【目次】

【第1回のあらすじ】

「年末年始の休みも今日で終わり、9連休もあっという間だった…」と、少々どんよりした気持ちだった人もいたはずの1月4日、いよいよ2026年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』が始まりました。第65作となる本作は、NHK大河ドラマの“鉄板”といわれる戦国時代を舞台に、戦国三英傑のひとりである豊臣秀吉と、その弟・豊臣秀長の兄弟バディによる立身出世物語です。「光る君へ」「べらぼう~蔦重栄華之夢噺」と文系女子がキュンとなるソフトな作品が続いたのちの、戦国ど真ん中! 大河ドラマファン待望の本作の視聴レビューを1年間お届けします。

馬に乗った戦群が野山を駆け敵と相まみえる歴代の“戦国大河”とは異なり、ジブリのようなアニメーションから入る軽やかなオープニングは、「槍だの鉄砲だのの血生臭いのは勘弁…」という、2024年、2025年の2作でつかんだソフト系好みの大河ドラマファンを意識してのものに見えなくもありません(筆者は好きです)。朝ドラ感満載の安藤サクラさんのナレーションも、自然体でいいのです。

第1回放送「二匹の猿」は、仲野太賀さん演じる小一郎(のちの豊臣秀長)が、母のなか(坂井真紀さん)、姉のとも(宮澤エマさん)、妹のあさひ(倉沢杏菜さん)と共に、田畑を耕しながら極貧生活を送る尾張国(現在の愛知県西部)から物語は始まります。

仲野太賀さん(C)NHK
仲野太賀さん(C)NHK
宮澤エマさん(左)と倉沢杏菜さん(右)(C)NHK
宮澤エマさん(左)と倉沢杏菜さん(右)(C)NHK

土地の有力者・坂井喜左衛門(大倉孝二さん)の屋敷から仏画(と妻)を盗んで姿を消した兄の藤吉郎(池松壮亮さん)が8年ぶりに村へ帰ってきた――のではなく、自身の出世に出来のいい弟の力を借りようという魂胆による一時帰郷です。やがて天下人にまでのし上がる尾張の田舎猿の傍らに常に弟がいたのは知られたところですが、本作では、人がよく冷静で切れ者の弟、熱血漢でお調子者(なだけではない)の兄という、異なる兄弟キャラクター描きに注目です。

織田信長(小栗旬さん)の足軽として仕える藤吉郎は、自身の出世のためには弟の力が必要だと迎えに来たのですが、小一郎にとっては厄介者でしかない兄ですから到底そんな話には乗れません。大声を張り上げながらの兄弟の軽妙なテンポのやり取りが、先月まで“べらぼう”(編集部注※2025年大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』)にどっぷりはまっていた筆者にとって、戦国時代という重い時代に気持ちを切り替えるスイッチになりました。それにしても仲野太賀さんも池松壮亮さんも、まぁ口が大きく開くこと!

池松壮亮さん(C)NHK
池松壮亮さん(C)NHK

信長が推進した道普請(道路工事)の人足として、藤吉郎が住む清須へ出掛けた小一郎。信長が治めてにぎわう清須の様子に、小一郎も将来の展望を感じたでしょうか。そして信長が語った「じっとしていては欲しいものは手に入らぬ。自分の進む道は自分で切り開くのじゃ」という言葉に、一縷(いちる)の希望を見たでしょうか。

村人のもめごとを丸く収め、土砂崩れで行く手を阻まれた道普請をうまくやりとげ、さらに織田家の重臣・丹羽長秀(池田鉄洋さん)の屋敷に盗賊が入ると予見し、見事裏切り者をあぶり出した小一郎。機転の利かせ方、人を説得して行動する能力は、ビジネスパーソンとして見ても「デキるヤツ」といったところですね。

池田鉄洋さん(C)NHK
池田鉄洋さん(C)NHK

【初回の登場人物おさらい】

さて、今回は物語の方向性を示す第1話に登場し、のちのちまでこの物語を支えていく人物を、ざっとおさらいしておきましょう。

■小一郎/豊臣秀長(仲野太賀さん)

のちの豊臣秀長、『豊臣兄弟!』の主人公。争いは好まないものの、信長に仕える兄と行動するなかで、その機転や調整力を信長に評価され、兄と共に重用されていきます。

■藤吉郎/豊臣秀吉(池松壮亮さん)

貧しい農家の生まれながら侍になることを志し、信長に仕えるように。人の心を掌握する術に長けた人たらしの才によって、味方を増やしていきます。

■織田信長(小栗旬さん)

尾張を統一した大名で、戦国時代を代表するカリスマ武将。家臣の登用は身分や家柄ではなく能力重視、藤吉郎・小一郎兄弟を見込んで重要な任務を与えていきます。

小栗旬さん(C)NHK
小栗旬さん(C)NHK

■直(白石聖さん)

尾張国中村の土豪の娘、小一郎の幼馴染で想い合う仲。男勝りのさっぱりとした性格で、小一郎を支えていきますが、実在する人物ではないようです。

白石聖さん。右は直の父、坂井喜左衛門役の大倉孝二さん(C)NHK
白石聖さん。右は直の父、坂井喜左衛門役の大倉孝二さん(C)NHK

■寧々(浜辺美波さん)

信長に仕える浅野長勝(宮川一朗太さん)の娘で藤吉郎の想い人。直を侍女に抜擢し、共に藤吉郎・小一郎兄弟をバックアップします。やがて侍大将に昇進した藤吉郎と結婚することに。

 波辺美波さん(C)NHK
浜辺美波さん(C)NHK

個人的には、初回でお役御免となった織田家の台所方・横川甚内を演じた勝村正信さんに再びのご登場を願いたいところです。去年の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で親子二代を演じた伊藤淳史さんのように…。

2026年の日曜夜のお楽しみとなるに違いない『豊臣兄弟!』。豊臣秀吉と秀長、そして織田信長も…お気を付けあれ、彼らは天下を取るほどの人たらし、決して心を奪われませんように…!


次回 『豊臣兄弟』第2回「願いの鐘」あらすじ】

故郷の中村に戻った小一郎(仲野太賀さん)は、直(白石聖さん)の縁談が決まったことを知る。自分の気持ちを押し殺して喜ぶ小一郎に、寂しげな表情を浮かべる直。

一方、清須では、尾張統一を目指す信長(小栗旬さん)が岩倉城攻めを決行する。清須での居残りを命じられた藤吉郎(池松壮亮さん)は、信長の妹・市(宮崎あおいさん)から呼び出しを受ける。

(C)NHK

そしていよいよ直の祝言の日。花嫁姿の直が突然、小一郎の前に姿を現す。

※宮崎あおいさんの【崎】は「たつさき」が正式表記です。

※『豊臣兄弟!』第1回「二匹の猿」のNHK ONE配信期間は2026年1日11日(日)午後8:59までです。

この記事の執筆者
美しいものこそ贅沢。新しい時代のラグジュアリー・ファッションマガジン『Precious』の編集部アカウントです。雑誌制作の過程で見つけた美しいもの、楽しいことをご紹介します。
WRITING :
小竹智子
参考資料:『NHK大河ドラマ・ガイド 豊臣兄弟! 前編』(NHK出版)/『松村邦洋 とにかく「豊臣兄弟!」を語る』(プレジデント社)/『デジタル大辞泉』(小学館) :