「まわり」と打とうとしてパソコンのキーボードを叩くと予測変換に出てくる「周り」と「回り」。どちらを使うのか、迷ったことはありませんか?「周り」は「そのものを取り巻いている周囲や周辺」を指す言葉ですが、では「回り」は?今回は わかっているようで実は理解が曖昧な「周り」について、言葉の意味や使い方、そして「回り」との使い分けなど説明します。
【目次】
【「意味」など「基礎知識」】
■読み方
「周り」は「まわり」と読みます。
■意味
「円周の直径に対する比」という意味の「円周率」に「周」という字が使われていることからわかるように、「周り」は「そのものを取り巻いている周囲や周辺」を意味する言葉です。例えば「池の周り」のように使われます。また、「兄は私よりひと周り年上です」のように、12年をひと周りとした干支(えと)を基準に年齢を表すときにも用いられますよ。
■英語で言うと?
「周り」「周囲」「周辺」を表す英単語は[circumference]です。
・how long is the circumference of this lake?(この湖の周りはどのくらいありますか。)
また、[around]にお「周囲・周辺」という意味があります。
・wipe around one's mouth.(口の周りを拭く。)
・They all gathered around (round) him.(彼の周りに皆集まった。)
【「周り」と「回り」はどう違う?】
■「回り」の意味
「モーターの回りが遅い」や「時計回り」のように、「回り」は「回転」を意味します。また「胴回り」と周囲の寸法を表したり、「身の回り」のように身辺を表したり、「打順がひと回りした」のように「順番が全員にまわること」「一定の範囲を順に巡ること」も指すことがあります。
■「周り」と「回り」の違いは?
例えば「1周する」は、何かの周囲を1回まわることを指しますが、「ひと回り」は、何かの周囲をまわるだけでなく、自分が主体となって一定の場所に止まったまま1回まわる(回転する)ことも表します。そういった意味では「周り」よりも「回り」のほうが広い意味で使われていると言えるでしょう。逆に言えば「周り」はほとんど「周囲」「周辺」といった意味で使われ、用途は限定されていると覚えておくといいですね!
■「回り」を英語でいうと?
「回転」を表す英語は[turn]や[spin][go round]など。フィギュアスケートの「スピン」は、氷の1か所に止まったまま「回る」技術のことですね!
・He turned the cap of the bottle.(彼は瓶の栓を回した。)
・I tried to spin a coin on the table.(私は硬貨をテーブルの上で回そうとした。)
・The earth goes around the sun.(地球は太陽の周りを回っている。)
【「周り」と「回り」の「使い分け」は?「使い方」がわかる「例文」7選】
それではまず、「周り」を使った例文を見ていきましょう。
■1:「気持ちのよい天気だったので、池の周りを散歩した」
■2:「彼の周りにはいつも自然と人が集まっている」
■3:「目の周りには皮脂腺が少ないことも乾燥の原因のひとつとなっている」
「周り」は「何かを中心とした、その周囲」つまり、「周辺」という意味合いが強いことがわかりましたか?
次に「回り」を使った例文をご紹介しましょう。「池の周り」のように「何かの外側・周辺」を意味する「周り」に対し、「回り」は広がりのあるところをぐるぐる動きまわるようなイメージです。
■4:「強風にあおられて火の回りが早かったため、被害が拡大した」
■5:「今日はお天気がいいから回り道をして帰ろう」
■6:「営業の仕事をしていると、地方回りをすることは多々ある」
■7:「お手回り品はお預かりいたしますので、ご遠慮なくお申し出ください」
【「類語」「言い換え」表現】
■「周り」の言い換え表現
・周辺 ・周囲 ・付近 ・界隈 ・近辺 ・辺り
■「回り」の言い換え表現
・回転 ・廻り ・循環 ・巡回 ・スピン ・転回
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いかがでしたか?「周り」は周辺や周囲を表し、回転の意味ももつ「回り」よりも使用が限定的と覚えておきましょう。すぐには確認できない状況で迷ったら、「ひらがなで書く」という荒技もアリです。余裕をもった対応を心掛けたいですね!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)/『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)/『角川類語新辞典』(角川書店) :