女っぽさが強く出やすい「赤」はお仕事ルック向きではないと敬遠してきた人も多いでしょう。でも、派手さを抑えれば、むしろ堂々としたイメージをまとえる色です。自信を感じさせる効果もあるから、人前に立つような仕事の大舞台が控えている日の装いにも向いています。海外ドラマを見ていると、会議やプレゼンといった大事なシーンで赤をまとうことが多いようです。そして、賢い赤の取り入れ方は色のコンビネーションがポイントです。

今回は、有能な弁護士であり、俳優ジョージ・クルーニーの妻としても知られるAmal Clooney(アマル・クルーニー)の、華やかさと知的ムードを兼ね備えたお仕事コーディネートをご紹介します。

「赤」でパワーアップするお仕事スタイル3選

■1:「オール赤」×キャメル小物で品格ルックに

ジャケット_1,スカート_1
ボウタイのエレガントな印象がレッドコーデに優しげ感をプラス

赤は黒や白などさまざまな色と相性がよい色です。だから、シーンに合わせて、赤の「パートナー色」を変えれば、思い通りのイメージを印象づけられます。オフィスルックの場合、おすすめの相棒はベージュ系カラー。ノーブルな色味が赤を引き立てつつ、ルック全体を穏やかに「軟着陸」させてくれます。

この日のアマルは赤のパワースーツでお仕事モード全開です。タイトなシルエットを選ぶと、赤がキリリと引き締まって見えます。ボウタイがスーツの気張り感をやわらげる効果を添えています。

着こなしのポイントは、ベージュ系でそろえたバッグと靴にあります。バッグはキャメルを、シューズはピンクベージュをチョイスして、オールレッドのきつさを遠ざけています。赤ルックは全体の色数を2色程度に抑えるほうが大人の品格を漂わせやすくなります。

■2:「赤」を引き立たせるキャメルコートの投入術

コート_1,ワンピース_1
手首から赤をのぞかせたのも効果的な演出

全身をワントーンで染め上げた赤のワンピースはフェミニン感の濃いウエアです。無地の場合、いかにも「真っ赤」という見え具合になりがちなので、パートナー色で、くどさをそいでいきましょう。

アマルはワンピースの上からキャメルカラーの膝丈コートをオン。赤の面積をぐっと減らしてみせました。前を開けたコートの内側に、燃えるようなレッドが見えていますが、上品な色味のコートが全体を落ち着かせています。

バッグはコートよりトーンを深くして、キャメルをさらにやわらかく見せました。足元は花柄のパンプスで合わせて春気分を呼び込んでいます。近ごろは春本番になっても寒い日が珍しくないので、コートを着る期間が長くなっています。このようなコートのまとい方は出番が多くなりそうなので、参考にしてみては。

■「単品使いの赤」で程よいパワー感を演出

ワンピース_2
顔を明るく元気に見せる赤はフェイス周りに迎えたい

赤と上手につきあうには、赤ならではの強烈な印象をなだめる必要があります。ジャケットやコートといった、アウターで赤を取り入れるのは、難易度が高めです。理由は赤の主張が強くなりすぎるからです。その点、シャツやブラウスは好都合なアイテムです。

ノースリーブのブラウスは、袖がない分、さらにコンパクトに映ります。襟付きのタイプできちんと感をアピール。ここでも襟とナロースカート、靴にキャメル系を迎えて、赤を素肌となじませています。これでも赤の存在感が気になるようなら、ジャケットをかぶせて、さらに見え具合を抑え込むこともできます。

元気なイメージをまといたいお仕事服にこそ、赤は生かしたい色です。生命力の豊かさや意思の強さを示せるうえ、仕事へのポジティブな姿勢も印象づけやすいから、ビジネスシーンでも自分イメージづくりに役立ちます。腕利き弁護士であるアマルのスタイリングは、これまで赤に苦手意識のあった人の「レッドデビュー」も応援してくれるはずです。


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この記事の執筆者
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報、着こなし解説などを発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かした解説が好評。自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い。著書に『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』(学研パブリッシング)がある。
PHOTO :
Getty Images
WRITING :
宮田理江
EDIT :
石原あや乃