あのインタビュー当初は、68%の共感があった?

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ハリー王子とメーガン妃。2018年10月シドニー・オペラハウスにて。オーストラリア、フィジー、トンガ、ニュージーランドの都市を訪問する際、シドニーで撮影されたもの。(C)Don Arnold/WireImage

キャサリン妃とメーガン妃は、今や白と黒、聖女と悪女ほどのイメージの違いが生まれてきてしまっている。一体なぜこんな差がついてしまったのか?
実はこんな数字がある。ハリーとメーガンに共感を覚えると答えた人が米国では68%、英国では29%……この数値、一体いつのものか、わかるだろうか?
まさしくターニングポイントと言っていいあの時! 夫妻が王室を離脱後、アメリカのオプラ・ウィンフリーの番組で、英王室でどんなに嫌な思いをしたのかを涙ながら語ったあの番組直後の、アンケート結果である。

今となっては、アメリカでもこういう数値だったことに驚いたはず。あの頃はまだ、英王室でいじめられてアメリカに逃げ帰ってきたメーガンを温かく迎え入れるムードがあったことがわかる。そしてあの内容。米国では58%が人種問題が影響したと思うと答え、英国でも34%が人種差別があると信じたと回答した。

つまりこの時点ではまだ"喧嘩両成敗"という見方が十分にできていたのだ。しかしその直後からメーガン妃って一体どういう人なのか? 人間性がいろいろに語られるようになっていく。もちろんそれまでも、批判的な見方はあったものの、本格化していったのはここから。メーガン妃の物語の第二章が始まったと言ってもよいのである。

次第に疑問視されるようになっていったメーガン妃の人間性

その後、インタビューの内容に間違いや疑問点があったことが多々指摘されるようになり、その辺りから、メーガン妃に対するネガティブな報道が目立つようになる。結果として身から出た錆。あのインタビューがなければ、もう少し印象が変わったのかもしれないのだ。

そもそもが、ハリー王子と結婚し晴れて王室のメンバーになった頃のメーガン妃は輝いていた。どうしても比較してしまうキャサリン妃よりもセンスが良い?的な論調になったこともあったし、象徴的なのはメーガン妃と結婚した年のハリー王子の好感度は72%と、エリザベス女王を超えて英王室で第1位になっていたこと。結婚当初は夫婦ともども高い好感度を誇っていたのだ。

その後日本に聞こえてきた噂の多くは、メーガン妃の衣装代がキャサリン妃をはるかに超えて高額にのぼっており、英王室が頭を抱えている、みたいな話。
まぁそれも、ロイヤルファッションを一から揃えなければいけないのだから無理もないと思っていた。王室離脱の噂が出てもなお、真相はわからずで、おそらくメーガン自身を悪くいう人は少なかったはずだ。

しかしアメリカ移住後、その活動や主張から、結局この人は何をしたいのだろう、何を求めているのだろうという疑問が、アメリカ本国でも次第に広がっていく。最初はメーガン妃を支えていたはずのセレブたちも、みるみる減っていった。

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2022年6月、セント・ポール大聖堂での礼拝にて。(C)Justin Goff Photos/Getty Images

公務はやりたくないが、妃とは呼ばれたい

要は、王室の公務はやりたくないが、サセックス侯爵夫人の称号はとことん利用させてもらうし、死守したい。そしてパパラッチからは警護をしっかりつけて守って欲しいが、でもちゃんと自分たちの存在は報道してほしい。ともかく王室は離脱しても、妃としてちゃんとチヤホヤしてほしい。だから第二子の名もリリベット(エリザベス女王の愛称)・ダイアナだったり……そういういくつもの矛盾した言動が明るみに出るほどに、好感度は減っていったと言っていい。

ここで思い出されるのは「王冠をかけた恋」。英国王エドワード8世はアメリカ人既婚女性ウォリス・シンプソンと不倫ののち、文字通り王冠を脱いでまで結婚。英国のマスコミは「アメリカの売春婦」などと悪口を書きたて、ウィンザー公爵夫人の称号は得るものの、英国はもちろん生涯どの国でも歓迎を受けることはなかったと言う。
国王を退位させてしまうほどの魅力って何なのか? 当時はそういう報道が目立ったと言うが、上昇志向が強くプライドも高く、そして負けん気も強い……メーガン妃とどうしてもイメージがダブってくるが、そういうタイプだからこそ王族と堂々結婚して、嵐のような批判を浴びながらもパートナーを王室から奪うことができたと考えざるを得ない。その強靭な精神や向かい風への行動力には、あっぱれと言うしかないが、厳密に言うなら、自ら英国を離れ、それでも称号にこだわるメーガン妃の方が、より欲張りであるのは確か。時代が違ったとは言え、少なくともシンプソン夫人はメーガン妃のように、自分を被害者にして公に英王室の悪口を喧伝し、人気まで得ようとすることはなかったから。

当時のウィリアム王子は、キャサリン妃を試していた?

