たくさんの服をもつよりも、心に響き自分らしさを表現する一着を丁寧に選ぶこと。

ミニマルとも、シンプルとも、ベーシックとも違う正体とは…? これからの自分自身にとっての必要不可欠なものと向き合うことでスタイルの輪郭がもっと輝きだします。

雑誌『Precious』9月号では【<創刊20周年記念特別企画>今、「エッセンシャル」なおしゃれを考える】と題して、上品で洗練されたスタイルを愛し柔軟な感性をもった大人の心を満たす「エッセンシャル」なおしゃれをひもときました。

今回はそのなかから、スタイリスト・大西真理子さんと、ファッション業界で活躍し続ける植原ほのさんからうかがった「大人のファッション哲学」についてをお届けします。


大西真理子さん
スタイリスト
(おおにし まりこ)2004年のPrecious創刊以来、キャリア女性に向けたスタイリングを提案。引き算の美学をベースとし、上品なワントーンコーディネートや躍動的なビジネススタイルに定評がある。
植原ほのさん
「ザ・サロン バイ ノーア」代表取締役・ライフエナジャイザー
(うえはら ほの)セレクトショップのディレクターやバイヤーとして培った審美眼や、トップセールスとして個々のおしゃれの悩みを解決してきた経験を生かし、「ザ・サロン バイ ノーア」を主宰。

【「エッセンシャル」な思考で向き合う、大人のファッション哲学とは】

時代に即したPreciousスタイルを、真摯に提案してきたファッションプロと考察する

時代が変わり、おしゃれの正解がひとつではなくなった今、どんなスタイルを目指せばいいのか迷う人が増えているのも事実。「エッセンシャル」な精神で自分らしいおしゃれを楽しむ秘訣をスタイリスト大西真理子さんと、ファッション業界で活躍し続ける植原ほのさんと共に考えます。

ブラウス_1,ワイドパンツ_1,ネックレス_1
ブラウス¥124,300・パンツ¥201,300・ベルト¥51,700(マックスマーラ ジャパン〈マックスマーラ〉)、イヤーカフ¥94,600・ネックレス¥365,200(ザ・サロン バイ ノーア〈サイモン・アルカンタラ〉)

むだを削ぎ落とすことで生まれる、研ぎ澄まされたオーラ。シルクブラウスの胸元に、サークルモチーフのネックレスを添え、意志を感じさせるスタイルへ。

「20年前の創刊当時から今も変わらず、スタイリングするうえで大切にしているのは、バランス感覚と“引き算”のさじ加減」(大西真理子さん)

多様化が進む昨今、このアイテムがあれば絶対素敵に見えるという、明確な答えは見えづらくなっています。でも、トレンドは変化しても意外と自分の「好き」は変わらないもの。そういった自分の「コア」を知り、丁寧にアップデートしていくことが必要だと思います。例えばジャケットや黒ニットが欠かせないとしたら、丈やシルエットを更新していくこと。コアとなるアイテムは、ライフスタイルによっても異なるので、今の自分にとって必要不可欠なものを極めることで、自然と「エッセンシャル」な着こなしが浮かび上がります。

また、私がPrecious創刊時からスタイリングするうえで大切にしているのは、程よく肩の力を抜くこと。さも数か月前からその服を着ていて、なじんで見えるよう気をつけています。足していくよりもコアをつくる最小限に絞る。そして、袖をまくったり、襟を開けたりなど、着方のバランスを精査していくほうが断然、重要。

昔と違い、情報が飛び交い、キャリア服といえばこれ、というような方程式がなくなっている今、自分にとって何が必要かを選び取る意志と、選んだものを信じ抜く心意気があるかどうかが、佇まいに表れるような気がします。

Essential【エッセンシャル:必要不可欠な。本質的な。】

シャツ_1,ネックレス_2
ロングシャツ¥228,800・ネックレス¥324,500(ジルサンダージャパン〈ジル サンダー バイ ルーシー アンド ルーク・メイヤー〉)

上質な素材と仕立てのよさが魅力の“ジル サンダー”のシャツ。襟の大きさやカフスの長さなどシーズンごとに更新されて。ワードローブの土台となるアイテムこそ、細部までこだわり抜いて選びたい。

「エッセンシャルなスタイルに必要不可欠な3要素は、素材、シルエット、アティチュード。何を着るかより、どう着るかに意識を」(植原ほのさん)

大人のおしゃれと日々向き合うなかで、これまでは何を買うべきかということがテーマでしたが、最近はどうやって自分らしさを演出するかが大切になってきていると感じます。つまり、その服をどう着こなすのか、じっくりと自分と向き合う時間が求められるように。「エッセンシャル」なワードローブをつくるうえでアドバイスする際には、「素材、シルエット、アティチュード」の3つが必要不可欠な要素になります。

ひとつ目に、上質な素材であることは大人のファッションにとってベースになるもの。ふたつ目のシルエットというのは、ボリューム&フィットやロング&リーンなど、目指すフォルムを徹底するということ。大人の輪郭をつくり出すシルエットを意識すると、オーラが生まれるからです。最後のアティチュードとは、ジュエリーや小物使いで表現するもの。料理でいうスパイス的なものですが、ジュエリーや小物が違うだけで着こなしの印象がまったく異なるように、ステイトメント性の強いアイテムは、大人の自己表現に欠かせません。

「エッセンシャル」思考で組み立て、自分という存在にフォーカスしたからこそ見つかるスタイルに、新たな可能性を感じます。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

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PHOTO :
生田昌士(hannah/人物)、小池紀行・池田 敦(CASK/静物)
STYLIST :
大西真理子(ファッション)、来住昌美(プロップ)
HAIR MAKE :
ヘア/SHOTARO(SENSE OF HUMOUR)、メイク/津田雅世(mod’s hair)
MODEL :
立野リカ(Precious専属)
EDIT&WRITING :
川口夏希、遠藤智子(Precious)