【目次】
【「ビフィズス菌の日」とは?由来】
■日付と由来
「ビフィズス菌の日」は12月2日。日付は、フランスの小児科医、アンリ・ティシエが、パリの生物学会でビフィズス菌の発見を発表した日、1899(明治32)年12月2日にちなみます。
■「誰が」決めた?
「ビフィズス菌の日」は、ビフィズス菌入りのヨーグルトなどを販売する江崎グリコ株式会社が制定し、一般社団法人 日本記念日協会が認定・登録しました。
■「何のため」に?
善玉菌の代表といわれるビフィズス菌入りの食品を食べることでお腹をよい状態に保ち、健康を維持してもらうことを目的としています。
【ビジネス雑談に役立つ「ビフィズス菌」の雑学】
■ビフィズス菌はなぜ大切?
私たちの腸内で生息している菌はおよそ100兆個とも言われ、体にとって有益な「善玉菌」や有害な「悪玉菌」、またどちらでもない「中間菌」が同居して、日々、生存競争を繰り広げています。健康を保つためには、日ごろから善玉菌の多い腸内環境を維持することが大切なのです。
ビフィズス菌は、ヒトの腸内(特に大腸)で多くみられる善玉菌の代表格。1899年に、フランスのアンリ・ティシエ氏が、母乳で育てられている乳児の便から発見しました。これまで、人だけでなくウシやイヌ、ネコなどさまざまな生き物の腸内から、約30種のビフィズス菌が見つかっていて、そのうちの10種類程度が、人の腸内から検出されるといわれています。
ビフィズス菌は腸内のバランスを整え、便通を改善するなど、整腸作用があるとされています。また、乳酸だけでなく “酢酸” を産生することで、悪玉菌の増殖を抑え、腸内を健やかに保つのを助けるはたらきももっているのです。
■名前の由来は「二股」「分枝」
ビフィズス菌の学名は、[ Bifidobacterium]。[bifido/bifidus] は「二股に分かれた」「分枝した」という意味です。この菌は顕微鏡で見ると Y字型・V字型・分枝状など、不規則・多形な形 をとることがあり、これが名前の由来とされています。
■体内のビフィズス菌は加齢により減少する!
ビフィズス菌は、乳児のときに最も多く、腸内細菌のほとんどを占めています。そして、加齢と共に減少し、中高年以降は悪玉菌が急速に増加します。高齢者ではビフィズス菌は極めて少なくなります。
ビフィズス菌が減少する原因はいくつかありますが、食物繊維が不足しがちな食生活や日ごろの運動不足、また心理的なストレスなどが主な要因。これは同時に悪玉菌を増加させることにもつながります。たとえば、野菜や果物に含まれる食物繊維やオリゴ糖は、ビフィズス菌をはじめとする善玉菌に欠かせない存在なのですが、外食やお弁当が多い食生活では、肉類などの脂肪・タンパク質の摂取が中心となり、食物繊維が少なくなりがち。偏った食事ではなく、バランスのよい食生活を心がけることが重要です。
また、運動不足になると腹筋が弱まり、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)も低下します。結果的に、便がおなかに留まりやすくなってしまうのです。人の腸内細菌群を調査した報告によると、おなかに便が溜まる状態は、ビフィズスを減少させることが確認されています。
大切なのは、バランスのよい食事や適度な運動、ストレス回避などを心がけながら、ビフィズス菌が含まれ、なおかつ「生きて腸まで届く」とされる菌株を使った製品を選んで、「体の外から善玉菌を補う」ことです。
■ビフィズス菌と乳酸菌、どう違う?
乳酸菌も、ビフィズス菌同様に善玉菌の一種ですが、腸内で住んでいる場所も数も違います。ビフィズス菌は腸内細菌の約10%(成人の場合)を占め、乳酸菌の100倍以上多く、体への影響はビフィズス菌の方がより大きいと考えられています。
■ビフィズス菌と長寿の関係、研究で見えてきた「傾向」とは?
