ドバイって、どないなイメージ?

ドバイの風景
 

のっけからダジャレですみません。読者のみなさまはドバイという言葉から、どんなイメージを描きますか? 私は上の写真のような天を衝く高層ビル、美しい夜景を思い描いていました。そしてとにかく世界から富裕層が集まる国、というイメージ。あ、国という表現は正しくなかった。

ご存知のように、ドバイはアラブ首長国連邦を構成する7つの首長国のひとつであり、正確に言えば都市になるのかな。1971年に建国されているので、その歴史は半世紀あまりと若いけれど、真珠交易の港町としてのルーツを持っています。意外にも主産業は石油ではなかったんですね。

秋山都さん撮影によるドバイの写真
ドバイの旧市街にあるクリーク(運河)から眺める夕陽。伝統的な渡し船「アブラ」の料金はUAEの通貨で1ディルハム(約43円)。

なぜドバイが富裕層を惹きつけるのかといいますと、それはずばり、個人所得税が課されないから。23年までは法人税もなかったそうで、現在は約1500万円以上の利益を出している法人に対して9%の税率が課されているそうです。いずれにせよ、欧米や日本に比べれば超低税率であることは間違いありません。

そして、ドバイは外国人にとって移住のしやすい国でもあります。原則的に、現地法人に雇用されるか、現地で起業すれば居住ビザがもらえるのはもちろん、一定額以上の不動産を購入するだけで降りるビザや、UAE外の企業に勤務するリモートワーカーに対して、1年間の居住が許されるバーチャルワーキングビザもあります。

秋山都さん撮影によるドバイの写真
旧市街のスパイス・スーク(スパイス市場)とゴールド・スーク(金市場)を散歩。私はここで謎のスパイス(後述)を購入。金は安かったけど、今回は見るだけ。

と、ここまでが私の現地を実際訪れる前のドバイ観。つまりはキラキラでイケイケな大都市というイメージです。そして、2025年10月に初めてドバイを訪れましたが、実際に目にし、感じたドバイはその先入観を大きく裏切るものでした。そこで、今回は私の心の琴線に触れたドバイのスポットを5つ厳選してご紹介したいと思います。

1.砂漠のラグジュアリー・リゾート「SONARA CAMP(ソナラ・キャンプ)」

まずは砂漠のリゾート「ソナラ・キャンプ」。砂漠リゾートは多くの国にありますが、こちらはドバイ市街地から車でおよそ45分と、アクセスが良いのが魅力。元銀行家の女性が創業したそうですが、太陽エネルギーを活用し、廃棄物ゼロのポリシーを掲げるなど、サステナブルな運営が行われている点にも共感します。

秋山都さん撮影によるドバイの写真
ファミリーフォトを撮影中の家族は全員、白でキメていて恰好良かった。砂漠には白が似合います。右は鷹匠と鷹。

建築家ジャーニ・ラナウロが手がけたラグジュアリーなグランピング施設「ザ・ネスト」に宿泊するオーバーナイトプランもありましたが、私たちは日帰りプランを利用。午後4時から8時すぎまで…そんなに長時間いても退屈するのではと内心不安でしたが、タカと戯れたり、ラクダに乗ったり、ティピー(円錐型のテント)でアぺロを楽しんだりと、楽しいアトラクションが目白押し! 

地平線のかなたに夕陽がゆっくりと沈んだら、砂漠レストランへ移動。ダイナミックな炎を使ったショーや、エキゾチックなダンスなどのショーを楽しみながらディナー(なかなか美味でした!)をいただき、一瞬たりとも退屈することのない、充実した砂漠滞在となりました。

秋山都さん撮影によるドバイの写真
地平線の向こうに夕陽が沈んだら、お待ちかねのディナーがスタート!
秋山都さん撮影によるドバイの写真
専用バスルームやプライベートテラスを備え、ガラス張りの大きな窓からはてしなく拡がる砂漠を望むことができる宿泊施設「ザ・ネスト」。

●SONARA CAMP(ソナラ・キャンプ)
https://www.nara.ae/sonara/

2.未来の野菜栽培はこうなる⁉「UNSファームズ」

砂漠で飲んだカヴァは、グラス1杯でおよそ4,000円くらいでした。私がいままで飲んだカヴァのなかで最高値です。イスラム教信者が多いドバイでは、アルコールを提供している場所が限られており、また市街地から離れている砂漠価格ということもあって高かったのかも。贅沢なものとしていつになくゆっくりと味わいましたが、なにしろ砂漠での水分は貴重です。

乾燥しているから水をごくごく飲みたくなるし、フレッシュなグリーンリーフのサラダはよりおいしく感じます。「この野菜はトルコやインドから輸入しているんですか?」と聞いたら、なんとドバイ産だというではありませんか。砂漠で野菜栽培とはこれいかに? と野菜の生産者を訪問しました。

秋山都さん撮影によるドバイの写真
ファーム見学ツアーは月~土曜日(祝日を除く)の10時~16時(13時~14時は除く)で開催。料金はひとり70AED+VAT5%。

