落ち着きをもたらすシックなグレーのセットアップスーツはなんとも心強い存在だ。懸案事項としては、どこで違いを見せるか、にある。ならば、普段の着こなしには取り入れないものを採用するのがいい。例えばチーフやカフリンクスである。それだけでもスペシャルな気持ちに、姿になる。ひとたび身につければ、奥底できっと滾るものをあなたは感じるはずだ。
勇気と気品をあたえる男の勝負服
タイバー&カフリンクス
ビジネススタイルの緩和化が顕著な昨今である。一般的にいえば、普段のスーチングにタイバーやカフリンクスを加えなくとも後ろ指を指されることはないだろう。だからこそである。それらのアイテムを加えることでどこか特別な印象がプラスされる。しかも、モノとしての価値や深みのあるバックグラウンドがあれば、なおいいだろう。例えば、カフリンクスの定番の様式、Tバーを生み出したフランスの老舗「ルイファグラン」や、英国を拠点に独創的なデザインで男を虜にしている「タテオシアン」のタイバーなら、勝負所の逸品としては申し分ない。
純白のチーフ
スーツに胸ポケットがあしらわれたのは、1920年代に入ってからといわれている。以降、実用品としてのチーフを装飾として挿す習慣が紳士の間で定着していくのだが、その装いは当時のブルジョワ階級の専売特許だったとか。だからこそ、そこには特別感が漂う。手にするなら、嫌味なく清潔さと品を演じることのできる純白な一枚がいいだろう。100年以上も前から貴族や富裕層に向けてタオルやベッドリネンを提供してきたムンガイなら、そのさじ加減をよく心得ている。映画を観ながら隣で泣いているパートナーにすっとそれを差し出す。紳士の行為としては概ね及第点をもらえるだろう。
グレーのセットアップスーツコーデ
新調したスーツには、普段から袖を通していないぎこちなさが漂う。脱するためにはそれなりに着込み、使い続ける必要があるのだ。その点、100年以上も続く老舗で、アンコンジャケットの火付け役ともなったボリオリである。三代目のマリオ氏が魅力に感じる「お下がり」のようなクタッとした質感が、こちらのKジャケットからも伝わるはずだ。ドットのようにあしらわれたスクエア柄のタイやそれを引き立てる白シャツ、その中には嫌味のない輝きを携えたタイバーが加わり、チーフ、カフリンクスもさりげなくのぞかせる。それだけでも、この上ないエレガンスが加わるのだ。
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- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
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- WRITING :
- 菊池 亮