「しっせる」ではありません!「失せる」ってなんと読む?
明日・2月28日は、大変有名な失言があった日です。1953(昭和28)年のこの日、当時の内閣総理大臣・吉田茂氏が、衆議院予算委員会で議員からの質問に答えたあと、「馬鹿野郎」とつぶやきました。大きな声ではなかったものの質疑応答に使用していたマイクがその暴言を拾って周囲にとがめられることとなり、大問題に発展します。
そして、このときの騒動が原因で、なんと翌月14日、吉田茂総理は当時の衆議院を解散することになるのです。小さな失言が衆議院の解散にまで発展したことから、当時『バカヤロー解散』と呼ばれ、昭和史に残る出来事となりました。…発言や言葉遣いには気を付けたいものですね。ということで本日は「失」という字の入った日本語クイズをお送りします。
【問題1】「失せる」てなんと読む?
「失せる」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「なくなる。消える。いなくなる」「『行く』『去る』をののしって言う語」などの意味で使われる言葉です。
<使用例>
「まさかのハプニングのせいで、やる気が失せてしまったわ」

…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は… 失せる(う-せる) です。

「失せる」は、たいがいの場合は「なくなる。消える。いなくなる」という意味で使われますが、「失(う)せろ」と命令形にすると、たちまち「『行く』『去る』をののしって言う語』」になります。後者の意味で使ってしまうと「バカヤロー」に匹敵する失言になりそうですね。
さて、2問目にまいりましょう。
【問題2】「失費」ってなんと読む?
「失費」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「費やした金銭」という意味です。
<使用例>
「運転免許の試験で、バックがうまくできないせいで失費がかさんだわ」

…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は… 失費(しっぴ) です。

「失費(しっぴ)」は「失われた費用=ついやした金銭」という構成の熟語で、「費用を出すこと。また、その費用」を言う「出費(しゅっぴ)」の類語です。どちらも「失費がかさむ」「出費がかさむ」という言い回しがあり、発音も似ているので混同しがちですが、別々の言葉です。混同が多いせいで「失費(しっぴ)」という言葉を知らない方もいらっしゃるようですが、実はこちらもポピュラーな熟語です。
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本日は、2月28日、『バカヤロー解散』の発端となった日にちなんで、「失」という字の入った日本語から、
・失せる(う-せる)
・失費(しっぴ)
の読み方、言葉の背景についておさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(小学館)/東京新聞ホームページ/『漢字ペディア』(日本漢字能力検定協会)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