日常を離れて向き合う本から、感性と好奇心がフレッシュに刺激される【あの人が「旅に連れていく本」】

自由に過ごせるヴァカンスでは、好きな本を読み耽ることを楽しみにする人も多いもの。次の旅や最近訪れた旅…など、旅先に連れていく相棒本をうかがいました。

間室道子さん
「代官山 蔦屋書店」文学コンシェルジュ
(まむろ みちこ)雑誌やテレビなどさまざまなメディアで本をおすすめする「元祖カリスマ書店員」。独自の審美眼が光る選書に定評がある。書評家としても活動中で、文庫の巻末解説に『母性』(湊かなえ著、新潮文庫)ほかがある。

「眺望のいいホテルに読書のためだけにステイして、“予期せぬ遠出もの” に没頭!」間室道子さん(「代官山 蔦屋書店」文学コンシェルジュ)

ここ数年、月に一回、都内や近郊の格式高いホテルに一泊して、ひたすら読書をすることをヴァカンスとして楽しんでいます。移動時間も少なく、本好きな私にとってそれが最高にうれしい贅沢なのです。

こだわっているのは眺望のいい部屋。そのため、宿泊の予約は電話で直接、と決めています。「読書をするために泊まりに行きます」と伝え、眺めや部屋の静かさなどをはっきりリクエスト。宿泊時はホテルクラークに申し送りがなされているのでしょう。スタンドの貸し出しやルームサービスの最終時間など、快適な滞在のために声を掛けてもらえます。

そんなホテル読書には、“予期せぬ遠出もの” がぴったり。多くの人たちが出入りしつつ、部屋の壁一枚隔てた向こうはストレンジャー。ホテルだからこそ、逃避行や家出などをテーマにしたサスペンスや、場所に導かれるように行く旅物語も臨場感がアップ。そして、疲れて目を上げれば、ほぼ壁一面の窓から見える、港の灯りや都会のネオン、夜明け前のゆっくりと動く巨大な雲…。眺めをしばらく楽しみ、また小説世界に戻っていくのです。

「代官山 蔦屋書店」文学コンシェルジュの間室道子さんの相棒本
 

1.『アライバル Paperback Edition』著=ショーン・タン 河出書房新社¥1,980
「文字のない絵本の傑作で、ショーン・タンの鬼のような絵のうまさにしびれます。主人公は出稼ぎにきた移民の男。初めて見る異国の眺めに、あるときは怖れ、あるときは嬉々とし、圧倒されているのが伝わってきます」

2.『モンテロッソのピンクの壁』著=江國香織 絵=荒井良二 集英社文庫¥880
「メス猫のハスカップはある日『モンテロッソへいかなくちゃ』という思いにかられ、旅へ。名うての作家によるキュートな冒険譚を人気イラストレーターが彩った作品は、手のひらサイズを超える大きな広がりが魅力的」

3.『クローディアの秘密』著=E.L.カニグズバーグ 訳=松永ふみ子 岩波少年文庫¥748
「12歳のクローディアは家族に腹を立て、家出。弟を巻き込み向かった先はN.Y.のメトロポリタン美術館! こっそり住みついた姉弟は、新しく所蔵された話題のミケランジェロの像の真偽を調べ始め…。大人も楽しめる傑作です」

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

PHOTO :
小池紀行(CASK)
EDIT&WRITING :
長瀬裕起子、遠藤智子(Precious)
撮影協力 :
Getty Images
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