ラグジュアリーカーの代名詞であるロールス・ロイスは、いまやかつてのような後席でリラックスするための自動車ではありません。自らハンドルを握り、圧倒的な品質に裏付けされた豊かな体験を楽しみたいと願う顧客の思いに応えるドライバーズカーモデルが用意されています。では、自動車が好きで行動的な世界の富裕層はどのようにしてロールス・ロイスの価値を実感しているのでしょうか。今回はその一端を体験できる施設を舞台に、ラグジュアリーカーの魅力を紹介します。

馬車の時代から続く優雅な移動の空間

優雅でスポーティでラグジュアリーな「スペクター」のキャラクターをさらに強めた「ブラック・バッジ・スペクター」モデルが今回の主役。
優雅でスポーティでラグジュアリーな「スペクター」のキャラクターをさらに強めた「ブラック・バッジ・スペクター」モデルが今回の主役。

地を這うようなスタイルをもつスポーツカーは、猛々しいエンジンの咆哮と共に恐るべき力を発揮して、乗り手の思いそのままにアスファルトの上を駆け抜けます。その体験を自動車登場以前の時代でたとえていうなら、競走馬とそれを操る騎手です。エンジンの出力を表す言葉に「馬力」がありますが、これはまさに馬が移動の原動力となっていた時代の名残です。

一方、その対極にあるのが、フォーマルなスタイルのサルーン。フランス語で「サロン」、つまり“特別な客室”を指すこのタイプは、客車付きの馬車に相当します。馬の操縦は御者に任せて、豪奢な客室でくつろぎ、時折移ろう景色を楽しむ――。ロールス・ロイスはそうしたライフスタイルを当たり前のように送ってきたノーブルな顧客に向けて誕生し、自動車の時代をけん引してきました。

「ブラック・バッジ・スペクター」はノワールな世界観を強調した仕立て。伝統の前開きドアは全長1.5mにも及び、ブレーキを踏むことで開閉。オーナーが外界とアクセスするハイライトである、スマートな乗り降りを可能に。内張りには無数の星が幻想的な輝く仕掛けも!
「ブラック・バッジ・スペクター」はノワールな世界観を強調した仕立て。伝統の前開きドアは全長1.5mにも及び、ブレーキを踏むことで開閉。オーナーが外界とアクセスするハイライトである、スマートな乗り降りを可能に。内張りには無数の星が幻想的な輝く仕掛けも!

旅を急ぐときは御者に命じてスピードを速め、なおかつ移動中は自室で過ごすときと同じように振る舞える環境を保つ。エンジンの存在感どころか外部の騒音をことごとく遮断し、最高の素材を元に熟練の職人がつくりあげたラグジュアリーな室内空間を備えるロールス・ロイスには、そのような背景があったのです。

新時代のリーダーに用意された特別なモデル

挑戦を忘れない大胆不敵なスピリット――。自らハンドルを握るオーナードライバーの意志を表した、クールで力強いデザインが魅力。
挑戦を忘れない大胆不敵なスピリット――。自らハンドルを握るオーナードライバーの意志を表した、クールで力強いデザインが魅力。

私たちが敬愛するアパレルのハイブランドがそうであるように、ロールス・ロイスも長い歴史で培った経験と技術を大切にしながら、新しい時代の扉を開けることに力を入れています。その象徴的存在が、「スペクター」です。2ドアの流麗なスタイルはドライバーズカーであることを明確に表し、それでいてロールス・ロイスらしい威厳を巧みなデザインで構築しています。同ブランドのモデルはいずれもエンジンの存在を忘れるような静けさを誇りますが、「スペクター」はそもそもエンジンを搭載しない電気自動車。静寂を保ちながら、意志のままに雲上の体験を楽しめるのです。

会場にはロールス・ロイスのアジア太平洋地域における事業運営を主導するリージョナル・ディレクター、アイリーン・ニッケインさんも登場。新時代のリーダーにふさわしいスタイル!
会場にはロールス・ロイスのアジア太平洋地域における事業運営を主導するリージョナル・ディレクター、アイリーン・ニッケインさんも登場。新時代のリーダーにふさわしいスタイル!

今回ハンドルを握ったのは、「スペクター」のキャラクターをさらに強めた「ブラックバッジ」と呼ばれる特別なモデル。これは近年のロールス・ロイスが、ハイエンドなドライブ体験を求める顧客に向けて展開する新たなアプローチであり、慣習にとらわれることなく“さらにその先”へ踏み出すことへ積極的な、新時代のリーダーに用意されたもの。そんな「ブラック・バッジ・スペクター」を試乗する舞台に選ばれたのは、やはり特別な場所でした。

その名を「THE MAGARIGAWA CLUB」といい、起伏に富んだ走行コースを核に、滞在用のコンドミニアムやレストラン&バー、フィットネスルーム、プールも用意されたプライベート・ドライビングクラブです。千葉県南部の山中に作られたこの施設は、自動車で東京都心から75分、羽田や成田空港からも1時間程度でアクセスできます。