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ウィリアム王子とキャサリン妃。2022年6月、セント・ポール大聖堂にて執り行われた礼拝にて。(C)Justin Goff Photos/Getty Images

逆にキャサリン妃は、時を経るほどに王室メンバーとして好感度を増している。王妃となる理想の品格と寛大さを宿し、その微笑みにも慈愛が写し出されるようになってきた。
ハリー王子の結婚に際し当時のウィリアム王子が「急ぎすぎではないか。相手をもっとよく見るべき」と懸念を示し、ハリー王子を激怒させたと言われるが、ウィリアム王子とキャサリン妃の交際期間は実に9年間。その間に2度の破局があったと言われるし、マスコミでも話題になったのはウィリアムが一方的に別れを告げたにもかかわらず、それをキャサリン妃は粛々と受け止め、取材攻勢にわずかなネガティブ反応も見せず、自立して生きていく準備を進めていたとされる。今思えば、これはウィリアム王子が決死の覚悟で彼女を試したのではないか。将来の王妃として本当にふさわしい女性なのかを。

ただ、その後も順風満帆とはいかず、 母親が最初から娘をプリンセスにさせたいと狙っていたとか、家族の振る舞いが品格を欠いていたとか、結婚後もスカートの短さやロングヘアを注意されたりなど、一般家庭から王室に入ったことで、見えない苦悩は計り知れないものがあったはず。

だから一昨年キャサリン妃が病に倒れた時、その笑顔の影に重いストレスの蓄積があったのではないかと推察された。年齢を考えたら早すぎるガンへの罹患は、やはりそう考えざるを得ないのだ。キャサリン妃に関するネガティブな報道が本当に少ないことは、その分だけ何があろうと忍耐強く笑顔を見せてきたことを物語る。

療養期間を経て、公務を再開させた後、再びそのファッションに話題が集中することにキャサリン妃は珍しく難色を示したと言う。自分のファッションより、自分がなぜそこに出かけていったのか、その催しを見てほしい。もっと大切なことに目を向けて欲しいと。大病したからこそ、さらにこの人は慈悲深さを増したのだ。

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2025年6月、ロンドンで開催された英国君主の誕生日を祝う毎年恒例の「トゥルーピング・ザ・カラー」で、シャーロット王女とキャサリン妃が馬車に乗り、バッキンガム宮殿を出発。(C)Max Mumby/Indigo/Getty Images

人がそれぞれ持っている役割を果たしているのかどうか?

苦悩しながらも笑顔のキャサリン妃は、なんだか雅子皇后とも重なって胸が痛んだが、どちらの妃も今は健康を取り戻してそれぞれの国民の心の支えとなっている。英王室も日本の皇室も同じ。ロイヤルファミリー不要論もある中で、自分たちはどう存在しなければならないのかを常に自分たちに問いかけているからこそ、そうした見えない重圧が積み重なっているのは間違いない。自分たちのワガママを通す立場では全くないと思う人たちだからこそ、美しく着飾りながらもその分だけ誠心誠意、人々を励ましたり癒したり、人々の幸せを祈ったりしなければならないと、言わば命がけの使命感を持って生きているに違いないのだ。

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2021年7月、ロンドンで開催されたウィンブルドン選手権12日目。女子シングルス決勝の後、観客に手を振るキャサリン妃。(C)Clive Brunskill/Getty Images

キャサリン妃とメーガン妃を比較するのは決して上品なことではないのだろうが、人にはそれぞれ選んだ人生における役割があって、それを果たしているのかどうか? その是非を見極める上で、ふたりはあまりに明快に是非を分けている。少なくともメーガン妃は、ロイヤルであることとセレブであることを完全に取り違えている。特別な立場だからこそ、そしてどちらも40代半ば、キャリアを重ねてきたからこそ白と黒に見えるのだろう。
だから彼らに学んで、そろそろ考えたいのだ。誰にだって役割がある。楽しくも嬉しくもない役割を担うことの方が多かったりもする。それでも果たしていかなければならない役割が。そういう意味で、この世における自分の役割を、自分は果たしているんだろうか?と。

この記事の執筆者
女性誌編集者を経て独立。美容ジャーナリスト、エッセイスト。女性誌において多数の連載エッセイをもつほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。近著『大人の女よ!も清潔感を纏いなさい』(集英社文庫)、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)ほか、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。好きなもの:マーラー、東方神起、ベルリンフィル、トレンチコート、60年代、『ココ マドモアゼル』の香り、ケイト・ブランシェット、白と黒、映画
PHOTO :
Getty Images
WRITING :
齋藤薫
EDIT :
三井三奈子