ファーム訪問ということで、郊外に出かけるのか、と思ったら、着いたのは市街地の、それも大きな建物が並ぶ倉庫街でした。「UNSファームズ」は、畑を水平に積み上げる垂直農法を採用した水耕栽培技術により、都市においても効率的に野菜を栽培することができる最新の野菜ファーム。砂漠で私がいただいたようなリーフ類、ハーブ、エディブルフラワーなどに加え、リンゴ、アボカド、バナナ、ベリー類などの新鮮な果物を通年で栽培。

室内で栽培するため、天候や虫の影響を受けることなく(つまり農薬も使わない!)、安全で新鮮な地元産作物を提供しています。

大きな倉庫のなかでは太陽光の代わりとなるライトがさんさんとつき、天井まで何段もの“畑”が積み重なっている様子はどこかシュールで、未来的でした。砂漠では『スター・ウォーズ』や『DUNE』などの映画を思い起こしましたが、ここでは『インターステラー』や『三体』などの宇宙コロニーを想起。

いつか宇宙で暮らすようになったら、こんな風な野菜ファームが一般的になるのでしょうか。ちなみにこの垂直農法、国土が狭い日本でも採用すればいいのではと考えましたが、日本では電気料金の観点から難しいのだそうです。

●UNSファームズ
https://www.unsfarms.com/

3. イスラム教を身近に感じる「ジュメイラ・モスク」

私はいままでトルコ、モロッコ、マレーシアなどのイスラム教国を訪れてきましたが、そのどこよりもドバイではイスラムの教えが遵守されている印象を受けました。多くの男性がカンドゥーラ(白の長袖ローブ)を着ているし、お酒が飲める場所も制限されているし、劇場のVIPラウンジも男女で分かれていたり…イスラム教って面白そう、と興味が湧いて訪れたのは「ジュメイラ・モスク」です。

秋山都さん撮影によるドバイの写真
女性は控えめな服装で、スカーフを持参するとベター。男性はカンドゥーラを貸してもらえます。右は旅の同行者であるタケムラさん。

1979年に開館した「ジュメイラ・モスク」はドバイで最も親しまれる建築的遺産であり、あらゆる信仰を持つ来場者を温かく迎えてくれるオープンなモスク。1日2回行われるガイド付きの「ジュメイラ・モスク・ツアー」では、内部を見学しながらイスラム文化や宗教について触れ、学ぶことができます。

この日のガイダンスでは、イスラムでは右肩には善行を、左肩には悪行をそれぞれ記録する天使(それって悪魔?)がいると聞きましたが、どこかキリスト教にも通じているなと感じたり、信者は収入の如何にかかわらず最低2.5%の喜捨が義務付けられている…なんて話も初めて聞き、大変勉強になりました。

イスラム教はご存知のように1日5回の礼拝が励行されており、ラマダン(断食月)もあるなど厳しめな印象をもっていましたが、それはどうやらイスラムの一面に過ぎないようです。イスラム教をもっと知りたくなる貴重な機会でした。

●ジュメイラ・モスク
https://www.jumeirahmosque.ae/

4.王室ご用達のレストラン「Gerbou(ガルブー)」

さて、ドバイに滞在しているとしばしばシェイク・モハメッドなど王族の名前を耳にします。石油収入のみならず投資やビジネスで国を成長させ、競走馬の生産・育成でも世界的に有名なこの一家は大富豪なのはもちろん、市民からの大きな尊敬と信頼を寄せられている存在のよう。その王室も訪れるという、レストラン「ガルブー」に行ってみました。

秋山都さん撮影によるドバイの写真
シックな内装のダイニングと、お茶やアペロが楽しめるテラスもある「ガルブー」。

こちらは、アラビア語で「つつましい我が家へようこそ」を意味するという店名ですが、シックなテイストながら地元アーティストの作品が数多く置かれた店内は“つつましい”とは言えないかな(笑)。ルーマニア出身のシェフ、イオネル・カタウが現代的な視点で再構築したエミラティ料理が好評で、「ミシュランガイド・ドバイ」ではセレクテッド・レストランに選ばれています。

秋山都さん撮影によるドバイの写真
前菜をメザと呼んだり、ビリヤニそっくりの米料理があったり、トルコやインドの影響を強く感じました。

この日は伝統的な前菜を盛り合せたMezzah Boardや、ビリヤニに似たChicken Machboos、デーツのサラダなどをいただきましたが、どれも美味。残念なことにアルコール類の提供はありませんでしたが、お酒を飲まないと食べ過ぎなくていいかも。たまには肝臓を労わってやりましょう。