上左/コースでは、公道では体験できないハードなアクセル&ブレーキ操作で運転を楽しめる。上右/クラブハウスのレストランからは、コースを走る自動車を眺めながら食事を楽しめる。下左/敷地内には宿泊可能なヴィラタイプのオーナーズ・パドックも(オーナー専用)。下右/豊かな自然の中で滞在しながら自由に走れる最高の環境が、ここにある。
上左/コースでは、公道では体験できないハードなアクセル&ブレーキ操作で運転を楽しめる。上右/クラブハウスのレストランからは、コースを走る自動車を眺めながら食事を楽しめる。下左/敷地内には宿泊可能なヴィラタイプのオーナーズ・パドックも(オーナー専用)。下右/豊かな自然の中で滞在しながら自由に走れる最高の環境が、ここにある。

オーナーは所有する車両を施設に預け、常に最高の状態で走れる状態で保管。パートナーや家族と共にここを訪れて、公道では試せない愛車のパフォーマンスを安全な環境で楽しむ――。海外では以前からこのような体験施設が存在しますが、日本ではここ「THE MAGARIGAWA CLUB」だけです。

思う存分走れて滞在もできる日本唯一の施設

空調を完備したピットレーン。専属のスタッフによる走行前点検で、安全に気持ちよくコースインできる。
空調を完備したピットレーン。専属のスタッフによる走行前点検で、安全に気持ちよくコースインできる。 

今回参加したのはメディア向けのイベントということもあり、到着後は眺めのいいレストランでのランチからスタート。時間に追われることなく優雅な時間を過ごしてから、ピットレーンに移動します。通常、レースを行うサーキットのピットは整備工具や予備のタイヤなどが雑然と並び、仕事場然としていますが、「THE MAGARIGAWA CLUB」のそれはホテルのバレーパーキング+サロンといったつくり。シックなデザインの広い屋内にはソファが置かれ、ドライバーはコーヒーブレイクを楽しみながら愛車の出庫を待ちます。そして中央を貫くピットレーンに愛車がやってくると、ドライバーはカップを置いて運転席に向かい、そのままコースイン。日常から非日常への壁を取り払った、粋な設計です。

「ブラック・バッジ・スペクター」のドライブ体験も、やはり日常と非日常の隔たりのないものでした。幅の広いコースは大きなカーブと上り下りが続き、場所によっては先が見えないところも。しかし、ここは速さを競うサーキットではないので、自分のペースで走りながら車両の性能を確かめることができます。

セーフティゾーンを広くとったコースを独占して走る悦びは、「THE MAGARIGAWA CLUB」ならでは。
セーフティゾーンを広くとったコースを独占して走る悦びは、「THE MAGARIGAWA CLUB」ならでは。

まず驚いたのはスピードを上げても静寂を保ちながら、カーブで左右に振られることが最小限に抑えられていることでした。それはテスト用に配置されたパイロンの間を駆け抜けるスラロームエリアでも同様。重心の変化による車両の傾きを高度な電子制御で瞬時に抑え、前へ向かうことに集中できるのです。

さらに「ブラック・バッジ・スペクター」では特別な装備「スピリテッド・モード」も試すことができました。まずスイッチ操作で「インフィニティ・モード」に切り替えると、強大なパワーが解放できる状態に。そして、停止した状態でアクセルペダルとブレーキペダルを同時に踏み込み、ブレーキペダルを離すと怒涛の加速で発進。このモード専用の荘厳な電子音をBGMにして、あっという間に180km/L 近くに到達してしまいます。

左/この日は韓国・ソウルにあるロールス・ロイスの「プライベート・オフィス」チームが来日。クライアントのイメージを創造するビスポークサービスを手がける。右/クジャクをイメージしたビスポークのアイディアの一例。
左/この日は韓国・ソウルにあるロールス・ロイスの「プライベート・オフィス」チームが来日。クライアントのイメージを創造するビスポークサービスを手がける。右/クジャクをイメージしたビスポークのアイディアの一例。

ロールス・ロイスで大胆なことをしてしまった! という背徳感にかられる一方で、高性能スポーツカーにも匹敵する(ある意味それ以上の)日常では絶対に味わえない性能を秘めた「ブラック・バッジ・スペクター」と、それを試すことができる「THE MAGARIGAWA CLUB」では、誰に見せつけるのでもなく、自分のために楽しむことが真のラグジュアリーなカー&ライフスタイルの極みであることを知ることができました。それは、自分らしくありたいと願い、実践する現代の女性の生き方にも通じるもの。ロールス・ロイスは私たちにとって、決して縁遠い存在ではないのです。

【Rolls-Royce Black Badge Spectre】

ボディサイズ:全長×全幅×全高:5,490×2,015(ドアミラー含まず)×1,575mm
車両重量:2,900kg
乗車定員:4名
車両本体価格:¥56,140,000~(税込み)

問い合わせ先

ロールス・ロイス・モーター・カーズ

TEL:0120-980-242(ロールス・ロイス・モーター・カーズ コミュニケーションセンター
 

問い合わせ先

THE MAGARIGAWA CLUB

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この記事の執筆者
総合誌編集部を経て独立。ライフスタイル全般の企画・編集・執筆を手がける。ファッションのひとつとして自動車に関心を持ち、移動の手段にとどまらない趣味、自己表現のひとつとして提案している。
PHOTO :
ロールス・ロイス・モーター・カーズ