日本全国に温泉宿は数多あれど、情報の海のなかから本当に満足度の高い一軒を見つけ出すのは至難の業。そこで、本連載では、国内外の温泉を巡りその神髄を知り尽くした温泉ジャーナリスト・植竹深雪さんに、自ら足を運び五感で確かめた上質な宿をピックアップしてもらいました。

極上の湯に癒されるのはもちろん、その土地ならではの美食やホスピタリティで心ゆくまでリフレッシュしたい! そんな大人の女性のニーズに応える至福の旅をナビゲートします。今回ご紹介するのは長野県軽井沢町にある「星のや軽井沢」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の4000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『おとな「ひとり温泉旅」のススメ』(三笠書房)、『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

五感を研ぎ澄ます現代の“湯治スタイル”で初夏の疲れをリセットする

JR北陸新幹線「軽井沢駅」から車で約15分。東を国設「軽井沢野鳥の森」、西を「星野の丘」に挟まれ、「谷の集落」をコンセプトとする「星のや軽井沢」。 約1万3000坪という広大な敷地内では、川のせせらぎに寄り添うように 宿泊棟が点在し、 外界のノイズから遮断された非日常感を味わえるロケーションです。

集落全景
集落全景。
宿泊棟外観
施設全景。
蛍
7月中は小川のほとりに蛍が現れることも。

星野リゾートが展開する「星のや」ブランドの第一号であり、いわばラグジュアリーリゾートの原点たるこちらの宿は『Precious.jp』でもおなじみ。その真価は、常に時代の一歩先を見据え、社会のニーズに応えるべく常に進化し続けている点にある点にあると植竹さんは話します。

「環境省が推進し、今、温泉界でも注目を集めているのが“新・湯治”。昔ながらの病気療養のための長期滞在ではなく、忙しい現代人が気軽に心身をリフレッシュするという旅のスタイルのことです。『星のや軽井沢』はそのトレンドのトップランナー的存在で、圧倒的な自然環境と『星のや』ならではのストーリー性あるおもてなしを融合させたさまざまなウェルネスプログラムを展開しています」(植竹さん) 

棚田を望むベンチ
棚田を望む特等席でリフレッシュ。

ウェルネスプログラムは、通年のものと季節限定のものがあり、2026年7月1日~8月31日の期間は眠りに特化した2泊3日の「軽井沢 眠りの逗留 ー夏ー」を実施。心地よい眠りへ誘う「快眠食」や、森林浴で体内時計をリセットし安眠へつなげる「緑陰巡り」、専門スタッフによる枕の調整などで、夏の暑さによる睡眠不足や不調の解消を目指します。  

また、通年開催の「森林養生」は、3泊4日のより本格的なコース。ノルディックポールを使った森林浴ウォーキングやプロによる鍼灸・ボディケア、浅間山を望むプラベート空間でのストレッチ、スポーツ栄養学に基づく薬膳仕立ての食などで心身のトータルケアを図ります。

森林ウォーキング
ノルディックポールを使うことで足腰に負担をかけずに高い運動効果が期待できる。

これらのウェルネスプログラムでは、温泉での「深呼吸入浴法」についてレクチャーを受けられるのも特徴。浮力を利用して全身の力を抜いたり、温泉に入りながらストレッチをしたりすることで、全身の凝りがほぐれるなど温泉による健康増進効果がより高まることが期待されます。

メディテーションバス外観
メディテイションバス外観。

そんな養生体験の核となるのが、宿泊者専用の温泉施設「メディテイションバス」。その名の通り“瞑想”をテーマにした空間で、水深が約90cmと深く、ぬるめの39〜40度に調整されていることから、肩までしっかり浸かりながら長湯を楽しむことができます。

内部には、柔らかな光が降り注ぐ「光の部屋」と、足元の灯り以外は照明を極限まで落とした「闇の部屋」の2つの浴室を用意。光と闇を行き来しながら湯に身を委ねることで、自然と意識が内側へ向かい、思考や感覚を静かに整えることができます。

「泉質は単純温泉。優しい浴感で長湯しても疲れにくく、心と体をゆっくり休めるのに適しています。メディテイションバスでは、光と闇を行き来するうちに、体がほぐれ心が無になるような感覚を得られるのも特別な体験です。深呼吸入浴法の相乗効果もあって夜はぐっすり快眠へと誘われます」(植竹さん)

光の湯・昼
光の部屋・昼。
光の湯・夜
光の部屋・夜。

さらに、軽井沢星野エリア内にある日帰り温泉施設「星野温泉 トンボの湯」も利用可能。内湯や露天風呂、サウナを備えた開放的な湯処で、軽井沢の自然を眺めながら湯浴みを楽しめます。午前9時から10時は宿泊者専用タイムで、朝の静かな時間帯にゆったりと温泉を満喫できるのは宿泊者の特権です。

「朝はストレッチで爽やかな目覚めを迎えると共に、『トンボの湯』で瑞々しい新緑を眺め、木々のざわめきや鳥のさえずりに耳を澄ませながら湯浴みできるのも至福。五感を研ぎ澄まし心身のリセットにつながるような時間を過ごすことができました」(植竹さん)

トンボの湯・内湯
トンボの湯・内湯。
トンボの湯・露天
トンボの湯・露天。

日本料理からフレンチまで!“泊食分離”が叶える上質な食体験

「星のや軽井沢」のもうひとつの醍醐味は、大人の旅にふさわしい自由度の高い「泊食分離」スタイル。多彩な食の選択肢からゲストの気分に合わせて最適なものを選ぶことができます。

メインダイニング
メインダイニング「日本料理 嘉助」。

その中心を担うのは、「日本料理 嘉助」で供される「山の懐石」。二十四節気を重んじ、その時季にもっとも輝く地元食材の魅力を丁寧に引き出した日本料理です。初夏のコースは、鮑やオクラなどをあわせた先付「緑葵(りょくあおい)」からスタート。メインの焼肴は、脂ののったスズキを炭火で焼き上げ新茶と味噌の特製ダレをあわせた「八十八夜」。炭火の薫香と新茶の若々しい香りが重なり、爽やかな余韻を残します。

夕食一例
紫陽花を表現した先附・緑葵。
夕食一例
焼肴・八十八夜。竹籠の蓋を開けると初夏の息吹が広がる。

棚田のような美しいロケーションでいただく和懐石のほかにも、洗練されたフレンチを選んだり、カジュアルに「村民食堂」を訪れたりと、過ごし方は思いのまま。「その瞬間の特等席へ。」というブランドコンセプトのとおり、その時その瞬間にしか出合えない最高の景色や味覚をゲストがそれぞれのスタイルで楽しめるのも「星のや軽井沢」の醍醐味でしょう。


以上、「星のや軽井沢」をご紹介しました。温泉に浸かり、季節の恵みを味わい、自分自身と静かに向き合う――。そんな贅沢な時間を通して、心と体を本来の状態へと整えたい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

問い合わせ先

  • 星のや軽井沢
  • 住所/ 長野県軽井沢町星野
    客室数/全77室
    料金/1泊1室 ¥170,000~(税・サービス料込)、「軽井沢 眠りの逗留 ー夏ー」1名 ¥56,900(2泊3日、宿泊料別)、「森林養生」1名 ¥270,000(3泊4日、宿泊料別)
  • TEL:050-3134-8091

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)