連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変えるPrecious People
明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介する「Precious」連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、慈善事業や社会事業全体の成果を可視化するプラットフォーム「Comgo」を立ち上げ、CEOを務める、スペイン・マドリードのアランチャ・マルティネス・フェルナンデスさんにインタビュー!
スペイン市場向けの投資銀行・株式資産清算部門で主任を務めたあと、インドのボランティアに参加。その経験からストリートチルドレンなど路上生活者で身分証もない個人を登録するシステム「It-willbe.org」を開発された経歴をもつアランチャさんに、現在の事業とともに今後の展望について詳しくお話しをうかがいました。
【Madrid】テクノロジーを駆使して、弱者を救う。社会課題解決にひた走る「与える人」
「マドリードで経営学を学んだあと、ダブリンのメリルリンチ銀行で働き始めました。恵まれた環境で仕事も順調。キャリアアップと共にロンドンに移ることになったその前の年、異なる文化を学びたいという好奇心から、ボランティアのためにインドへ。そこでの経験が私の人生を変えることになりました」
インド現地の小さなNGOでストリートチルドレンの問題に関わるようになったアランチャさん。つねに顧客情報に触れていた銀行業務と違い、「現場にデータがない」という事実に驚き、自ら未成年者データのデジタル化を推し進めることを決意。紙と鉛筆のアナログ資料から手のひら認証へ、さらに顔認証へ。名前が同じ、姓がないなど、さまざまな問題を解決し、効率化を進めていった。
「集計された健康データがあれば、どの地域で何が起こっているのかという問題を分析できるようになります。例えば皮膚病が増えているエリアを調査すると、湿気の多さが原因だとわかる。ならば衣服を乾燥させよう、乾燥機を導入しようなど、有効な対策を導き出すことができます。小さな改善を積み重ねて、全体を大きく変えていくのです」
そのプロジェクトにAIの技術を導入するべく、’09年に「It-willbe.org」という団体を設立し、同名のシステムも開発。欧州で権威ある「プリンセス・オブ・ジローナ賞」や、欧州委員会による「EU女性イノベーター賞」も受賞した。
「そのあとに立ち上げたのが『Comgo』です。AIやブロックチェーンを使用し、企業やNGOによる社会事業が、どれだけ効果を出したのかを測定、管理、報告できるプラットフォーム。感情論や話題性だけでなく数値で確認でき、さらにその効果を公平に、適切に分配する方法も検討しています。私の理想は『もっている人』ではなく『与える人』がより評価される社会。その価値観を広めて、世の中の不平等、不均衡を是正していきます」
経営者でありながら、まるでヨガ修行僧のような深い眼差しが、未来を見つめている。
◇アランチャ・マルティネス・フェルナンデスさんに質問
Q 朝起きていちばんにやることは?
子供たちを起こしてコーヒーを飲む。できれば毎朝ヨガをしたいのですが、なかなか…。
Q 人から言われてうれしいほめ言葉は?
最初に助けた子供たちが独り立ちを始めています。彼ら彼女らにコーヒーをごちそうしてもらい、「機会をくれてありがとう」と言われるのが最大の喜び。
Q 急にお休みがとれたらどう過ごす?
4人の子供たちと一緒に過ごす。
Q 仕事以外で新しく始めたいことは?
哲学を学びたい。東洋西洋問わず体系的に学ぶことで、偏りのない視点で物事を理解したいと思っています。
Q 10年後の自分は何をやっている?
今後10年かけて「Comgo」で取り組んでいる複雑な仕組みを整え、個人や企業が正確に効果を測り、報告できる世界を目指します。
- PHOTO :
- Javier Peñas
- EDIT&WRITING :
- 本庄真穂、喜多容子・木村 晶(Precious)
- 取材 :
- Yuki Kobayashi

















