を挙げておきます。
■「ごこうい」で「ご厚意」「ご好意」と予測変換されるので注意する
■感謝を伝えるフレーズなので、前後の文も失礼のないようにする
■上司や取引先など、目上の人にのみ使用する
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気遣いや親切など、示してもらった厚意は素直に受け取って感謝を伝えたいもの。今回はそんなシーンで使えるフレーズでした。「ご厚意に甘えて~」と、言われる側にもなりたいものですね。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『大人の語彙力大全』(KADOKAWA)/『大人なら知っておきたい モノの言い方サクッとノート』(永岡書店)/『印象が飛躍的にアップする 大人の「言い方」練習帳』(総合法令出版) :