エレガンス賢者が語る【ドレスコード】の現在地「一期一会の刹那のために装いを楽しむ」中谷美紀さん(俳優)

近年、パーティにおけるドレスアップは、フォーマルとカジュアルの狭間で、“いかにスマートに装うのか?” が問われています。特に、キャリアを重ねた大人の女性にとって、自由度が増したドレスコードや、カジュアルセンスが求められるシーンにおいても、品格を損なうことなく、まずは「エレガントであること」を基軸にする “知性” が必要です。

今回は【エレガンス賢者が語る「ドレスコード」の現在地】と題して、俳優の中谷 美紀さんにスペシャルインタビュー! ヨーロッパのドレスアップ事情に加え、どのようにしてドレスコードに則した装いを身につけられたのか──などなど、気になる質問にお答えいただきました。

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中谷 美紀さん
俳優
(なかたに・みき)1976年、東京都生まれ。1993年、俳優デビュー、 『嫌われ松⼦の⼀⽣』にて⽇本アカデミー賞最優秀主演⼥優賞受賞。2023年、ニューヨークにてミハイル・バリシニコフと共に舞台『猟銃』を上映。映画、ドラマ、舞台など活躍の場は国内外、多岐にわたる。執筆活動も行い、近著には『⽂はやりたし』『オフ・ブロードウェイ奮闘記』(幻冬舎⽂庫)など。現在Audibleにて配信中の原⽥マハ著『リボルバー』でナレーションを務める。 インスタグラム @mikinakatanioffiziell
ディオールのドレスを着用したモデルの立野リカさん
「ディオール」のドレス¥1,200,000・「ディオール ファイン ジュエリー」のネックレス¥9,200,000・リング¥3,300,000(クリスチャン ディオール)

都会のカクテルタイムにふさわしい繊細なフルレースのニットドレスは、エフォートレスな現代のエレガンスそのもの。バロックの時代から脈々と伝わるラッフル襟を、ノーブルな品格を象徴するデザインソースとして、裾までたっぷりと流れるようにあしらった、クチュールメゾンならではの一着。


ウィーン ・フィルハーモニー管弦楽団のビオラ奏者のティロ・フェヒナー氏と結婚後、オーストリアと日本の2拠点で暮らす、俳優の中谷美紀さん。ヨーロッパでオペラのプレミアやガラパーティなどに数多く出席する経験を通して知り得た、最高のドレスアップの現在について伺いました。

──ヨーロッパのドレスアップ事情を教えて下さい。
 同じ欧州域内でも、お国柄によって装いの好みも異なる印象があります。フランスでは近年カジュアル化が進んでいるようで、オペラバスティーユなどには軽装でお見えになる方も多いようです。   
 その一方で、オーストリアでは、ウィーン国立歌劇場のプレミアに、イヴニングドレスに美しくセットされた御お髪ぐしのお客様が詰めかけます。とりわけ1から2月にかけて、ウィーン市内では、毎年450以上も開催される舞踏会 (バル)は、陰鬱な冬の風物詩となっており、世界で最もイヴニングドレスを必要とする街だと言われています。

──ご自身は、どのような装いで臨まれることが多いですか?

マチネか、ソワレかによって、あるいは開催される劇場やコンサートホールによって、時には演目によって、装いにグラデーションをつけています。たとえば、ウィーン国立歌劇場のオペラのプレミアやジルベスターガラなどにはフルレングスのドレスで向かい、通常のオペラ公演でしたら、マスキュランなテイラードスーツで足を運ぶこともあります。

ザルツブルク音楽祭では、『サウンドオブミュージック』の舞台にもなった、遺跡のような岩窟乗馬学校で上演されるオペラは、アヴァンギャルドな作品が多く、お客様の中にも、モード感溢れるお若い方が増えるので、エレガンスを保ちつつもエッジを効かせます。お昼のコンサートでしたら、シンプルなシャツやブラウスにパンツ姿で、ジュエリーで遊ぶことも楽しみとなっております。

──どのようにして、ドレスコードに則した装いを身につけられたのですか?

諸先輩方がかねてよりおっしゃっているように、私たち日本人は、スタイルでは西洋人にはとても敵いません。だからこそ、肌や髪、目の色にそぐわないトレンドカラーを無理に身につけるのではなく、肌や髪を美しく保ち、ドレスに着られるのではなく、自分に寄り添うドレスを身につけ、ジュエリー使いでその日のイベントに相応しい装いにするように心がけています。

──シチュエーションに応じて、どうアレンジされていますか?

コンサートでも、オペラでも、パーティーでも、一期一会の刹那を作るのは、主催者だけではなく、参加する人々のあり方次第だと感じます。だからこそ、最低限のマナーは守りつつも、無理をせず、かしこまりすぎず、自分らしく、心地よくいられることが大切なのではないでしょうか。土砂降りの雨の日などは、ドレスに足元はレインブーツでオペラに出かけることもあるほどです。

──エレガントなドレスコードにおいて、どのようなことが大切でしょうか?

ドレスアップするからには、それに相応しい所作が優美さをもたらすものだと思いますので、呼吸はゆっくりと深く、姿勢を正して、指先まで神経を巡らせるだけで、ドレスでも、パンツスーツでも、お着物でも、装いがより引き立つのではないでしょうか。

また、パートナーを伴って出かける際には、ドレスコードがマッチしていることが理想的です。近年では、日本の女性たちもグローバルにご活躍なさる場面が増えていますので、寄り添う男性方も、恥ずかしがらずに堂々と、ブラックタイやホワイトタイをお召しいただけたら嬉しいですね。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

問い合わせ先

クリスチャン ディオール

TEL:0120-02-1947

PHOTO :
藤森星児
STYLIST :
古田千晶
HAIR MAKE :
ヘア/西村浩一 (VOW-VOW)、メイク/佐藤裕太
MODEL :
立野リカ(Precious専属)
EDIT&WRITING :
藤田由美
撮影協力 :
ホテル ザ・マンハッタン幕張