都内の蚤の市でふと手にした銅のマグ。ズシリと重く、MOSCOW MULEの文字と後ろ脚を蹴り上げる小憎らしい顔をしたラバ(ミュール)が刻まれている。店主によれば、これがオリジナルとか。そう聞いて一も二もなく手に入れた。
伝説のモスコミュール・マグ
蚤の市で購入したこのマグカップについて調べると、実に興味深い伝説があった。そもそもモスコミュールは1946年、ハリウッドのパブ「コックンブル」店主ジャック・モーガンが考案。レシピはウォッカ、ジンジャービア、ライム。ただし日本ではジンジャーエールでの代用が多い。
また、このカクテルは銅のマグで供するのが正統だが、これはモーガンの女友達オズライン・シュミットのアドバイス。実は彼女、父親から銅製品工場を継いでおり、在庫マグの一掃を狙ったという。これに目を付けたのがスミノフ(ウォッカ)の営業担当ジョン・マーティン。彼は全米のバーを回り「モスコミュールが流行ってる!」と言いたててスミノフを売り込んだという。
とはいえ私は酒をほとんど飲まないので、もっぱらジンジャーエールで楽しんでいる。これもまた味わい深い。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2018年冬号Butler Bertie's Clippingより
Faceboook へのリンク
Twitter へのリンク
- クレジット :
- 撮影/江藤義典 文・名畑政治