奄美群島は「長寿の島々」として名高く、センテナリアン(百寿者)の割合は人口比で全国平均の2.6倍にのぼります(2020年現在)。岡山大学と地域医療を担う病院との共同で、95歳から108歳まで、平均年齢98.3歳の計44人を対象にした調査では、「日本全体を対象とした長寿者の腸内細菌データと比較してみると、それぞれ異なる特徴をもつ3つの細菌群が多い」ということがわかりました。そのひとつが、ビフィズス菌として知られる「ビフィドバクテリウム属」の細菌です。
上記の通り、ビフィズス菌は、高齢になると一般的には減少し、大腸の機能低下が進む一因とされています。しかし、奄美で暮らす長寿者の方々の腸内では、その傾向が比較的緩やかであったことが報告されています。特に百寿者(100~108歳)の腸内フローラでは、ビフィズス菌の割合が高く、日本全体の高齢者(70~89歳)や長寿者(90~105歳)と比べて2〜4倍の水準にあったとされています。
こうした傾向がすべての長寿者に当てはまるわけではありませんが、ビフィズス菌をはじめとする腸内環境が、健康長寿と深く関係している可能性があることは、近年の研究でも注目されています。
■手軽にビフィズス菌を補給できる食べ物は?
ビフィズス菌を補給する手段として、もっとも手軽なのがヨーグルトです。とはいえ、すべてのヨーグルトにビフィズス菌が含まれているわけではありません。一般的なヨーグルトには乳酸菌のみが使われている場合も多く、ビフィズス菌を摂取したい場合は、「ビフィズス菌入り」と明記された製品を選ぶことが大切です。
・一般のヨーグルト
乳酸菌で発酵させたもので、腸内環境を整える作用があります。乳酸菌が腸内のビフィズス菌をサポートすることで、善玉菌が増えやすい状態をつくってくれます。
・ビフィズス菌配合のヨーグルト
乳酸菌に加えて、ビフィズス菌が含まれている製品もあります。なかには、「胃酸に強く、生きたまま腸まで届く」ことを特長とする菌株を使用しているものもあり、腸内で直接ビフィズス菌を補う手段として注目されています。
たとえば…
・BifiXヨーグルト(グリコ)
ビフィズス菌BifiXとは、1万株の菌株コレクションのなかから見つけだしたグリコ独自のビフィズス菌のこと。胃酸に負けず、生きて腸まで届き、おなかで増える特性があるとされています。
・ビヒダスヨーグルト(森永乳業)
ビフィズス菌BB536が含まれたヨーグルト。ビフィズス菌 BB536には、大腸の腸内環境を改善し、便秘気味の方の便通を改善する機能や、花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる不快感を軽減する機能が報告されています。
・ダノン ビオ(DANONE)
BE80菌という胃酸耐性が高いビフィズス菌を配合。胃酸に負けず、生きて腸まで届いて、善玉菌をより多く増やすことが期待されています。
■ヨーグルトを選ぶとき、生活に取り入れる場合のポイントは?
・腸内で直接ビフィズス菌を補いたい場合は、容器に「ビフィズス菌」または「Bifidobacterium ○○(菌株名)」と書かれている製品を選びましょう。
・ビフィズス菌は腸内に定着しにくい性質があるため、一度だけでなく、毎日継続して摂ることが大切です。
・「お腹のハリが減った」「便通が整った」など、実際の体調変化を参考にしながら、自分に合った製品を見つけることをおすすめします。
***
「ビフィズス菌の日」は12月2日ですが、日々の寒暖差が大きく、体調を崩しやすいこの時期は、腸内の健康や食生活の見直しにいつも以上に気を配りたいところです。
ビフィズス菌は、年齢とともに減少しやすい善玉菌のひとつ。特に40代以降は、“なんとなく不調”を感じやすくなり、腸内環境を整えることが日々のコンディションやパフォーマンスにも直結します。
記念日をきっかけに得た知識を、明日からの食習慣やセルフケアに少しだけ活かしてみる——そんな小さな意識の積み重ねが、健やかな毎日へとつながっていくはずです。「腸からの健康」、ぜひ意識してみてください!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:一般社団法人 日本記念日協会HP(https://www.kinenbi.gr.jp) /江崎グリコ(https://www.glico.com/jp/) /朝日新聞Reライフ.net「『長寿の島々』百寿者の腸内フローラが示す長寿の秘密」(https://www.asahi.com/relife/article/13755425?utm_source=chatgpt.com) /森永乳業「ビヒダスヨーグルト」(https://bifidus.jp) /DANONE(https://www.danone.co.jp/bio/) :

















