フォーマルな文書に使う「時下(じか)」って・・・どういう意味?
明日、12月30日は『地下鉄記念日』です。1927(昭和2)年のこの日、東京の上野~浅草間2.2kmで、日本初の地下鉄が開通しました。当時の東京の主要交通は路面電車で、地上に何本もの路線が行きかい、さらに自動車の数も増えてきていたことから、路上の混雑緩和のための期待の星となったのが地下鉄でした。
2年3か月の工事期間を経て開通した地下鉄はたいへんな話題となり、年末に開通したにも関わらず、開通当日の乗客数は10万人に迫る勢いでした。
それを踏まえて本日は「地下鉄」の「下」という字の入った日本語クイズをお送りします。
【問題1】「天が下」ってなんと読む?
「天が下」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「天下。日本全国」という意味です。
<使用例>
「天が下、大注目の地下鉄が、満を持して開通したのですね」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 天が下(あめ-が-した) です。
「天が下(あめ-が-した)」の「天」は「空」また、日本神話で天照大御神(あまてらすおおみかみ)をはじめとした神々が住まったとされる天上の世界・「高天原(たかまがはら)」を意味しています。そして、「が」は古文の格助詞で、現代の言葉でいう「の」にあたります。つまり「天が下(あめ-が-した)」は「神々の住まう天上の国のある場所=空の下」という成り立ちの言葉で「(日本神話の神々に護られた)日本全国」を表現しているのです。「天下(てんか)」はこの同義語です。
では二問目にまいりましょう。
【問題2】「時下」ってどういう意味?
「時下(じか)」という日本語の意味として正しいものを、以下の選択肢の中から選んでください。
1:このごろ・現在
2:ここ半年ほど
3:ここ1年ほど
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 1:このごろ・現在 です。
「時下(じか)」の「下」は「まさにその位置」を意味しています。「御膝下(おひざもと)」「足下(あしもと)」などの熟語で「下」という字が「まさにその位置」という意味で使われるのと同じです。「時」は「この時、このごろ」を意味しており、そこに「下」が付いているので「まさにこのごろ・現在」という構成の言葉になります。
使い方としては「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」などが定番です。これは、先方が「このごろ・現在、まさにご清栄でいらっしゃる」という尊敬表現になります。似た表現に「貴社ますますご清栄…」の「貴社」のように、先方を表現する代名詞を付けるケースがありますが、この場合は「拝啓 早春の候、貴社ますますご清栄…」など、冒頭に時候の挨拶文も入れる必要があります。しかし「時下(じか)」を使用した場合は、すでに「時」について言及しているので、時候の挨拶に代える役割をもち、時候・季節感に関する言及は必要ありません。
つまり「時下」は、「時」の言及としてオールマイティに使える便利な表現なのです。
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本日は、12月30日『地下鉄記念日』にちなんで、「下」という字の入った日本語から、
・天が下(あめ-が-した)
の読み方や、
・時下(じか)・・・このごろ、現在
という言葉の豆知識、言葉の背景などをおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(小学館)/TRANS.Bizホームページ/『漢字ペディア』(日本漢字能力検定協会)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱

