●Gerbu(ガルブー)
https://www.gerbou.com/

5.あのドーチェスター・コレクションがドバイに!「THE LANA(ザ・ラナ)」

今回、宿泊したホテル「The Lana, Dorchester Collection (ザ・ラナ、ドーチェスター・コレクション)」は、世界最高峰のホテルコレクションであるドーチェスター・コレクションが中東で初めて手がけたラグジュアリーホテルとして2024年に開業。ドバイ国際空港から車で約20分の新開発エリア「マラシ・ベイ・マリーナ」に位置していますが、バージュ・カリファやドバイ・モールからも徒歩約15分とアクセス良。

秋山都さん撮影によるドバイの写真
「ザ・ラナ」で私の宿泊した部屋。
秋山都さん撮影によるドバイの写真
エントランスには高級車がたくさん並んでおり、それを見るだけで眼福。

イギリスの著名な建築事務所フォスター・アンド・パートナーズが設計し、インテリアはパリを拠点とする人気デザインデュオ、ジル&ボワシエが手掛けたとあって、美しく洗練されたデザイン! 2025年には「世界のベストホテル50」に2年連続でランクインしています。 

私的にすごく良かった! と感じたのは日々のハウスキーピングなどのサービス面。たとえば最終日は深夜のフライトでしたので、ディナー後まで部屋を使わせてもらったのですが、通常であれば正午のチェックアウト以降、部屋の清掃など入らないところ「ザ・ラナ」では隅々まできれいに掃除され、ベッドもきちんとメイキングされていました。

また、フランスで最も有名なシェフのひとりであり、「プラザ・アテネ」総料理長でもあるジャン・アンベールが中東で初めて手がける「リビエラbyジャン・アンベール」の朝食もよかった。冬季のドバイはテラスでいただいても涼しく、心地よい朝食となりました。

秋山都さん撮影によるドバイの写真
「ディオール・スパ」のトリートメントルーム。クッションやランナーなどファブリックがすべてDiorであることにも注目したい。

さらにはUAE初の「Dior Spa」があることも特記しておきたいポイント。ドバイを象徴する超高層ビル「バージュ・カリファ」を一望できる絶好のロケーションの「ディオール・スパ・ザ・ラナ」では「ディオール・ マイクロアブレージョン」、細胞の再生を集中的に促進する「ディオール・スキン・ライトLED セラピーマスク」など、最先端のテクノロジーを取り入れたトリートメントが受けられます。

私が受けたのはシンプルなオイルマッサージでしたが、DIORの薔薇の香りに包まれるひと時、優雅で旅の疲れが癒されました。

●The Lana, Dorchester Collection (ザ・ラナ、ドーチェスター・コレクション)https://www.dorchestercollection.com/dubai/the-lana

●Dior Spa The LANA(ディオール・スパ・ザ・ラナ)https://www.dior.com/ja_jp/beauty/skincare/diorspa-thelana.html

番外:ドバイで見つけた!あんなもの、こんなこと

秋山都さん撮影によるドバイの写真
サウンドヒーリングはグループセッションならひとり130AED、プライベートは700AED。

番外編として、ドバイで発見し、日本に持ち帰ったあれこれをご紹介しようと思います。まずはドバイのマダムたちが通っているウェルビーイングのサロン「SEVA(セヴァ)」で体験したサウンドヒーリング。音の波動を使ってチャクラを整えるというプログラムでしたが、日本人のリリーさんが施術してくれたのでわかりやすく、深くリラックス…とても印象的な時間でした。

日本に帰国してからもこのサウンドヒーリングを受けてみたく、まずはリリーさんが使っていたシンギングボウルを購入してみました。家でも「ゴーン…」と鳴らしていますが、なかなかいいですよ。

●「セヴァ(SEVA)」
https://www.sevaexperience.com/

最後は私のお土産を公開。下に敷いた布は「ソナラ・キャンプ」の売店で購入したトルコタオル。魔除けのモチーフである眼を描いたタオルは以前トルコで見つけて「欲しい!」と思っていたのですが、その時は時間が無くて買えず。

今回のドバイで見つけて、割高でしたが買ってしまいました。トルコ産のコットンは品質がよくて、このタオルも肌触りが最高。ソファに置いてひざ掛け代わりに使っています。

秋山都さん撮影によるドバイの写真
 

上に置いたのはスパイス・スーク(スパイス市場)で見つけたあれこれ。黄色いのは硫黄(痒みに効くと言われましたが怖くてまだ使ってません)、黒いのはライムを乾燥させたブラックレモン(ビリヤニなどに焼き込むんだそう)、茶色いのは不明でしたが琥珀のように綺麗だったので購入。

帰国後にSNSで尋ねたところ、アカシアの樹脂を固めたアラビアガムなるものだと判明しました。未知なるものと出会えるのが旅の醍醐味ですね。2026年も新たな出会いを求めて旅をしていきます。

取材協力:
Visit Dubai(ドバイ経済観光庁)
https://www.visitdubai.com/ja/

この記事の執筆者
女性ファッション誌や富裕層向けライフスタイル誌、グルメマガジンの編集長を歴任後、アマゾンジャパンを経て独立。得意なジャンルに食、酒、旅、ファッション、犬と馬。
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